「ウルトラマンはみんなが困った時、絶対に助けてくれます」――『ザ☆ウルトラマン』星川ムツミ役・島本須美さんインタビュー|未来に飛び続けるヒーローの名前をいつでも大声で呼んでほしい
2024年で放送45周年を迎えたアニメ『ザ☆ウルトラマン』。本作はシリーズ初のTVアニメであり、アニメーションならではの映像表現とドラマによって、シリーズファンの支持を集め続ける伝説的な作品です。
また、11月22日(金)には「ザ☆ウルトラマン ブルーレイBOX」も発売予定。本作に登場するウルトラマンジョーニアスは、後年の作品やヒーローショーにも出演しており、本作に込められた想いやメッセージは、今なお世界中で広がり続けています。
アニメイトタイムズでは、そんな記念すべき機会に星川ムツミ役・島本須美さんへのインタビューを実施。当時の思い出はもちろん、これから本作に触れる人たちに向けて、見どころや魅力を語っていただきました。
「ふたりのムツミ隊員」が“その後の自分”を作った
ーー1979年より放送開始された『ザ☆ウルトラマン』が45周年を迎えました。まずは、今の心境をお聞かせください。
島本須美さん(以下、島本):アニメのレギュラーはこの作品が初めてでした。この年にデビューしていますから、声優デビュー45周年でもあるんです。だから、思い入れのある作品ですね!
ーーおめでとうございます! 当時の収録現場で印象に残っていることはありますか?
島本:何も知らないド新人だったので、作法がさっぱり分からなくて。当時はペットボトルを持っていかない時代だったので、新人たちがお茶の準備をしていたんです。女の子たちはみんな早めに行って、ポットにお茶を入れて、いらっしゃった方にお茶をお渡しするのが仕事でした。
その時の「おはようございます」という挨拶の仕方で、相手方のコンディションも分かるじゃないですか。共演される方にそうやってお茶をお渡しするっていうところからのスタートでした。舞台ではそれが普通だったので、劇団の時から当たり前のようにそれをやっていたんです。仕事に関しては何も分からないので、先輩たちから盗んで勉強するような感じでしたね。
ーー初ヒロインで初レギュラー作品でしたが、収録時に苦労された点はありますか?
島本:テレビアニメが飽和している時代だったこともあり、収録はみんながテレビで見るような完成度の仕上がりではなくて。そういう状態の中で、台本の中から色々タイミングを含め、全部作り出していくことに不慣れだったんです。台本は読めても、タイミングを赤で合わせて喋るのは、なかなか難しくてすごく大変でした。
ーー45周年記念として、Blu-ray BOX発売も決定しています。この機会に振り返ってもらいたいエピソードや作品全体の見どころ、島本さんの中で印象に残っているシーンなどを教えてください。
島本:第1話はもちろんですが、ふたりのムツミが登場する回(第24話 「ふたりのムツミ隊員」)でしょうか。観返してみて気付いたんですけど、当時の自分がちゃんと演じ分けているんですよね。
ーー 本物のムツミ隊員と別の惑星から来た宇宙人の王女がコピーしたムツミですね。
島本:本当のムツミは少し突っ張ったキャラクターで「バカにしないで!」って、そういう要素があると思うんです。宇宙人の方のムツミは、自分の運命に対する戸惑いや少し儚げな少女を演じていたような気がしていて。
その後の私はムツミみたいなキャラクターよりも、クラリス(『ルパン三世 カリオストロの城』)とか、どこか儚さを持った女性像を演じることが多いので。もしかしたらこの宇宙人のムツミの方が、その後の私を形作っていたのかなと思いました。
ーーBlu-ray BOXには、最終回4部作を1本化した長編アニメ映画版も収録され、島本さんが新規ナレーションを担当されています。アフレコの感想や収録時のエピソードなどをお伺いさせてください。
島本:沢山喋っているわけではないのですが、ムツミがナレーションをやっています。ただ、当時の声を出そうと思っても、やはり45年前ですから(笑)。今は可愛く作ろうと思えば幾らでもできますが、当時は特に声も作らずにやっていたんです。作り物ではない、当時のムツミに近い形を目指して、どういう声を出したらいいのかをスタッフのみなさんと相談しながら演じました。
最初は少し作り過ぎちゃったんです。もう少し年齢を意識しない、少し時間が経ったムツミにしてやってみたら、今度は落ち着きすぎて(笑)。ある程度ハッキリ言う女の子の要素も残しておく必要があるんです。完全に落ち着いたら、それはムツミじゃないなって。その辺はちょっと苦労しました。どういう風に録れているかは、ぜひご自身で確認してみてください。