たくさん笑って、ポジティブな気持ちになって、物事に対して真っ直ぐな気持ちでぶつかることの大切さを感じてほしい――『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』ナナ役・水樹奈々さんインタビュー
シリーズ31作目となる『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』が、2024年8月9日(金)より全国の劇場にて公開中。今作では現代に復活した恐竜が、カスカベで大暴れ! シロとカスカベ防衛隊が小さな恐竜・ナナと出会い、生命の垣根を超えた友情を描く笑いあり、涙ありの超巨大作品です。
アニメイトタイムズでは、映画の公開を記念して、ナナ役の水樹奈々さんにインタビューを実施。水樹さんが感じた『クレヨンしんちゃん』の深さとは? 作品の見どころから、アフレコ収録時のエピソード、夏休みの思い出まで、たっぷりと語っていただきました!
「心の動きをどれだけ『ナ』に乗せられるかを考えました」
――30年以上続く『クレヨンしんちゃん』ファミリーの仲間入りを果たせることは、きっと声優業の中でも特別なことかと思います。まず出演が決定した時のお気持ちをお聞かせいただけますか。
ナナ役・水樹奈々さん(以下、水樹):オーディションだったのですが、役が決まったご連絡をいただいた時はすごく嬉しかったです!『クレヨンしんちゃん』は、子どもの頃から拝見していた作品なので、いつかお邪魔できたらいいなぁと思っていました。今回、夢が叶って嬉しかったです。
――しかも同じ名前の役ということもあって運命的な縁を感じますね!
水樹:そうなんです! 名前が私と同じ「ナナ」だったこともあり、予告を見た方からもすごく反響がありました。「すごく可愛いね」「どんなキャラクターなのか楽しみ!」と、みなさんから言っていただけて嬉しかったですね。「ぜひ見てね!」とたくさん宣伝しています(笑)。
――今作はそんな恐竜のナナとの出会いをきっかけに、しんちゃんたちが大冒険を繰り広げます。
水樹:恐竜の役は今までトライしたことがなかったので、とても燃えました! ナナは言葉を喋らず、「ナ」という鳴き声だけで感情を表現しなければならないため、腕の見せ所でもありました。みなさんに愛していただけるキャラクターにするためにどうすればいいのか、ナナの心境を「ナ」という限られた音だけでどれだけ表現できるか、色々と試行錯誤してアフレコに臨みました。
――恐竜ではないものの、水樹さんはこれまで様々な動物のキャラクターを演じられていますよね。それこそ鳴き声で感情を表現する機会もあったと思いますが、どのような要素をフックに役を固めていくのでしょうか?
水樹:まずじっくりシナリオを読み込み、その後演じるキャラクターの視点からどのように見えているのかを考えます。年齢も性別も種属も関係なく、自分が演じるキャラクターの魂を降臨させるような感覚です。役作りに関しては人の役を演じる時と何も変わらないんです。ナナの目線ではこの世界がどのように感じられるのか、想像を膨らませ、それを素直に表現しています。
――なるほど。あくまで言語として喋るかどうかで、根底にある感情は人や動物で大きく違わないわけですね。
水樹:そうですね。感情の動きはしっかりあると思っているので、そのキャラクターの背景から気持ちを考察しています。
例えば今回演じたナナは恐竜の子供だから、知らないことだらけ。まだたくさんの人と触れ合った経験もないので警戒心も強いはず。ならばシロやしんちゃんたちと出会った時にどのような反応をするんだろう? 急に心を許せないだろうな……と、心情を分析していきます。台本には「ナ」しか書いていないのですが、実際にこんなことで喋っているはずと言語化して台本に書き込んでいました。
――そういう意味では人間の役よりも台本の読み込みが重要になりそうです。
水樹:そうかもしれません。言葉を喋るキャラクターであっても台本に書いてあるセリフが全てではなくて、行間を読む必要があります。セリフの内容と反して、心で思っていることは違う場合もあるかもしれない。喋れない分、このようなニュアンスを表現するのが難しいなと思います。
「ナ」だけでナナの感情を伝えるために、抑揚や音の高低差などをどう織り交ぜたら良いのか、深く研究しました。ただ可愛い声で鳴くだけではナナの気持ちは伝わらないので、心の動きをどれだけ「ナ」に乗せられるかが勝負でした。
――しかも作中におけるナナは、本当に喜怒哀楽の感情表現が豊かなキャラクターでした。劇場版ということもあり、展開の移り変わりも激しかったですよね。
水樹:そうなんです! 映画はカット数が多いので、絵がものすごく動くんです! ところ狭しと動き回るわんぱくなナナの画に負けないように、躍動感ある演技を目指しました。