三角関係、コメディ、沖縄文化・あるある……エンタメと学びの"チャンプルー"アニメ爆誕! 『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』大塚剛央さん×鬼頭明里さん×ファイルーズあいさん 鼎談インタビュー!
沖縄文化を真っ直ぐに受け止める主人公・てーるーの魅力
ーー原作をお読みになった際の印象はいかがでしたか?
鬼頭:こんなにも、私の知らなかった「沖縄」があるんだなと。県民のみなさんなら誰でも知ってるような、あるあるネタにもびっくりしました。沖縄出身の友達が東京に馴染んで暮らしているのが不思議に思えるくらい独特な文化ですよね。実際に、沖縄に行って確かめてみたくなりました。
大塚:沖縄の文化やあるあるが細かく描かれているだけではなく、ラブコメとしても面白くて、バランスが良い作品だと思います。あとは、読んでいて勉強になることも多いんですが、「流石にこれ盛ってるんじゃないか……?」って思うところもあるんですよ。
でも実際に現場に行って、沖縄出身のキャストさんたちに尋ねると全員が「あるある」って言うんです(笑)。現場で作品のリアリティを感じることも多かったですね。
ーー本当に共感できるネタばかりなんですよね。みなさんのなかで、特に印象的だった“あるある”はありますか?
大塚:ユニオン(県内にあるスーパー)のテーマソングを県民全員が歌えるとか。
ファイルーズ:ここはオキナワ! みんなでおっきな和〜♪(「UNIONですから!」ミヤギマモル)
大塚:それそれ(笑)。
ーーどんなに強い台風でも開店しているでおなじみの(笑)。沖縄県内のテレビCMでよく流れているので、本当にみんな歌えます。
大塚:それくらい根付いているんだなと思って、印象的でしたね。
ーーファイルーズさんはどうでしたか?
ファイルーズ:作り手のみなさんの沖縄文化への敬意が込められているのを感じます。今の若い人たちにも、文化的背景や歴史が親しみやすい形で伝わる素晴らしい作品だなと。
作中に出てくるカチャーシー(伝統的な踊り)や指笛の音色など、実際どのようなものなのかとても気になって、YouTubeで調べちゃったり。作品に触れるたびに「沖縄に行きたい」という気持ちにさせてくれますね。いつか生でカチャーシーを見てみたいです。
ーーぜひ、現地であるあるや文化を体験していただきたいです! 続いて、みなさんが演じられるキャラクターについてもお聞きしたいと思います。
鬼頭:喜屋武さんは、とても明るくて、誰とでも仲良くなれる子です。いるだけで雰囲気が良くなるというか。沖縄の方言や文化に詳しくて、楽しそうに沖縄のことを話してくれるんだけど、訛りすぎて通じないという(笑)。
でも、そのたびにかーなーが訳してくれるんです。ふたりのコンビネーションは見ていて、ほっこりしますね!
ーーコミカルでありながら、ヒロインらしい魅力もあるキャラクターですよね。そんなひーなーに恋をするのがてーるーです。
大塚:はい。彼は良いヤツですね。
鬼頭:本当に良い子。
大塚:現代っ子っぽいところもあるんですけど、凄く柔軟で優しい性格なんです。恋愛に関しては鈍感で、抜けている部分もありますが、他人を嫌な気持ちにさせない雰囲気を持った男の子という印象ですね。純粋なんだけど、ちゃんと下心みたいな男子高校生らしさもあって。可愛くて凄く良いキャラクターです。
ーーてーるーが沖縄の文化に驚きつつも受容しているところに柔軟性や優しさを感じます。そして、てーるーのことを好きなのが、ファイルーズさん演じるかーなーです。
ファイルーズ:かーなーは一見クールなんですけど、内面はピュアで表情豊かな子なんです。面倒見が良いので、ひーなーと相性が良いですよね。このふたりは「おばあになっても仲良しでいるんだろうな〜」って。ずっとふたりの関係性を見ていたくなります。
ーーひーなーとかーなーの掛け合いや関係性も見どころですね。
ファイルーズ:ふたりには幸せでいてほしいので、てーるーのことで関係がこじれないでほしいなと……。
一同:(笑)
ーー一応、三角関係になるのでしょうか?
ファイルーズ:三角関係になりそうでならないという安心感が作品の魅力でもあるんですよ。「くっつきそうでくっつかない」もどかしさもありつつ、安心するような3人の友情が好きです。
ーー……てーるーを演じている大塚さん的にはどちらのヒロインがお好きですか?
