アニメ
『ダンダダン』モモ役・若山詩音インタビュー

アフレコ現場で開いた新しい扉。素の自分に近い「モモ」というキャラクターをもっと自由に表現するために――『ダンダダン』モモ<綾瀬桃>役・若山詩音さんインタビュー

収録を通じて開かれた新しい扉

ーー収録はどのような形で進められたのでしょうか?

若山:掛け合いをする方々とは、ほぼ一緒に収録ができました。特にこの作品では、別録りとなると、掛け合いのテンポ感や間(ま)が大変そうだなと思っていたので、掛け合いをさせていただけて、とてもありがたかったです。そして、掛け合いをさせていただく中で、「この会話で言いたいことはそういうことか!」という気づきが必ずあります。監督が大切にしていることや原作のメッセージを理解するという点でも、掛け合いでの収録は大事なものでした。

あとここまで叫んだり、ドスの利いた声で喋ったりするキャラは今回が初めてだったので、緊張しつつも「新しい挑戦だな」と思いながら、演じさせていただきました。 

ーー星子役の水樹奈々さんは、収録が終わった後の若山さんと花江さんは「いつもヘトヘトで大変そうだな」と思っていたようです。

若山:バレてた……(笑)。バレないように頑張っていたんですけど、共演の皆さんはやっぱりすべてお見通しですね。水樹さんや花江さんに引っ張っていただいて、元気を頂きながらの収録だったので、お二人は本当にありがたくて温かい存在でした。

ーー大先輩がずらりと並んでいる現場はとても緊張しそうですね。

若山:本当に緊張していましたし、そんな先輩方とどう接していいいのか、ということをたくさん考えていましたね現場での立ち回り方は、一番悩んだところです。お芝居の面では、絶対に引いてしまわないように気をつけていましたが、どこに座れば良いのか、現場にいつ到着すれば良いのか、「今食べていいのかな?」など、分からないことだらけでした。

でも、実際に先輩方とお話しさせていただくと、みなさんが本当に優しくて、温かったです。柔らかい現場の雰囲気を作ってくださったので、今ではお菓子も普通に食べていますし、自然体でお話しさせていただいています。

ーーベテランの方々との収録で、刺激や影響を受けたことはありますか?

若山:日常生活の中で、もっとアンテナを張らなければ、と反省することが多いです。ついつい自分がやりやすい、決まった引き出しを開けがちですが、「絵の動きに対して、決まりきったお芝居をしてしまったかも」と気付かされて、「もっと自由に表現をするためには、どうしたら良いだろう?」と考えるきっかけをいただいています。

ーー自分の中で新しい引き出しを開けられたと思った瞬間は?

若山:モモは言葉づかいがあまり良くないですし、大きな声で叫ぶセリフも多いので、今までそういうキャラを演じたことがなかった分、みなさんがどのように演じられているのかを、より観察するようになりました。

例えば、相手から殴られたり、蹴られたりした時に、受けたのが体のどの部分なのかで、出てくる音が違うはずですよね。それを踏まえたうえでの、戦いに行く時の踏ん張りや勢い、その時の声や呼吸などのバリエーションを学ばせていただきました。それらをモモのお芝居にも取り入れて、演じました。

ーー第1話からモモのアクションシーンには迫力や臨場感を感じました。ご自身の中で、特に頑張ったシーンはありますか?

若山:第1話の冒頭でお腹に蹴りを入れられるシーンは、作中で初めてモモが攻撃を受けた瞬間でした。そのシーンの収録では、バトルシーンの経験があまりなかったので全体像を想像ができていなて、何度かリテイクさせていただいたんです。

その時に「どうやられたら良いんだろう?」と必死に考えましたし、初っ端で気合も入っていたので、個人的にもかなり頑張ったなと思っています。その後、完成した映像を観て、思っていたほどやられていなかったので、「果たしてこれが正解だったのか……目指す先はまだまだ遠いな」と気が引き締まるシーンでもありました。

ーーその後に妖怪、宇宙人との戦いもありますが、演じる時に対人と違うところは?

若山:ターボババアと戦った時はオカルンと一緒だったので、高いところから飛び降りたり、高速で動きながらセリフを喋ったり、見えない手で電柱を掴んでグルグル回ったり……、今まで経験したことのないアクションが多かったです。このようなシーンを演じる時は、対人と戦う時よりもかなり力が入ります。ちなみに、思い切り叫んだ後、首の付け根から頭が痛くなりました。叫んでいる間はギリギリ大丈夫なんですけど、叫んだ直後にガ〜ンと痛くなって、目眩がするという初めての経験をしました。

素の自分にモモの人間性を乗せていく

ーー第1話の冒頭がこれまでのアニメでは見られなかったような演出で衝撃を受けました。

若山:本当にそうですよね。説明がまったくないところも含めて、最初から『ダンダダン』の世界観全開でした。監督が思う原作の世界観を表現するための、描写や演出の数々でしたね。

