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新垣樽助が「々伝」で共通点を見出した、へし切長谷部と山姥切国広の関係性|『刀剣乱舞 廻 -々伝 近し侍らうものら-』公開記念インタビュー

『刀剣乱舞 廻 -々伝 近し侍らうものら-』へし切長谷部役・新垣樽助さんインタビュー|前作アニメ「虚伝」を振り返り、今作でへし切長谷部が抱える想いと山姥切国広に対する気持ち

「彼らふたりの中で共通している部分は“同じ失敗をしている”というところ」

――今作で新垣さんが印象に残っているシーンを教えてください。

新垣:長谷部が山姥切に「近侍」について話すシーンです。その前までの長谷部は、山姥切が近侍を辞したことに対して非難していました。そこから立ち位置を変えて、山姥切が失敗したのではなく、出陣した自分たちと一緒に失敗をしたのだから山姥切だけのせいではないと。山姥切は1人で抱え込みすぎだと、冷静に諭すというか。そういう連帯感を長谷部は持っていると思います。だから今回、一緒に出撃して乗り越えようとしているんじゃないかな。

そして、この戦い(備中高松城の戦い)で、過去の失敗を乗り越える必要があると山姥切に説明した上で、「近侍」について話すところに長谷部の成長をすごく感じました。持っている想いとしては初めからそうなんでしょうけど、自分の口で言語化して言えた部分が印象的でした。

――へし切長谷部と山姥切国広になんとも言えない距離感のようなものを感じています。

新垣:彼らの共通点は「同じ失敗をしている」ことなのですが、そう思っているのは長谷部だけで。共通の経験をしていて、ひとりは抱え込んでいて、もうひとりはそんな片方に苛立っている構図が、このお話の序盤で描かれています。

長谷部からすると、自分が望んだ経緯で近侍になっているわけではないので不本意なんです。だから早く、山姥切に本来の力を発揮できるようにしてほしいと願っていて。仲間として見ている長谷部と、個人の殻に閉じこもっている山姥切の対立した関係に見えています。

――山姥切国広を気遣いながらも、「備中高松城の戦い」ということでへし切長谷部としてもモヤモヤとするシーンがあったのではないでしょうか。

新垣:そうですね。「黒田官兵衛」と対峙する場面で、自分そのもの(刀)を腰に差している元主人と会うのはものすごいことだなと思います。そこで発する言葉は全て嘘でなければいけないところも、演じていて自分の中で少し負荷のかかるお芝居だったと思います。心の中でずっと気持ちの悪いものを抱えたまま言葉を発し続けるというシーンで、非常に印象的でした。

実物と出会える数少ないコンテンツ

――作品についてやへし切長谷部について、たくさんお話いただきありがとうございます。原案ゲーム『刀剣乱舞ONLINE』は今年で9周年を迎えましたが、改めて『刀剣乱舞』のコンテンツの魅力はどのようなところだと思いますか?

新垣:刀剣が戦士へと姿を変えてカッコいい剣戟やドラマを見せてくれるところです。あとは、純粋な作品としての楽しさと、刀剣が所蔵されている場所に行けば実際に会えるという楽しさがある。それってすごく特殊な楽しみ方じゃないかなと思うんですよね。

――たしかに、そうですね。「ある刀剣を見た時にその刀剣男士のビジュアルを思い浮かべることもできる」って、よくよく考えてみると不思議なことかもしれません。

新垣:不思議です。なかなかできない楽しみ方だなって。そのおかげで今まではあまり多くの方の目に触れることがなかった刀剣の素晴らしさとか、その刀剣の何がどのようにすごいのかという「刀の見方」みたいなものが認知されるようになって。『刀剣乱舞』を通して刀に興味を持ってくださった方たちは、「刀剣」についてものすごく詳しくなっていると思うんです。

――名前もですが刀剣同士の関係性とか、刀剣に関する知識みたいなものが作品を通して自然と身についているようにも感じます。

新垣:ええ。刀が持っている物語も刀自体の美術品としての楽しみ方も、『刀剣乱舞』がなければ知ることがないままだった方もいるのではないでしょうか。この作品が生まれたことで日本の「刀剣」自体がすごく脚光を浴びる機会に繋がって、そして刀剣を保護したり複製する動きにも繋がっていっているわけですよね。ただ一つの作品をエンターテイメントとして楽しむだけに止まらず、日本の古来の文化を守る動きにも繋がっていて、すごい存在だなと感じています。

――新垣さんとしても「へし切長谷部」と寄り添った期間は長いかと思いますが、ご自身のキャリアにとってへし切長谷部とはどういった存在でしょうか?

新垣:俯瞰してみると、やはり長谷部を通して、色々な方に僕の存在を知っていただけたんじゃないかな?と感じています。「長谷部で知りました!」と言ってくださる方が本当に多いんです。

僕の名前を全く知らなかった方たちが、『刀剣乱舞』や長谷部をきっかけに僕の名前を知ってくださっているので、作品やお客さんに対してとてもありがたく思います。

現在も(へし切長谷部役として)いろんなイベントに出演させていただいていますし、僕を紹介する際の情報としても長谷部の名前が入っていることがほとんどで。そういう意味でも、お仕事として見た時に、その後の自分の仕事に大きく影響を与えてくれた大切なキャラクターです。

[取材・文/笹本千尋]

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舞台『刀剣乱舞』虚伝燃ゆる本能寺を脚本原案とするアニメ『刀剣乱舞廻-虚伝燃ゆる本能寺-』(以下、アニメ『虚伝』)の前日譚であり、完全オリジナルストーリーで描かれた『刀剣乱舞廻-々伝近し侍らうものら-』(以下、『々伝』)が2024年8月16日(金)より三週間限定で劇場上映されます。アニメ『虚伝』で描かれた「本能寺の変」の裏側で起きた出来事にスポットがあたり、さらに近侍を巡るへし切長谷部と山姥切国広の姿が描かれている今作。本稿では山姥切国広役・前野智昭さんのインタビューをお届けします。今作における役作りについてや山姥切国広とへし切長谷部の印象、そして前野さんにとっての「山姥切国広」についてなどたっぷりとお話を伺いました。前作アニメ「虚伝」と同じく「々伝」は山姥切国広を語る上で欠かせない物語――アニメ『刀剣乱舞廻- 虚伝燃ゆる本能寺-』の前日譚である『刀剣乱舞廻-々伝近し侍らうものら-』が公開となりますが、虚伝の収録の際には既に本作の制作が決定していたのでしょうか?山姥切国広役・前野智昭さん(以下、前野):アニメ『刀剣乱舞廻- 虚伝燃ゆる本能寺-』のアフレコの際に「虚伝」が全8話で、その後に『々伝』のエピソードを録りますということ...

『刀剣乱舞 廻 -々伝 近し侍らうものら-』作品情報

公開情報

2024年8月16日(金)より、三週間限定劇場上映

あらすじ

自身が率いる部隊を全滅させかけてしまった山姥切国広は、自らの申し出により近侍を辞すことに。
主である審神者より新たな近侍へと任命されたへし切長谷部。
ただへし切長谷部はそのことに納得できずにいる。
これは受け継がれ、繰り返される、近侍の物語―。

キャスト

へし切長谷部:新垣樽助
山姥切国広:前野智昭
鶴丸国永:斉藤壮馬
燭台切光忠:佐藤拓也
同田貫正国:櫻井トオル
大倶利伽羅:古川慎
ほか

公式サイト
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