宇宙ステーション・ロムルスへと踏み出した6人の若者たち。どんな逆境にも立ち向かっていく、レインの“芯の強さ”を表現したい――『エイリアン:ロムルス』日本語吹替版 レイン役・戸松遥さんインタビュー
2024年9月6日(金)より、「エイリアン」シリーズの最新作『エイリアン:ロムルス』が全国公開となります。
シリーズの創造主であるリドリー・スコット氏を製作に迎え、監督をホラー映画『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレス氏が務める今作。
人生の行き場を失った6人の若者たちは、自らの生きる希望をかけて惑星上空に漂流している宇宙ステーション・ロムルスに乗り込むことを決意。しかし、彼らを待ち受けていたのは“惑星からの脱出”という希望ではなく、“恐怖”と言う名の絶望に他なりませんでした。
本稿では、日本語吹替版で主人公のレイン役を演じる戸松遥さんへのインタビューをお届けします。以前からシリーズの大ファンだったと語る戸松さん。念願の出演に対する思いや演じるレインの魅力などを語っていただきました。
どんな逆境でもめげないレインの力強さ
ーー以前から「エイリアン」シリーズのファンだったと伺いました。観始めたきっかけは何だったのでしょうか?
レイン役・戸松遥さん(以下、戸松):小さい頃から「エイリアン」シリーズをはじめとした、ハラハラドキドキするタイプの作品が好きだったんです。子供の時の怖いもの見たさではないですが、「怖いけど気になる」という気持ちで観始めたのがきっかけでした。
ーー子供が観るにはハードな展開も多いですよね。トラウマになりそうです(笑)。
戸松:「本当にエイリアンに出遭ったらどうしよう?」みたいな(笑)。やっぱり痛そうな描写とか、地球では考えられないような出来事が沢山起こるので、もちろん恐怖心みたいなものはありました。ただ、「次の作品があるなら観てみたいな」という感じで、トラウマにはならなかったですね。大人になってからは、純粋に怖いシーンやびっくりする演出も含めて、全てを楽しませてもらっています。
ーーちなみに、シリーズの中で一番印象に残っている作品を挙げるなら?
戸松:ダントツで印象に残っているのは『エイリアン4』です。ハッピーエンドとは言えない感じのラストシーンがショッキングで。「平和のためには仕方ないよな」という思いもありつつ、「これで良かったのだろうか……」と道徳的にも考えさせられる作品でした。
ーーでは、今作への出演が決まった時も相当嬉しかったのでは?
戸松:そうですね。実は私、映画の吹替で主演をやるのは初めてなんです。オーディションで決まったのですが、「エイリアン」シリーズで初の吹替主演を担当させていただいて、いちファンとしても誇りに思っています。
ーーファンの目線で観た時、特にテンションが上がったシーンはありますか?
戸松:フェデ・アルバレスさんが監督を務めていらっしゃるので、『ドント・ブリーズ』を観たことある方には、「来た...!!」と思う瞬間があるかなと(笑)。
ーー監督の名前を挙げられる辺り、かなりのホラー映画好きですね(笑)。
戸松:『ドント・ブリーズ』は、個人的な趣味で観ていまして。(本作で)口元を押さえるシーンが出てきたときは、ちょっと嬉しかったです。本当に緊張感のある展開の連続で、観ている側が息をするのも忘れるほどのスリリングな作品になっていると思います。
ーーそんな作品で戸松さんが演じているレインはとても勇気のある女性ですが、序盤は大変な状況に置かれています。
戸松:完全に駒として扱われていて、「一国民は無力」というあの世界の不条理な面を思い知らされました。頑張って働いたのに、いざ(暮らしている惑星から出ていくことを)申請したら「あと数百時間働いてください」と言われていて、「これは流石に酷い!」って(笑)。
ただ、レインはそんな逆境の中でも、芯の強さをしっかりと持っている子なんです。私自身、彼女の前向きなところに元気をもらっていましたし、共感していました。彼女の力強い芯の部分は、常に念頭に置いて演じたいなと。
ーーレインにとっては、一緒に行動しているアンディ(吹替:内田雄馬)も欠かせない存在のように感じました。
戸松:アンディはアンドロイドなんですけど、ふたりは本当の兄弟のようで素敵な関係性だと思いました。アンディが冗談を言って、レインが軽くあしらうとか。そんなシーンも多くて、「いつもこんな感じで、ふたりは言い合っているんだろうな」って。短い会話の中からも、ハッキリと伝わってきました。
ーー物語の中でレインとアンディの関係性は二転三転しますが、ちょっと心が痛むような展開もありました。
戸松:ある意味、アンドロイドという設定だからこその展開だと思います。エイリアンとの戦いで救われる部分もありつつ、ちょっとした変化でこんなに変わってしまうんだという。そこは「エイリアン」シリーズならではの面白さですね。