ーー映像を観ているうちに、いつの間にかぐっと引き付けられますよね。

若山:一見、学園モノのような雰囲気ですが、そもそもモモという名前自体、友達に呼ばれるまで出てこないし、第1話の最後でオカルンの本名もやっとわかるという構成になっています。そんなふたりがひょんなことから出会い、宇宙人派のオカルンと幽霊派のモモが言い争って……本当に唯一無二ですよね。

ーー会話のテンポやアクションの激しさに目が行きがちですが、人と人との関係性や絆もしっかり描かれていて。

若山:登場するキャラクターは、情に厚かったり、仲間意識が強かったり、根底の部分はみんな優しいんですよね。モモとオカルンだけでなく、モモの祖母の星子さんも登場して、RPGでいうところの“パーティ”が出来上がった感じがしました。

ーーコメディに振り切っている一方で、泣けるシーンもありました。

若山:感動的なシーンもとても印象的で、あるエピソードは涙腺が崩壊するほど心に響きます。そのうち、最高にエモーショナルなシーンがやって来ますよ。「ホロっとくるどころでは済みません!」とだけ、今はお伝えしておきますね。

ーー若山さんのお芝居も、そうそうたるキャスト陣に全く引けを取らない存在感でした。

若山:そう言っていただけて、すごく嬉しいです! モモの口調に関しては、トーンも含めて私自身とほとんど変わらないんです。公の場に出る時は気を付けていますが、家に帰ったらモモみたいな喋り方になるので、いつかその一面をお芝居で出したいなと思っていました。「こういうレパートリーもあるんだぞ」って(笑)。この作品のお話をいただいた時、「これはチャンスだ!」と思って、素の自分にモモの人間性を乗せた感じのオーディションテープを提出しました。今まで出したことのなかった一面を認めていただけて、嬉しかったです。

ーー急にハイテンションになったり、テンポが速くなることも多いのに、全くブレないというか。

若山:初めての挑戦だったので、最初の頃は考えるよりも、ただ「やるしかない!」と思っていました。自分のできることが少なすぎて、やれることをやるしかなかったんです。収録が進んでいく中で、色々なディレクションやアドバイスをいただいて、お芝居の幅も少しずつ広がっていって、モモの様々な一面を見せられるようになった気がします。

ーーモモは、視聴者に一番近い存在でもありますよね。

若山:そうですね、感覚がもっとも視聴者の皆さんに近いキャラクターかな、と思っています。私自身も、人間性が自分に近いこともあって、自然と共感してしまうことが多いです。オカルンと話している時に入れる合いの手や、返す言葉のチョイスにも、すごく共感していました。

ーーモモのキャラクターを掴んだと手応えを得られたのはどの辺りですか?

若山:「出来上がってきたかも」とようやく思えたのは、第8話くらいです。それまでは、毎回悩んだ末に答えが出ないまま、ディレクションをいただいてやっと分かる、という流れの繰り返しでした。フィードバックして、次の収録に持っていってもまだ掴めない、という状態が続いていましたね。

ーーOKをもらっても、それがどうして正解なのか分からないというか。

若山:そういうときもありましたね。ですので、最初のうちは継ぎ接ぎのような感じでした。自分の中で一貫性や芯を持てていなくて、自分のイメージ通りだったところとディレクションをいただいて変化したところを上手く繋げられない感覚があったんです。完成した映像を観て、「こういうことだったのか!」と納得することも多く、「あの時に出せていたら良かった」と後悔することもありました。

ーー先輩方からアドバイスなどはありましたか?

若山:みなさん、私が緊張しているのを察してくださっていましたので、アドバイスというよりも、場を和ませることで緊張をほぐしていただきました。本番がとてもやりやすくなりましたし、よりお芝居に集中することができた気がします。

ーー現場には龍幸伸先生もいらしたと伺っています。

若山:龍先生は、とても頻繁に来てくださっていました。アフレコに立ち会うと半日近く時間をとられてしまう訳ですが、『ジャンプ+』で連載中の原作はしっかり毎週更新されていて、ビックリしたことを覚えています。龍先生は超人です。第1話の収録後には、「ちゃんとモモを演じられているかな?」と不安だった私に「僕が思ったモモです」と言葉をかけてくださって、本当に救われました。

ーー先生が来てくださると、その場でアドバイスをもらえるし、やりやすいですよね。

若山:もし違っていてもその場で修正してくださると思いますし、自分の中のモモがズレないためにも、現場にいてくださることが本当に心強くて、ありがたい気持ちでした。

ーー最初の頃はヘトヘトになっていたとのことですが、今ではもう慣れましたか?

若山:まったく変わっていません(笑)。アドリブの瞬発力や家で準備する手際は良くなりましたが、叫ぶシーンは相変わらず多いですし、テンポも速いし、収録はまさに命がけですね。花江さんや水樹さん、田中さんなど、現場の皆様に声をかけていただいて、メンタル的にも支えていただいているので、その気持ちに応えられるように今後も頑張ります。

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