
アイドルとしての輝きと、その裏にある人間臭さ「大きな劇場で観てもらうとそれがグッとくるのかなって」――i☆Risの軌跡を辿る『Live & Documentary Movie ~i☆Ris on STAGE~』久保田 未夢さんインタビュー
思い出の地として選んだのは……
――ところで、思い出の場所として、久保田さんが選んだのは池袋。そしてアニメイト池袋本店をピックアップしてくださっていて! ありがとうございます!
久保田:挙げるしかないですよ! いちオタクだったころから、毎週のように通わせていただきました。むしろお邪魔させていただきありがとうございます、です。
――その詳しいお話は映画で確かめていただくとして、そこではお話でしきれなかったアニメイト池袋本店にまつわるエピソードをうかがえたらなと思ったのですが……
久保田:いや、もう、めちゃくちゃありますよ! やはりアニメやゲーム、漫画が好き!という思いが根底にあったから、今こうしてi☆Risとして、声優として活動しているので。
今、アニメイト池袋本店は新しくなっていますが、サンシャインシティの前に在る頃から通っていました。アニメイトでは絶対にエレベーターは使わず、階段で登っています(笑)。で、階段にずっといたり……。
今はより大きくなりましたが、一個前のアニメイト池袋本店でイベントをさせていただいたこともありますし、今でも普通に買い物に行ったりしています。ここ最近はお仕事で行く機会がなかったので、普通にプライベートで遊びに行っているところに、撮影チームや普段一緒に仕事をしているメイクさんやスタッフさんと一緒に行くのは、なんだか不思議な気持ちでしたね(笑)。
ひとつ前のアニメイト池袋店で、ガチャガチャコーナーとなっている外のスペースに特設ステージを作っていただきイベントをしたことがあるんです。普段私たちがライブをしている会場は、ライブハウスが中心で、フリーライブとなるとショッピングモールが中心となるんですけども……アニメイトさんの周辺にはアニメの広告がバシバシ貼ってあるじゃないですか。普段、ライブ中はファンのことを見なきゃいけないんですけども、確かその時『薄桜鬼』の広告があって、ライブ中にそっちばかり見てしまっていました(笑)。マジ申し訳ないなって思いながらも、己のオタク心に勝てず……。
――戦いが(笑)。ところで、久保田さんはライブのことを戦(いくさ)とコメントされていましたね。
久保田:オタクと戦ってるなぁってめちゃくちゃ思っていますね。i☆Risのライブは特に、ファンも熱をぶつけてきてくれるんですよ。お互いがお互いに「私を見ろ!」「俺を見ろ!」と(笑)。
――その中で、自分自身との戦いもあるのでしょうか。
久保田:そういう意味も、もちろんあります。i☆Risちゃんはライブの準備期間が短期集中型で2週間くらい前にライブの準備をはじめるんですよ。
――それはすごい。
久保田:ありがたいことに作品のライブに出させていただける機会もあるのですが、そうなるとi☆Risのリハの時間と被ってしまうことがあるんですよね。3つくらい重なると、覚えなきゃいけないことで頭がパンパンになるんです(笑)。だから頭の中でも戦っていますね。
――最近だとSoLaMi SMILEスペシャルイベント「Sky! smiLe! Music!」もありましたもんね。
久保田:そうなんです! そらみの単独がありました! 今年はプリティーシリーズも10周年で、お祝いの年ですね。
〈アイドルを生きている〉その真意
――それにしても主題歌の「愛 for you!」、しみじみ良い曲ですよね。
久保田:良い曲ですよね!(笑)
――「愛 for you!」の歌詞の〈アイドルを生きている〉という言葉が本作のキャッチコピーとなっています。久保田さんにとって、〈アイドルを生きている〉という言葉はどういう意味を持っているのでしょうか。
久保田:確かその部分は山北(早紀)が作詞したんですよ。「愛 for you!」が完成したときに「めっちゃ良い言葉だな!」って思いました。「アイドルになる」ともまた違った言葉だなって。それこそ、そらみであれば「アイドルになる」だと思うんですよ。だけど、i☆Risは自分自身。
自分自身としてステージに立っているから〈アイドルを生きている〉って感覚はあるなと。◯◯だから、アイドルを生きてる!とまでは言語化できないんですけども、分かるなって思いました。
――改めて、久保田さんとしての映画の見どころはどんなところだと感じていますか?
