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『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』声優&スタッフが語る28年越しの制作秘話【インタビュー】

『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』渕崎ゆり子さん、池澤春菜さん、アミノテツロー監督、高見明男さんインタビュー|28年の時を経て語られる制作秘話。黒沢太の再登場や、『WGP』でローラースケートを履くようになった理由とは

『月刊コロコロコミック』で連載、こしたてつひろ先生のコミックを原作としたTVアニメ『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』。1996~1998年にかけて放送され、今もなお多くのファンに愛されているミニ四駆の第2次ブームを巻き起こした伝説的な作品です。

2024年8月24日には、本シリーズのBD-BOX発売を記念したイベントが東京・アニメイト池袋本店にて開催。渕崎ゆり子さん(星馬烈 役)、池澤春菜さん(星馬豪 役)、アミノテツロー監督(『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』『爆走兄弟レッツ&ゴー!! WGP 暴走ミニ四駆大追跡!』監督)、高見明男さん(『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』『爆走兄弟レッツ&ゴー!! WGP』キャラクターデザイン)が登壇しました。

アニメイトタイムズでは、本イベント終了後の4人にインタビューを実施。放送当時のTVアニメにまつわる思い出から、今もなお愛され続ける『レッツ&ゴー!!』とミニ四駆の魅力まで、大変貴重なお話を伺うことができたインタビューをお届けします。

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『月刊コロコロコミック』で連載されていた、こしたてつひろ先生のコミックを原作としたTVアニメ『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』。1996~1998年にかけて放送され、今もなお多くのファンに愛されているミニ四駆の第2次ブームを巻き起こした伝説的な作品ですが、2024年8月24日にはそのBD-BOX発売を記念したイベントが東京・アニメイト池袋本店にて開催されました。ここでは、当時のキャストとスタッフ陣が登壇して行われた生オーディオコメンタリーと共に、貴重な裏話が語られたイベントの模様をお届けしていきます。出演渕崎ゆり子さん(星馬烈役)池澤春菜さん(星馬豪役)アミノテツロー監督(『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』『爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGP暴走ミニ四駆大追跡!』監督)高見明男さん(『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』『爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGP』キャラクターデザイン)第25話の生オーディオコメンタリーでは様々な裏話が語られるイベントが始まると、渕崎さん、池澤さん、アミノ監督、高見さんの4名が登壇。最初の挨拶では、渕崎さんと池澤さんが久しぶりにファンと一緒に『レッツ&ゴー!!』のイベントに参加できる喜びを明かしつつ、お馴染みの「いけ、ソニック!!!」「かっとべ、マ...

放送から28年経ってもなお愛される『レッツ&ゴー!!』

――アニメの放送から28年ほど経ちましたが、今回のようなイベントに参加されたお気持ちはいかがですか?

渕崎ゆり子さん(以下、渕崎):すごく嬉しかったです。(池澤)春菜ちゃんとは、ここ最近、CMとか『ポプテピピック』でご一緒してはいましたが、今回はアミノ監督や高見さんと一緒にお客様の前でお話できて、しかもたくさんの方にお越しいただいて、幸せな気持ちでいっぱいです。

池澤春菜さん(以下、池澤):今回、客席の皆さんが本当に慈愛に満ちた眼差しだったというか、 すごくニココニコした顔で、私たちの話すこと1つ1つを受け止めてくださっていて、 「この人たちに支えられているんだな」としみじみ思いました。

28年前、世代的には当時小学生だった人たちが、今大人になってもこうして集まってくれたんですよね。自作の応援グッズを作ってきてくれた方までいて、「こんな幸せってある?」と思いました。やっぱりお客様と一緒のイベントっていいなと改めて感じていますね。

――制作陣のおふたりとしては、オーディオコメンタリーで改めて映像を見ていかがでしたか?

