翔太郎とフィリップを教え導いた鳴海荘吉の生き様――劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』左 翔太郎役・細谷佳正さん×フィリップ役・内山昂輝さんインタビュー|白と黒が入り混じるからこその、完璧ではない”ハーフボイルド”
ハードボイルドを体現する津田健次郎さんのお芝居
ーー今作の台本を読んだ際の印象をお聞かせください。
細谷:今回は劇場版なので、TVアニメには無い余白を作っていると感じました。情報量も多いから。台詞も沢山あったなという印象です。
内山:台本だけではなく、アニメ用にアレンジされている部分もあるので、原作漫画と並べて読んでいくという感じだった気がします。
やっぱり物語の性質上、翔太郎が探偵に辿り着くまでのストーリーでもありますし、フィリップとの出会いでもあるので。ファンのみなさんにとっては、待望の映像化になるだろうなと。それを劇場版としてお届けできるということで、とても楽しいプロジェクト・作品になりそうだと思いました。
細谷:少し質問とズレてしまうんですけど、現場で「台詞の掛け合いを大事にするなら、今のままでは少し映像上の時間がタイト過ぎるんじゃないか」と音響監督の仁さん(明田川仁)が言ってくださったんですね。それによって監督が、「台詞の間尺はズレても大丈夫です」と言ってくれて。
それが僕らとしては、とてもありがたかったです。短い時間に無理やり長い台詞を当て込もうとするより、自然な呼吸で掛け合った方が良いと思うんですけど、それが許せない現場も普通にある中で、「好きなようにやってください」と言ってもらえたのは、とても安心できました。
芝居を優先して考えてくれるんだなと、そういう現場に関われたのは嬉しかったですね。
ーー今作を語るうえで、鳴海荘吉/仮面ライダースカルの存在は外せないと思います。おふたりから見た津田健次郎さん演じる荘吉はいかがでしたか?
内山:本当にピッタリですよね。渋くてかっこよくて、色気も感じられて。アフレコ現場で見ていても、原作で読んだ印象そのままだと思いました。
ーー荘吉は、先程お話されていたフィリップの成り立ちに深く関わる人物ですよね。
内山:名付けられるシーンもあるので、影響はもちろん受けていたはずです。ただ、後々振り返った時に「あの時、あの言葉で心が動いたのかな」とフィリップ自身も思うかもしれないけど、その場においては「教え導かれる」という感じだった気がします。
ーーあの短期間で、人の心を大きく動かせる荘吉ってやっぱりすごい人なんだなと。
内山:確かに、言われてみればそうですね。
細谷:鳴海荘吉に津田さんが凄くあっているし独特の気だるい、タバコの煙が周りを漂っている雰囲気みたいなのがあるじゃないですか?
ーーああ、それこそハードボイルドということですか。
細谷:津田さんの持つ雰囲気が鳴海荘吉をよりカッコよくしてると思うんですよ。高校生の翔太郎として鳴海荘吉と芝居をかけ合えたのは、とても楽しかったです。
左翔太郎と鳴海荘吉の関係は、なんだか懐かしい感じがしました。
ーー細谷さん自身に?
細谷:高校の時の演劇部の先生に僕も憧れた時期がありました。『先生みたいに舞台で面白いことができる様になりたい』と。それに似ているなと思いました。だから『わかるな〜』と思って見てましたね。
ーー最後に、今作のなかで特に注目してほしいシーンや見どころを教えてください。
内山:やっぱり『仮面ライダー』らしさが現れるポイントになるので、アクションシーンには注目していただきたいです。ただ、今回の劇場版は『W』になる前の物語で、翔太郎もフィリップも別にたくさん戦ってきた人ではないんです。
細谷:うんうん。
内山:シリーズアニメで描かれたような戦いとは異なる、戦い慣れていないバトルがどう映像化されるのか。それは僕も楽しみにしているところです。
ーー慣れていない状態の「ファングジョーカー」が、アニメでどう表現されるのかも期待しています。
内山:そうですね。ファングジョーカーはフィリップ主体になるので、シリーズアニメを思い出しつつ、アクションアドリブを入れていました。「激しくやってほしい」と演出されて。獣感をガンガン出してほしいと。
ーー細谷さんはいかがですか?
細谷:今作の見どころ、おすすめポイントは……。
内山:ツダケンさん?(笑)
細谷:ツダケンさん(笑)。
内山:間違いない。
細谷:翔太郎の憧れである鳴海荘吉とはどんな人だったのか、視聴者の皆さんに興味を持って見て頂けると思います。楽しみにしていてください。
[インタビュー・撮影/小川いなり]