「“にお”を通して新選組が新鮮かつ生々しく感じられると思います」『青のミブロ』ちりぬにお役・梅田修一朗さん&斎藤はじめ役・小林千晃さんインタビュー|全員が揃う収録は男子校のような雰囲気
「僕だって強くなりたい。こんな世界変えたい。」
"ミブロ”との出会いをきっかけに、ふつうの13歳の運命が大きく動き出す!
命がけの“ド青春”新選組の物語が描かれる大人気コミック『青のミブロ』(著:安田剛士先生)。本作のTVアニメが、2024年10月19日(土)より放送開始となります。
アニメイトタイムズでは、TVアニメ放送開始に先駆け、ちりぬにお役・梅田修一朗さんと斎藤はじめ役・小林千晃さんのインタビューを実施!
「ちりぬにお」というキャラクターについて、そしてにおと同世代の「斎藤はじめ」がにおに抱いている感情とは……? また、お互いのお芝居の印象やアフレコ現場の様子など、様々なお話を伺いました。
におたちを通して描かれる、生々しくシビアな世界
ーー本作の世界観や「新選組」というものについて、どのように感じましたか?
ちりぬにお役・梅田修一朗さん(以下、梅田):「新選組」は既にひとつのジャンルとして、浸透していますよね。新選組の歴史を知らなくてもキャラクターとしての「土方歳三」や「沖田総司」たちの名前を知っている方も多いと思います。
「新選組」が描かれる時はかっこいい部分や史実の印象深い部分がデフォルメされていたり、すごく美少年だったり、めちゃくちゃ目が光って鬼のように怖かったりしていることもあって。
そんな中で『青のミブロ』を初めて読んだ時は、その時代を生きた男、大人、武士の1人としての温度感がリアルに描かれているなと感じました。本当にその時代を生きたミブロの、新選組の方々を「ちりぬにお」というキャラクターを通して新鮮に、そして生々しく感じられるというか。安田剛士先生の絵柄は、すごく迫力のある個性的な絵柄で引き込まれる作品だと思いました。
斎藤はじめ役・小林千晃さん(以下、小林):現代と照らし合わせると、鎖国以前と以後で物流が全く異なりますよね。例えば、水やお菓子、洋服にしても海外から入ってきたものが多く、今の日本が成り立つ要因のひとつになっています。ただ、本作は幕末の開国直後が舞台なので着物や刀、まげといった日本独自の「和」という文化や価値観という日本古来のものが多いという印象を強く受けました。
第1話では、子供たちを想う言葉もあって……現代では男女の垣根をなくしていったり、子供でも発言力がある社会を目指す動きになっていますが、当時の日本はそういうものが本当にない男社会だったんだなと。
また、なぜ尊王攘夷運動が活発化しているのか、という歴史の経緯が事細かに描かれているので、シンプルに歴史の勉強にもなると思います。あとは、僕たちが一方的に悪者だと思っていた新選組に仇をなしていた人たちにも理由があり、正義があるという部分も描かれていて、国と同時に「人間」が描かれている作品だと思いました。
そして梅田くんが言ってくれたように、安田先生の持つ画力やキャラクターデザインはキャッチーさを含みつつも血生臭さや汗臭さみたいなものがあったりして、それが読みやすいバランスで成り立っていると感じましたね。
梅田:(安田先生の漫画の)線のタッチや描き込みはすごく迫力があるんですけど、それと同時にキャラクターの眼差しがとても綺麗ですよね?
小林:そうですね。やっぱり、みんな凛としていて今をぼんやりと生きていない、というか。
梅田:うんうん! わかる。
小林:どのキャラクターにも志(こころざし)があって、何かのために生きていると感じられる目をしているんです。
梅田:確かにそうですね!
ーーたしかに、それぞれの瞳から感じるものがあります。それでは、「ちりぬにお」「斎藤はじめ」について、演じる中で感じたことを教えてください。
梅田:におというキャラクターの立ち位置として、新選組の物語を描いていく中での異質な存在というか。他の作品には登場していないですし、史実でも一応は登場していない男の子であるということがあって。ビジュアルも白髪で凛とした佇まいで、13歳という年齢相応な部分と年齢不相応な大人びた部分を併せ持っている魅力的な男の子だと思いました。
あの時代の13歳は、現代よりも人の生き死にを目の当たりにすることが遥かに多いはずですし、ご飯を食べることができないという現実が身近にあります。なので、どこか割り切っている部分もありますが、「なんでこんな世の中なんだ?」や「なんでこんなに自分よりも守るべき子供やお年寄りが虐げられなきゃいけないんだろう?」という年齢相応の疑問も抱えている。
そんな時代の中で、におは土方さんや沖田さんと出会うことでどんどん成長していきますし、におを通して「新選組」のことをより身近に感じられると思います。なので、視聴者から見ても重要な役割を持つキャラクターなのかなと。
小林:はじめは、におたちが抱えている憤りや子供ではどうすることもできないものを「自身の武力でなんとかしよう」と、もがいている少年です。
やっぱり、子供は大人と比べると体格的にも喧嘩で勝つことが難しいと思います。現代では、そういう部分で大人に立ち向かえないところを当時は刀という武器を子供でも振るえる社会で……実際に(刀を)振るう子は少ないと思いますけど。
そのうえで、武力を持って大人たちと対等な言葉を使えるようになるために、血反吐を吐くような修行を重ねるという、本当に精神的にも達観していて頭の良い、強い子だと思いました。自分に何ができるかを理解していて、逆に、におにしかできないことも分かっているんです。
最初のはじめはにおに対して、自分では何もできないのに綺麗事を言うところが引っ掛かっていると思うのですが、徐々に相手を知り、認めていける子供らしい柔軟さも備わっていると思います。とにかく、賢い子という印象です。
ーーキャストが揃ってのアフレコだったと伺っています。折角なので、お互いのお芝居の印象についても伺えますか?
梅田:お芝居の印象を改めてお話しするのは新鮮ですね。
小林:「新選組」だけに?
梅田:新鮮です!(笑)。「我ら壬生浪士……」いや、すみません(笑)。
一同:(笑)
梅田:僕から見たはじめのお芝居の印象は、今お話しされていた達観している部分に加えて、誰よりも努力をしているからこそ、(におを)許せないと感じていて。ただ、絶対ににおを認めないという訳ではなく、真剣に向き合っているからなんです。そういった感情を表に出すキャラクターということが千晃さんとの掛け合いでは伝わってきます。
壁があるのではなく、むしろにおの芯の強さをしっかり感じ取ってくれて、におに接してくれている。はじめとのシーンはマイク前で一緒に掛け合うことが多いので、千晃さんの隣でにおを演じていると、におの等身大の部分を引き出していただいているような感覚もあります。
におは大人と関わることがとても多かったので、はじめという自分が知らない世界を知っている同世代の男の子と接している時のにおを引き出していただいた気がしますね。
小林:(梅田さん演じるにおは)本当に大人に対してもそうですし、はじめや自分以外の子供たちに対しても対等な目線で話していく必要があります。ともすると、すごく大人びて見える部分もあり、(年相応と不相応の)ちぐはぐしている部分の違和感のようなものを梅田くんのお芝居がなくしてくれているように感じます。
におの見た目は少年だし、梅田くんの実年齢よりもにおの方が年下なんですけど、かといって無理に作りすぎることもなく、におの必死さが伝わってくるので、におにぴったりだなと思いました。
梅田:ありがとうございます!