鬼頭&ファイルーズ:お〜!(笑)
大塚:恋愛要素のある作品で個人的に好きになるのは、かーなーのような片思いをしているヒロインなんですよ。くっつかなさそうなんだけど、「頑張ってほしい……!」って応援してしまいます。
鬼頭:かーなーはめちゃくちゃ健気なんですよね。
大塚:はつらつとしているひーなーも、時折見せる照れた表情はめちゃくちゃ可愛いんです。……どっちかなんて選べないです!
ファイルーズ:ズルいな(笑)。
大塚:安慶名さん(安慶名八重)も好きです(笑)。
ーー鬼頭さん、ファイルーズさんから見たてーるーはどういうキャラクターですか?
鬼頭:めちゃくちゃ良い子ですよね! 大塚さんの声がついて余計に良い子成分が増えた感じ。誰にでも真っ直ぐ向き合っているし、お父さんと会話するシーンもびっくりしますよ。「こんな素直にお父さんと会話できる男子いる〜?」って(笑)。
沖縄文化に対しても、「へぇ〜!」と思いながら、真っ直ぐ受け止めていて本当に良い子だなと。こんな息子が欲しいなと思いながら、いつもてーるーを見ています(笑)。
ファイルーズ:てーるーぐらいの年齢だと、自分と違う価値観に触れた時に茶化してしまうことも多いじゃないですか。そういうことをせずに、まず興味を持って、受け入れる。受け入れるどころか、当たり前のものとして共生できているのが凄いです。てーるーにとってはそれが普通なんですが、簡単にできることではないと思います。ある意味で、達観しているなと。
その素直さが魅力的ですし、アニメになって大塚さんの演技が加わったことでまた新しい一面が見えます。モノローグやオチの一言、ツッコミに色がついて、より面白くなるんですよね。てーるーのキャラクターの幅が広がっていて、面白いキャラクターになっています。
ひーなーのうちなーぐちは沖縄出身者でも解読不能!?
ーーリアクション、ツッコミなど、てーるーは作中で役割が集中しているキャラクターですよね。異文化に対して、ツッコミを入れつつも茶化さずに受容する姿勢を表現するのは難しそうだなと。
大塚:混じり気がないというか。いろんなものを受け入れる心の広さと優しさを意識して演じていました。
シーンによって役割が全然違いますし、それこそ僕自身も沖縄文化に馴染みがなかったので、てーるーと一緒になって驚いたり、感心しながら吸収していきましたね。
また、コメディの部分は、スタッフさんと相談しながら作っています。どういうフリがあって、どういうオチに向かっていくのかは決まっているので、よりスムーズに、笑ってもらえるような工夫をしていました。テストの段階で「本番はもうちょっと落差をつけてやってみると良いんじゃない?」というディレクションをいただくとか。
見ごたえのあるコメディシーンになるように、どう演技したらより面白くなるのか試行錯誤しながら演じました。掛け合いのシーンはみなさんと収録できていたので、そこで新しく生まれるものもあって、楽しい収録でした。
ーー沖縄県民としては、てーるーが文化を受け入れてくれることが嬉しいですし、彼を好きになってしまいます。鬼頭さんとファイルーズさんもうちなーぐちでのアフレコは大変でしたか?
鬼頭:めちゃくちゃ大変でしたね(笑)。実際に方言を話している映像をいただいて、それを毎回聞きながら、発音等を覚えて演じていきました。難しいからこそ、収録後の達成感はハンパなかったです!
ーー他に沖縄県出身のキャストの方も現場にいらしたと思いますが、方言を教えてもらうこともありましたか?
鬼頭:方言のやあるあるを雑談しながら、アフレコしていたんですけど、「ひーなーのうちなーぐちは訛りすぎてわかんないわ」ってよく言われてましたね(笑)。
ーー確かにそれはあります(笑)。
鬼頭:(笑)。ただ、意味を把握して演技したほうが自然な話し方になるので、そこは意識したポイントです。
ーーかーなーが訳してくれないと、ひーなーのうちなーぐちはわからないですよね。ファイルーズさんはいかがでしょうか?
ファイルーズ:脚本でひーなーのセリフを見ると、全部ひらがなでコッテコテのうちなーぐちが書いてあるんですよ(笑)。私には何が書いてあるのかサッパリだったんですが、あかりんはしっかり勉強したり、積極的に質問をしたりして、役に向き合っていたんです。
私もその姿勢に影響を受けて、成長させてもらいました。かーなーの場合、文字面は私が普段話している言葉と同じなんですけど、半音上がっていたり絶妙に音が違っていたりと何気に難しいんですよ!
ーー方言の単語を使わなくても、訛りやイントネーションがありますからね。
ファイルーズ:自然に出てくる言葉と全然違っていて、台本の文字の横に矢印で音の高低をメモしていました。読むたびに頭の中で変換して演じていました。