久保田:私は……恥ずかしいですけども、過去のライブから今までのライブが見られるものは今まで無かったので。どうしてもライブのDVDって「その年のライブがすべて見られますよ」、じゃないですか。歴史を辿ろうと全部のDVDを見るのは大変ですが、それを2時間かからない中で見ることができる。それはすごく良いんじゃないかなって思いますし、初期から応援してくださった方は懐かしめるんじゃないかなって。また、これから見られる方は「i☆Risちゃんってこんなに振りが揃ってない時期があったんだ!」と思われるかもしれません(笑)。
――確かに最近は、フェスで初めてi☆Risのライブを見たという方も、少なくないでしょうし。
久保田:そうですね。でも我々って準備期間ほぼなくデビューしてすぐに現場に出されていたタイプだったので、本当に最初はボロボロのライブをしていて(苦笑)。今でこそ私たちのことを「できる子たち!」「歌やダンスをそこそこちゃんとできる」といった印象を持ってくださる方もいると思うんですが、そんな私たちにもこういう時期があったんだよっていうのを感じてもらえるんじゃないかなと。
――〈アイドルとして生きる〉5人の、ある意味、人間臭い、泥臭い映画とも言えるのかもしれないですね。
久保田:確かに! 特に私たちはがむしゃら感が強いグループなので……本人たちとしては恥ずかしいんですが(笑)、大きな劇場で観てもらうとそれがグッとくるのかなって思います。人間、そんなに完璧な人なんていないんだよ!ってことも感じられるんじゃないかなと(笑)。
――i☆Risってそう簡単に成れるものでも、マネできるものでもないんだなと改めて思いますね。華やかさと努力が同居してる。
久保田:いや、でもできますよ!
――えっ!?
久保田:よく言われるんですよ。「あんなに激しく踊るなんてできないよ」って。でも私も最初、歌もダンスもやったことなく、2ステップすらうまく踏めない人間だったので。私自身が全然できなくて。でも歴を重ねてきたらこうなるので、私はアイドルは誰でもできるものだと思っています。ただ、“続ける根性”も大事で。i☆Risはメンバー全員が続けるという根性だけはあったんだなと思います。それは周りに恵まれたおかげでもあります。
――2024年11月4日(月祝)にぴあアリーナMMで行われる『i☆Ris 12th Anniversary Live‐初☆アリーナMM(マジみて)-』も楽しみです。
久保田:これまでも周年ライブやツアーは毎年やらせてもらっていますが、はじめてのアリーナとあって、スタッフさんも私たちも気合いが入っています。特設サイトもできていて、その気合いはファンの人も感じ取ってくれているんじゃないかなと。
また、ファンの方からも「俺たちも盛り上げるぞ!」という気合いを感じているので、一丸となって、みんなで「楽しかったね」と言える1日になったら良いなと思っています。
――楽しみですね。i☆Ris史上最大キャパライブになります。毎週金曜日にリアルな数字を発表するという面白い試みも。
久保田:開催の3ヶ月前からすでにそういう取り組みをしてるってすごいですよね。今までのi☆Risちゃんのライブは、私たちも仕上げてきて、ファンも各々楽しみにして、ライブ会場でそれがうまく混ざり合うってことが多かったと思うんですけど……3ヶ月も前から、生配信でファンのみんなと「12周年のライブを一緒に盛り上げていこうね!」と語り合ったり、「こういうことをしようね!」と考えたり……みんなで一緒に作っていくというスタンスのライブを今こうやってできるのはありがたいなって思っています。また、数字が出ていると、私たち以上にファンの皆さんも熱く燃えてくれるんじゃないかなって。
みんなで一緒に準備して、世界でいちばん楽しい1日を作れたらいいなって思っています。
[インタビュー・逆井マリ]
『Live & Documentary Movie 〜i☆Ris on STAGE〜』
2024年9月全国ロードショー
・CAST
山北早紀
芹澤 優
茜屋日海夏
若井友希
久保田未夢
主題歌:「愛 for you!」/i☆Ris
監督:野中哲也
脚本:金森直哉
配給表記 エイベックス・フィルムレーベルズ