アミノテツロー監督(以下、アミノ):粗相があってはいけないから一応予習はしたんだけど(笑)、本当に内容を覚えてなかったから新鮮でしたね。こういうイベントってあまりないですし、思ったことを全部言えるわけじゃないので、何を喋ったらいいか、ちょっと困りましたけど(笑)。

高見明男さん(以下、高見):当時ってやっぱり作画はセル、撮影もフィルムなので、やり直しできず、見返した時に「あそこをもっとこうした方が……」と感じる部分が出てくるんですね。

今だとデジタルで直せるんですけど、フィルムだと現像し直さないといけなかったり、時間もお金も掛かっちゃうんで、泣く泣くそのままで行かないといけないことも多くて。監督はおっしゃられなかったですけど、多分そういうところもあったんじゃないかなって。

アミノ:いや、俺はあんまり気にしないよ(笑)。

高見:(笑)。自分としては、見ていてちょっと気になるカットがあったりしたんですけど、まぁ自分の担当回じゃないので、若干他人事なところはありました(笑)。でも、自分の回だったらそういう風に思うところは絶対あっただろうなと。

池澤:私たちも見ていて、「今だったらこう演じるかな」って思うところはありますね。ただ、決して上手ではないかもしれませんが、当時のがむしゃらで前のめりな感じとか、できることは全部やるんだっていう、熱量とか勢いみたいなものがそのまま閉じ込められているとも感じられて。そういう意味でも、当時の私はいろんな意味で豪だったんだなと思いました。

渕崎:あの頃の青い感じがすごく良かったよね。

それぞれの『レッツ&ゴー!!』との出会い

――当時、『レッツ&ゴー!!』に関わることになった時の心境は覚えておられますか?

池澤:結構いろんなところでお話をしているんですけど、私は最初オーディションは、豪じゃなく(佐上)ジュンちゃんで受けていて。その時、一緒に烈と豪役のオーディションがペアで行われていて、たまたま豪を受ける予定だった方が、前の仕事が押しているとかで、遅れることになったんです。

「だったら、せっかくいるんだからちょっと相手役をやってくれないか」という話になって、急遽豪を演じることになったんですが、それまで男の子役をやったことがなかったし、どう演じたらいいかも全然分からなかったんですね。でも、そもそも代役だから何も怖いものがなかったので(笑)、「できることは全部やって、相方の人の邪魔にならないようにしよう」とだけ考えていました。実は、その時の相方が渕崎さんだったんですよ。

――ええっ!? それはすごい……。

池澤:当時の私はそれでやりきったつもりで、「これが私の男の子かぁ」くらいの感覚だったんですけど、しばらくしてからジュンちゃんじゃなく豪の方で受かったと聞いた時は、もの凄い衝撃でした。

渕崎:私の方は、それまでにも男の子の役もいただいたことはありましたが、どちらかというと突っ走り系というか、まさに豪みたいなタイプの子が多かったんです。烈みたいにちゃんと物事を考えて、気持ちも繊細っていう少年は初めてだったので、新鮮な気持ちと一緒に、どうしたらいいのかなっていう葛藤みたいなものはありました。

烈は追いつめられると爆発するタイプなんですが、そこは私自身もちょっと似ているところがあって(笑)。演じていくほど親近感が湧くようになっていきましたね。でも、今でもなんで私達を選んでくださったのか、聞いてみたい気持ちはありますね。

池澤:(アミノ監督に)実際、そのあたり覚えておられます?

アミノ:覚えてる覚えてる。とくに豪は、代役だったしね。「いるんだからやってもらえばいいじゃん」くらいの感覚だったんだけど、個人的には主人公ってやっぱり特別というか。ざっくり言っちゃうと、他の作品と被ってたりするとちょっと嫌なんですよね。

他に誰が受けたかまでは覚えてないんだけど、それぞれ個性はあるものの、どこかで聞いたことがあるように感じちゃって、(池澤さんが演じるまで)ピンと来てなかったんですよ。烈の方も、いろんな要因はあるんですけど、その時一緒にペアでやってたのが一番大きいのかも。

たぶん、組み合わせの相性みたいなものを感じたんでしょうね。豪の方が初めてなのもあって、サポート的な部分も含めて渕崎さんが良いんじゃないんですか、という話はしていたと思います。

渕崎:実は、春菜ちゃんのおかげだった!(笑)

アミノ:いや、決してそういうわけではないんだけど、ああいうのって、なんか不思議なタイミングなんだよね。その時にふたりのやり取りを聞いて、「他の人はもう考えられない」って状態になってたんじゃないかと思いますね。

――ある種の“運命”みたいなものを感じるお話ですね。アミノ監督ご自身は、関わられると決まった時はいかがでしたか?

