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『ちびゴジラの逆襲』ちびゴジラ役・福山潤インタビュー

『ちびゴジラの逆襲』ちびゴジラ役・福山潤さんインタビュー|恐怖の存在×みんなのアイドル=シュールなコメディ!? ひとつひとつのセリフに込められたエネルギーは“放射熱線”クラス

ちびゴジラはボケもツッコミもできるユーティリティプレーヤー

ーー演じるちびゴジラの印象と魅力を感じる点を教えてください。

福山:アニメのちびゴジラは、ボケとツッコミをこなすユーティリティプレーヤーです。他のキャラクターと大きく違うのは、目の焦点がどこにあるのか分からないところ(笑)。たまに表情に出ることもありつつ、いつもどこを見ているのか読めない部分から、お芝居のインスピレーションを受けました。

ーー基本的にちびゴジラは自分が言いたいことだけを言っていて、ツッコミ役であるちびメカゴジラたちの話はあまり聞いていないですよね。

福山:どの時代にも自分のルールに沿って発言する人はいるじゃないですか。ちゃんとまともなことも言うので、天然というより、自覚的にやっている気がします。僕自身も過去に「あなたは空気が読めないのではなく、敢えて空気を読まないところがある」と言われたので、とても共感できます(笑)。

ーー(笑)。あと嫌いなものがピーマンで、好物がピーマンの肉詰めというのは矛盾している気がします。

福山:子供の頃、僕の周りにも同じような子がいましたよ。今のピーマンは食べやすいじゃないですか。僕らの時代のピーマンは、ゴーヤくらい苦かったですからね。そこで監督と僕の世代が近いことも分かりました。

ーーそう言えば、ちびゴジラは「お父さんのような大怪獣になる」という目標を語っていましたが、その辺りは今どうなっているのでしょうか?

福山:お父さんに対する想いは変わっていないはずです。父親であるゴジラに手紙を書いた「拝啓、お父さん」(24話)というエピソードもあるので、ちびゴジラの根本として、そこは今後も変わらないと思っています。

ーーなるほど。収録現場の雰囲気やアフレコの流れについてもお聞かせください。

福山:収録はプレスコ方式(セリフの収録を絵に先んじて行うこと)で行われています。塩梅を(新海岳人)監督たちに委ねながらも、現場での掛け合いはギリギリまで攻めてやっているところがセリフに乗れば面白いかもと考えていました。そういう意味では、ずっとアドレナリンが出ているような感覚です(笑)。一般的な30分アニメで言うと、盛り上がる部分は正味数分間。それ以上になると観ている側も疲れてしまうとか、様々なことを計算して作られています。

一方、3分弱のショートアニメではそんな猶予もなく、全カットにキャッチーなものを入れていく必要がある。作る側も難しいと思いますし、演じる僕らも常にアクセル全開で臨むことになります。

30分アニメで同じように演じたら、「うるさいよ!」となると思いますが(笑)。3分弱の中、ちびゴジラだけという訳でもないので、フルスロットルでアクセルを踏んでも恐らく邪魔にはならないだろうなと。それに大きな声って単純に面白いんですよね。

ーー最初の頃と現在で演じ方が変わった部分はありますか?

福山:アクセルの踏み込み方がより激しくなりました。初期は可愛いキャラクターとしてのちびゴジラと、シュールな雰囲気のちびゴジラの塩梅に監督からのディレクションを自分で消化しながら考えて演じていました。やり過ぎて視聴者の方が置いてきぼりにならないよう、監督も僕を制御させつつ(笑)、色々なパターンで演じていた記憶があります。「ここは踏み込みたい」「ここは監督のセンスに委ねたほうが良い」という判断は、テスト後に監督たちと相談しながら決めていきました。

分かりやすく可愛い形にもっていくと、似たようなキャラクターが沢山いると思ったので、関係性が可愛い・面白いという方向性がベストかなと。入口としてのラインを最初の段階で提示できたらと思っていました。今は可愛くてミステリアスな存在という部分を一旦横に置いておいて(笑)。かなり自由にやらせていただいています。

第1話と14話以降ではセリフの強さも全然違いますが、恐らく違和感はないんじゃないでしょうか。最初はよそよそしかったちびメカゴジラも、今ではアクセルの踏み込みが強くなっていますし。キャラクターをより身近に感じていただくことで、作中の彼らと同じように関係性を築いていただけると思います。

回を追うごとにアクセルの踏み込みが強まっていく

ーー回を追うごとにディレクションも減って、スムーズになっていったのでしょうか?

