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『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』声優&スタッフが語る28年越しの制作秘話【インタビュー】

『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』渕崎ゆり子さん、池澤春菜さん、アミノテツロー監督、高見明男さんインタビュー|28年の時を経て語られる制作秘話。黒沢太の再登場や、『WGP』でローラースケートを履くようになった理由とは

黒沢の再登場には「このキャラクターをここで終わりにしたくない」という想いが

――アニメオリジナルのエピソードもたくさんありましたが、どのようにして作られたのでしょうか? 個人的に、ライバルとして登場した黒沢太の活躍が印象深いです。

アミノ:まず前提として、原作が月刊誌ということもあって、アニメ化するにあたって本数が足りなかったんですね。じゃあどうしようとなった時、アニメーションって登場人物が大事なポイントで。最初にちょこっとだけ出てきて、あとはいなくなるポジションはライターさんが嫌がるところでもあったので、キャラクターは大事にしていきたいという話になりました。

ありがちといえばありがちなんですけど、敵として出てきたキャラクターが味方になる展開って、それだけで燃えるじゃないですか。そういうのも含めて、ライターさんとしては書いていると感情移入しちゃうから「このキャラクターをここで終わりにしたくない」という想いも出てきて。そういうキャラクターに後から役割与えてみたりして、組み立てていきました。

シリーズ構成は星山(博之)さんという方がなさっていたんですけど、元々星山さん自身がそういう配置変えを意識される方なのもあって、その方向に方針が固まったあとに、各ライターさんがやりたいことを提案していった……という流れでした。だから基本的にはアニメのエピソードはキャラクターありきで作られていますね。

――終盤のカイやゲンの改心なんかも、ファンからの人気が高いシーンです。

アミノ:やっぱり子供って大人の意見に左右されちゃうんですけど、それが的外れだったりすることもあるかもしれない。そこから行動していくうちに、子供自身がそれに気づくことだってあると思うんですよね。

特にレーサーだったら、まず「負けたら悔しい」という想いが根底にあるはずだから、その感情に正直にさせたかったと言いますか。ゲンやレイの見せ場は、後ろの方に集まっちゃうので、そこをまとめる難しさはありましたが、「彼(彼女)らだったら、きっとこう思うよな」と想像できるようなシーンは、素直に描きたいなと考えました。

――ミニ四駆という題材は一般的なカーレースとは描き方も違うと思うんですが、レースの演出はどのように作られていったのでしょうか?

アミノ:まず原作を読んで、「こんなことをやっているんだ」というところからイメージを広げていったのが一つですが、今なら確実にCGでやることを作画でやっていたので、予算の範囲内でどこまでできるかという悩みはありましたね。

その中でもうまく行ったのは、雷で木が倒れてコースを塞ぐみたいな、ある種のツッコミどころみたいなのを許容してくれる原作のダイナミズムみたいなもののおかげなのかなと。そもそも現実だと「“走るとカッターのように物を切る”ってどういうことだ?」ってなりますから(笑)。その「どういうこと?」ができる作品だったので、レースはそのノリで面白くできたんですよね。

あとはライターさんが何をやりたいかとか、演出としてどんな見せ方をしたいかとか、それぞれの味を出そうとスタッフの皆が頑張ってくれた結果なんじゃないかと思います。

――作画側の立場として、大変だった思い出とかはありましたか? イベントでは、1週間会社に泊まって……といったお話も出ていましたが。

高見:アニメ制作は集団作業で、それぞれが得意な分野をやっているので、実はそんなにはなかったです。会社に1週間いたという話も、当時はそれが普通だと思っていましたし(笑)、大変だったというより楽しかった印象の方が強いですね。思い出深いのは劇場版で、自分でもよく出来たと思っていますし、今でもたまに見返すくらい好きですね。

池澤:最後まで突っ走ってるのが良いですよね。最後にミニ四駆が炎の中から出てくるシーンとか、エンディングの曲も合わさっていつも泣いちゃいます。

高見:すごく痛快でいいよね。今日もあのシーンだけ見たかったくらい(笑)。

アミノ:そういう演出は、やっていく内にアイディアがどんどん出てきたんじゃないかと思うんですよね。省略の仕方とかも含めて、「こういう風にやるとスピード感が出て迫力が出る」みたいなのが分かってくるから、後半に進むにつれて迫力も増していってたんじゃないかなと。

高見:演出の話だと、一つビックリしたことがあって。劇場版に登場するガンブラスターっていうマシンのフロントに文字が表示されるシーンがあるんですけど、ローマ字なのでちゃんと読めるようになっているんですよ。それを読むと、ガンブラスター自身の心情みたいなものが分かるようになっていて、すごいなと思いました。是非見直してみていただきたいです。

世代を越えて楽しめる、ミニ四駆がもつ魅力

――放送当時のミニ四駆の第2次ブームの盛り上がりは、どのように感じられていましたか?

池澤:アニメのイベントも多かったですし、ミニ四駆のイベントにも呼んでいただくことも多くて、渕崎さんと一緒に1/1ガンブラスターがあった鈴鹿にも行ったりしましたね。コミケでも、ちゃんと“ミニ四駆”っていう一つのジャンルとして確立されてたり。

渕崎:イベントにも、小さい子とお父さんとか、親子でいらっしゃっている方が多かったのが印象に残ってます。女の子もすごく多くて、今振り返っても本当に社会現象だったなと。

池澤:イベントの時、「烈兄貴、愛してるぜ」と言って欲しいとリクエストされたお客さんがいて、それを言ったら膝から崩れ落ちていった出来事を思い出しました(笑)。

――(笑)。けど、その後も何度もブームが起きているのがミニ四駆のすごいところですよね。

池澤:当時見てた人たちが今お父さんになっていて、世代を越えて楽しめるのも、ずっと愛され続けている理由なんだと思います。大人は大人なりのお金のかけ方(笑)、子供は子供なりの工夫の仕方があって、それぞれが世界に一台しかない自分だけのミニ四駆を作れるってすごいことだなと。

――今のお話にもかかってくるところだと思いますが、『レッツ&ゴー!!』やミニ四駆が、ここまで長く愛されたのは、どんな魅力があったからだと感じられていますか?