アミノ:ちょっと記憶が曖昧な部分はあるんですけど、ジーベックができたばかりの頃、葦プロ(※葦プロダクション)にいた頃の繋がりで、当時社長だった下地(志直)さんに「新番組をやるから手伝ってほしい」と誘われたのがきっかけだったと記憶してます。その時にはもう原作はスタートしていたかな。

僕はそれまで、子供向けの作品をあまりやったことがなくて、オリジナルが多めだったんですね。しかも、コロコロコミックの作品も初めてだったのもあって、面白そうだなと思ってお引き受けしました。

原作を読んだ時、ミニ四駆のスピード感は知っていたので、一緒に子供たちが走ってるのが衝撃だったんですよ。あの題材で作品を作るなら、普通はもっとSF寄りの、架空の世界っぽさを強めにすると思うんですが、『レッツ&ゴー!!』って、子供たちを実際に走らせているじゃないですか。そこがすごく新鮮で、「これがいいんだ」とも感じたポイントでもありました。

ただ、小学館側のプロデューサーの中沢(利洋)さんは、逆にそこを気にされていて、『WGP』ではローラースケートを履くことになったんです。

――あのローラースケートにそんな秘密が……。僕は放送当時小学生だったんですけど、男子は皆アニメの真似でマシンと一緒に並走しようとして、その度に断念してたのを思い出しました(笑)。

アミノ:無理無理、それは絶対無理です(笑)。

――高見さんは、その頃のこと覚えておられますか?

高見:自分の場合は、さっきの話にも出てきた中沢さんとは葦プロで『YAIBA』を手伝った縁があり、それで気に入っていただいたみたいで。その時のデスクプロデューサーが下地さんなんですけど、ちょうど僕が葦プロから独立する時に、「『レッツ&ゴー!!』を一緒にやらないか」というお誘いを受けました。

ただ、その頃の我々って、アニメファンが見るようなちょっとマニアックな作品を多めにやっていたんです。後で下地さんが「我々には向かないんじゃないか」のようなことも言っていたくらい、なかなかできそうな人がいなくて。それで自分にお鉢が回ってきましたが、実は最初あまり乗り気じゃなかったんですよ。

――ええっ!? まさかのお話が……。

高見:というのも、僕にとって初めてのTVシリーズのキャラクターデザインだったんです。だからなるべくマニアックな作品をやりたかったんですが、誰もいないなら仕方ないか……みたいな温度感でした(笑)。でも、携わるうちに好きになっていきましたし、夢中になってやりましたね。

――キャラクターデザインでいうと、原作のこした先生は書き込みがすごい印象ですが、どのような点を意識されていたのでしょうか。

高見:基本的にメカとキャラで担当が分かれていて、僕はキャラの方を集中してやっていたので、ミニ四駆の方の苦労は分からないんですけど、キャラについてはとにかくこした先生の絵を再現することですね。ただ、やっぱり漫画は平面なので、アニメで動かすにあたって立体にしないといけないため、ちょっといじらないといけなくて。後半にいくにつれて絵がちょっと変わっていったところはありますね。

アミノ:耳は大きくなったよね。

高見:自分でも分からないんですよ。なんでこんなでかくなるのか(笑)。

池澤:輪郭とかの線も太くなっていきましたよね。そこからスピード感とかエネルギーを印象付けていたような気がします。

高見:あれ、どうしてかと言うと、忙しくなってできるだけ1発で描けるようにするためなんですよ。失敗した線も消さないでそのまま残していると、もっと早く描ける上に、何本も描いたら余計かっこよくなったので、それが癖になっているところはあります。おかげで描くのは早くなって、今回のパッケージイラストに関しても、もう一回描けば良かったかも、みたいな気持ちもありますね(笑)。

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