福山:いやいや、今でもディレクションはしっかり入ります。可愛いちびゴジラで在りたいという部分は変わらないものの、ちびゴジラだけでなく他のキャラクター達もエピソードごとに各キャラクターの役割も変わっていくんです。

例えば、ちびメカゴジラもずっとツッコミ役という訳ではなく、ある回では彼がボケに回る、ちびゴジラにもツッコミのセリフがあるとか。ボケ側とツッコミ側が入れ替わることもあります。エピソードごとにキャラクターとしての本筋とコメディとしての面白さをそれぞれが担当し始めているので、様々な側面を出していくことについては、シナリオと演出でかなりスムーズにやれるようになってきたかなと。

ーー収録は抜き録りされることもあるとお聞きしました。

福山:シーズン1(※1)の収録でお互いのキャラクターが馴染んだ後だったので、抜き録りでも特に問題ありませんでした。

逆にシーズン1では、ほぼ一緒に収録できたんです。僕と松岡くんがいつもいて、各話ゲストの方々が入ったタイミングで、順番通りではなく、そのメンバーで収録できる回だけを録っていくという流れだったと思います。再スタートしてからの新キャラ以外はほぼ一緒に録ったことがありますし、できなかった時は少し声を聴かせていただきました。

ショートアニメなので、掛け合いありきで固めると映像で合わせるのが難しくなってしまいます。監督は完成した映像のイメージを常に持っている方なので、監督のもつビジョンに頼ることも多いです。

強いて言うなら、その場に相手がいる時は少し疲れにくい気がします。例えば、ちびメカゴジラと掛け合いする時は、ちびメカゴジラが突っ込んでくれている時は休めるわけです。もちろんお芝居はしていますが、肉体的には休めます。松岡くんがいないと、常にトップギアでボケ続けることになるので、結構大変です(笑)。休符や転調の役割であるツッコミをこちらが想像して変えていくため、頭を使う比率も一人の時のほうが上がってきます。


※1:2023年4月~6月までテレビ東京「イニミニマニモ」内にて全13話が放送された。

ーー作中ではちびメカゴジラ役の松岡禎丞さんとちびミニラ役の内田真礼さんからよく突っ込まれていますよね。おふたりのお芝居の感想についても伺いたいです。

福山:松岡くんは常に全力で突っ込んでくれるので、すごくボケがいがあります(笑)。僕も若手の頃はツッコミ役にまわることが多かったので、ツッコミの大切さと難しさは分かっていて。松岡くんがしっかりやってくれるという前提があるから、「こういうボケをしても成立する」「ここできっと被せてくれる」というツッコミありきの練り方もできるんです。ちびメカゴジラが松岡くんで非常に助かっています。

一方の内田は可愛くツッコんでくれています。彼女とも色々な作品で共演していますし、こちらのボケをしっかり受けてくれるのも分かっているので、「こんなふうにやったら困るかな?」と心配するより、むしろ「困ればいい」と思いながらやっています(笑)。ちびゴジラ、ちびメカゴジラ、ちびミニラ3体のコントラストの違いが明確に出ているのも面白いですよね。

ーーちびゴジラのボケにふたりが間髪入れずにツッコむので、抜き録りだと難しい部分もありそうですが……?

福山:自分の中で違和感を覚えるかどうか、「何となく成り立っている」「これは流れている」という感覚の部分は大切にしています。プレスコで録っているため、タイミングが少し早くなっていたり、セリフの間が離れてしまったりすることもあり得ますが、そこは監督がしっかりとディレクションしてくださるので、ベクトルや熱量の部分が変わらなければ大丈夫だろうなと。

ーー福山さん、松岡さん、内田さんが出演されたインタビューPVの中で、松岡さんだけ疲れたような表情をしていて、相当ツッコミが大変なんだろうなと。

福山:松岡くんは大変そうですよ。ずっと汗をかいています。1カ月分を毎月1回で録っていますが、シーズン1の頃はもっと収録する本数が多かったんです。5〜6本目にもなると、松岡くんが若干息切れしていて(笑)。今の収録の本数くらいが僕ら演者にとってもベターだと思っています。

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