池澤:全部じゃないですかね。キャラクターやお話の魅力もそうですし、アニメが現実になるアイテムとしてミニ四駆があって、それを自分で作ったりカスタマイズしたりすることで、作中の烈や豪たちの気持ちが分かってくるわけじゃないですか。

自分で作ったマシンが壊れたら悲しいことを実際に知っているから、烈や豪たちが必死になってマシンを守ろうとしていた理由が理解できる。そういう要素がホントに奇跡のように重なって、作品やミニ四駆の人気に繋がっていったんじゃないかと思っています。

渕崎:やっぱりキャラクターの魅力と、大人と子供の関係性的なドラマでしょうか。子供が一方的に大人に教わるのではなくて、レースを通じて子供たちが自分自身で物事を考えるようになっていく。そういう子供たちの成長物語は、魅力的なポイントだったと思います。

あとは、春菜ちゃんが言ったように、アニメで走っているマシンがそのまま買える喜びは大きいですよね。コースを用意するのは難しかったかもしれませんけど、そういうリアルとアニメの境みたいなのも良かったのかなと思います。

アミノ:アニメは、こした先生の原作が持っている“ストレートさ”といった要素を意識して作っていたんです。変に捻くれていなくて、登場人物が皆まっすぐというか、実は大神ですら結構まっすぐなんですよ(笑)。これは想像なんですけど、そういうところが皆も素直に見られて良かったんじゃないかなって。

あとはミニ四駆が自分で作れて組み立てられる物という部分は、ライターの皆も意識してシナリオに組み込んでいたので、ちゃんと親近感が湧く仕掛けになっていたのかなと思います。

高見:玩具としてのミニ四駆はもっと前からあったわけですが、『レッツ&ゴー!!』がちょっと違っていたのは、キャラクターが可愛らしくて掛け合いも面白かったんですよね。

豪は分かりやすい熱い男で、すぐに突っ走るんだけど、お兄ちゃんの烈は対照的に冷静で、そのふたりの掛け合いがあると、レースをしてなくても面白いんです。今ならレースをしない日常回みたいなのをやるのもアリなんじゃないかなと思ってるくらい。そこにミニ四駆という要素があわさったドラマになっていたのが良かったんだと思います。

――最後に、『レッツ&ゴー!!』のファンに向けてのメッセージをおひとりずつお願いします。

アミノ:『レッツ&ゴー!!』は誰が見てもいい……と言うと、ちょっと変な言い方になるかもしれませんが、純粋に「小さい男の子が楽しめる」ことを意識して作った作品なので、とにかくそこを楽しんでいただければ嬉しいです。

高見:僕、『レッツ&ゴー!!』の後にちょっとセクシー系のアニメをやってたんですけど、『レッツ&ゴー!!』を小学生時代に見てた子が大人になって、「子供の頃も高見さんに楽しませてもらいましたが、大人になってからも楽しませてもらいました」と喜んでくれたことがありまして、個人的にそれがすごく誇らしいです(笑)。

渕崎:私はこの『レッツ&ゴー!!』という作品と、星馬烈という宝物に出会えて、本当に幸せだなと思っています。キャラクターがあってこその自分たちで、それを今も愛していただき、今回のような素晴らしいイベントでBlu-ray BOXが発売される喜びを皆さんと分かち合えたことが本当に嬉しいです。今後とも、どうぞ応援をよろしくお願いいたします。

池澤:今回は壇上で喋っていましたけど、気持ちとしては皆と同じ座席でアニメを見たかったくらい、私も『レッツ&ゴー!!』という作品の1ファンでもあるので(笑)、この機会に監督や高見さんから、私達も知らなかった作品のお話を聞くことができて、とても楽しかったです。

イベントでも言いましたけど、まもなく30周年なので、何かあるといいな、何もないのはイヤだなって(笑)。何か素敵なサプライズを、みんなにお届けできればという気持ちもありつつ、同時に私たちも驚かせてほしいなと思っています。引き続き、応援よろしくお願いいたします!

――ありがとうございました。

[取材・文/米澤崇史 撮影/MoA]

商品情報

TVアニメ『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』BD-BOX
TVアニメ『爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGP』BD-BOX
TVアニメ『爆走兄弟レッツ&ゴー!!MAX』BD-BOX

【発売日】
第1期:2024年7月24日(水)
WGP:2024年8月23日(金)
MAX:2024年9月27日(水)
【価格】各巻29,700円(税込)
【組数】各巻BD Disc 2枚組
【収録分数】
第1期:本編1147min.(全51話) 
WGP:本編1147min.(全51話)/劇場版80min. 
MAX:本編1147min.(全51話)
【品番・JAN】
第1期:FFXC-9042・4589644804015
WGP:FFXC-9043・4589644804022
MAX:FFXC-9044・4589644804039
【音声仕様】日本語/STEREO
【画面サイズ】4:3(480i)
【ディスク仕様】BD50G
【制作年】1996年~1998年
【制作国】日本
【発売元・販売元】株式会社フロンティアワークス

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※収録される本編映像はハーディング処理を施していないマスター原盤を使用しております。
※仕様・特典内容は全て予定です。予告無く変更になる場合がございます。
  

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