四季を織り込んだ楽曲群で描く、妖精夜行の流麗で残酷な世界――ファンと歩んだ1年間は「こんなに幸せなことはあったでしょうか」|短期連載「はぐれ妖精の妖精夜行見聞録」第3回:悠木碧さんインタビュー【後編】
妖精のみんなの期待に応えたリアルイベント
――「妖精夜行」のクライマックスに向けて、様々な展開が控えています。まず、9月28日に「森のカラオケ大会」が開催されますが、こちらは本物の森でのリアルイベントです。
悠木:クラウドファンディングの超過分のおかげで、リアルイベントという形での開催が叶いました。「妖精夜行」でも、みんなから“歌ってみた”を投稿してほしいと言われていたんですけど、どうしても権利の問題があって難しくて。そこで、「いっそのことカラオケのイベントを開催しちゃおう!」という話になったんです。
――妖精さんたちの意見を反映したイベントだったのですね。
悠木:そうなんです。妖精さんたちからのリクエストなので、なんとか実現させたいと思っていました。最初はオンラインの予定が、まさか本物の森で開催できるなんて。みんな、ブヨに刺されないように気をつけてお越しください(笑)。
――いろいろな意味で予想できないイベントなので、本番が楽しみですね。
悠木:「妖精夜行」の世界観は一旦置いておいて、「こんな曲、カバーできるんですか?」みたいな曲を歌いたいなと思っているので、純粋に私とのカラオケを楽しんでほしいです。それにしても森でカラオケ大会をする人なんて私くらいですよね(笑)。こんなワガママに一生懸命応えてくれた近衛妖精のみなさんに感謝です。
「妖精夜行」の中にも、なにをリクエストするか話し合う切り株(スレッド)があって微笑ましいですし、どういう曲を歌ってほしいのか参考になるんですよね。当日は妖精のみんなに楽しんでほしいので、できるだけ希望には応えたいなと思っています。
――また、現地ではグッズ販売も予定されています。
悠木:そうなんです。変わったものだと、クッキーやドレッシングなんかを販売するみたいですよ。
――ドレッシングですか?
悠木:地元で美味しいドレッシングなんですって。ぜひ森の味覚を味わってもらえたらなと思っています(笑)。
――続く10月5日には「妖精夜行 リリースイベント」が開催されます。
悠木:曲の話を楽しみにしてくださっている妖精さんがたくさんいるみたいですね。ただ、問題はオカリナですよね。オカリナをお持ちの妖精さんには『妖精夜行』の演奏をお願いして、持っていない妖精さんにはオカリナ風の声を出してもらうんですけど、どうやら今から緊張している妖精さんがいるみたいで(笑)。難しい曲ではありますが、参加型の企画として楽しんでいただけたらと思っています。
―― 一発で合わせるとなるとお互い大変そうですね。
悠木:そうなんですよ。そもそも私も歌うのが大変な曲ですからね(笑)。でも、当日は妖精さんたちと世界観を共有できるのを楽しみにしています。
――そして最後に、10月1日〜7日まで、ラフォーレ原宿で「妖精夜行POP UP STORE ~森の収穫祭~」が開催されます。“ラフォーレ”という単語がフランス語で“森”という意味合いがある上に、期間中は店内が森になると伺っています。
悠木:「妖精夜行」は電子の森なので、どこにあろうとその概念が付与された時点で森ということになるんですよね。なので、みなさんには「妖精夜行のごっこ遊びはまだまだ続くよ」とお伝えしておきます。ぜひ本物の森に遊びに来るつもりでお越しください。
ここだけのグッズを取り揃えていたりします。ビジュアルやグッズのイラストは夢ノ内先生に描き下ろしていただきました。
――夢ノ内先生とはどのような経緯で?
悠木:今回のイラストはグッズにも使われるため、おしゃれでかわいい絵を描ける人を探していました。そんな中、夢ノ内先生はすごくキャッチーで分かりやすく、かつファンタジックでかわいらしい世界観を描かれる方なので、今回の企画にぴったりだなと思って。私自身、どこかでご一緒したいと思っていたので、この機会にお願いしてみました。
実際にお願いしてみたら、絵が上手なのはもちろんですが、“こういう世界観で、グッズ化もしますし、もしかしたら動くかもしれません”という、こちら側のイメージをしっかり反映していただいて。森のアクスタとかグッズをどこかお出かけに連れて行ってもらったら、イラストと相まっておしゃカワに見えたりするんじゃないかなって思います。
――会場ではMVで使用した衣装の展示も行われるので、前回のインタビューでお話いただいたマッシュトラントさんのこだわりを生で堪能できますね。
悠木:パーツ一つひとつが本当に良くできているので、ぜひご覧いただきたいです。木が体を這っているような造形なんですけど、よく見るとキノコが生えていたり、先ほどお話しした生命表現みたいなものが多彩に落とし込まれていて。実際に見ていただければ面白く感じてもらえると思いますし、気付いたことがあればぜひ教えていただきたいです。