『ATRI -My Dear Moments-』連載第14回:小野賢章さん、赤尾ひかるさん、髙橋ミナミさん、日笠陽子さんによるメインキャスト座談会|各キャラクターの視点から見る、このひと夏の物語の結末とは!?
アニプレックス社のノベルゲームブランド「ANIPLEX.EXE」の第1弾タイトル『ATRI-My Dear Moments-』。2024年7月よりスタートした本作のTVアニメがいよいよ最終回を迎えます。
アニメイトタイムズではその放送に際し、メインキャストのみなさんへインタビューを実施。第14回目となる今回は、アトリ役・赤尾ひかるさん、斑鳩夏生役・小野賢章さん、神白水菜萌役・髙橋ミナミさん、キャサリン役・日笠陽子さんら4名の座談会をお届け!
これまでの物語を経てそれぞれの演じるキャラクターが取り戻したもの、そしてヒューマノイドのアトリの“感情”を軸とした物語の結末をぜひ見届けましょう!
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人間として、ひとりの女性としての水菜萌を描いてくれた
――いよいよ次回が最終回となります。今の心境からお願いできますでしょうか?
アトリ役・赤尾ひかるさん(以下、赤尾):アフレコも全13回あっと言う間だったなと思ったのですが、もう放送も最終回ということで終わってしまうのが寂しいなっていう気持ちで一杯です。この作品がたくさんの人に届いていたら嬉しいです。
斑鳩夏生役・小野賢章さん(以下、小野):無事に最終回を迎えられてホッと胸を撫でおろしています。いくつかのルートがあったゲームも踏まえ、アニメではどんな結末を迎えるのか、気になるところです。ぜひ最後まで見届けていただきたいです。
神白水菜萌役・髙橋ミナミさん(以下、髙橋):水菜萌の結末も気になりますよね。最終回をみなさんがどう受け取ってくれるのか、楽しみでもありソワソワしていますね。
キャサリン役・日笠陽子さん(以下、日笠):原作の終盤では時の流れみたいなものがエンディングへのキーワードだったと思います。アニメでもそこがどの時間軸なのかがちょっとしたキーワードになるので、ゲームとはまた少し違うアトリや夏生たちの生きる様を見届けていただけたらなと。
――みなさんが演じられたキャラクターから物語を振り返っていけたらと思いますので、まずはキャサリンからお願いします。
日笠:アニメでは加藤誠監督がキャサリンのキャラクターを膨らませてくださり、想定よりも出番が増えたと、以前おっしゃっていました。より表情が豊かになったことで、キャサリンは子供みたいな一面も持っているなぁとか、終盤になるにつれて夏生たちにちょっと大人の目線でアドバイスをしていたり、色々な一面が見られました。それら全てを含めてキャサリンだったなと思います。
――夏生たちと関わることで彼女もまた成長したり、変わったりしていましたね。
日笠:成長や変化よりも“取り戻した”という感覚が近いのかなと。この作品の世界の人たちって、海の世界に故郷をもっていかれている訳じゃないですか。それとともに、人としての心を失ってしまった人や、元居た場所を出ていってしまった人たちがいて。キャサリンはそういうものを取り戻して本来の自分に戻ったんじゃないか……みたいに思っています。
――他のみなさんはキャサリンについていかがですか?
髙橋:序盤と終盤とで印象がガラリと変わるキャラクターだったと思います。キャサリンの変化がみんなにいい雰囲気をもたらせてくれたというか、守ってくれる大人がいるって子供たちが思えたのは彼女のおかげだなって。本当に大事なキャラクターでした。
小野:初登場から島へ何か強い想いがあるというよりも、お金への執着が大きかったので、彼女がどんな風に変わっていくのか気になっていました。僕はこのアニメからの参加でまっさらな状態でのアフレコでしたので、その点が大きかった部分もあります。おそらくキャサリンが変わる瞬間が明確にあって、もう一度先生をやって欲しいと求められたあの時からどんどん先生らしくなっていったなと。
赤尾:キャサリンという偽名からハナちゃん先生に呼び方も変わって、それが一気に浸透していった様子から、温かい世界だなって感じました。本当ならこうだったはずなんだよなっていうことを思い返せましたし、それを取り戻せたことも良かったなって。ひとりひとりに欲しい言葉をかけてリードしてくれるのが素敵でしたし、子供ばかりの世界だからこそ大切なキャラクターになってくれたと思います。
――水菜萌は夏生への想いがありつつ、アトリや他のみんなとの想いとの間で複雑な心境を抱えたキャラクターだったかと思います。
髙橋:水菜萌が一番深い愛を持っていたんじゃないかなって思っています。ナツくんへの想いは恋を超えた感情だったからこそ、彼の一番の幸せが何なのかを考えられたんだろうなって。自分の気持ちをそう結論付けてからは、最終回に向けて水菜萌自身も憧れていた部分みたいなものが現実味を帯びてきて、自分が追い求めるのは違う場所なんだと気づけたんだと思います。
日笠:夏生を学校に誘ったりしていたのもそうですけれど、お母さんっぽかったよね。自分の気持ちが恋なのかどうかで葛藤があったのも、お母さんが息子に恋をしちゃうところがあるみたいなイメージで私は勝手に捉えていました。恋の感情もあったとは思うけれど、いつもこれが本当にみんなの幸せなのかと自問自答をしていて、そうやって答えを導き出していました。土地への愛も一番強いかもしれない。
小野:それは自分も感じました。個人の幸せよりみんなの幸せを考えられる、現状を俯瞰して見られるのは町長の娘っていうDNAが強いのかなって。最終話まで収録した後に改めて第1話から見返したのですが、お父さんは本土に避難しているけれど私はここに残ったみたいな話をするシーンがあって。町長の娘として私がみんなを支えないとみたいな気持ちもあったんじゃないかな。
赤尾:みんなの話を聴いて、一見するとふわふわして優しくみんなのことを想っている水菜萌も、相手ときちんと向き合って自分の意見を伝えようとしてくれるんだなって。
アトリとふたりでお茶するシーンの時からよく周りを見ているなとか、アトリのことも引っ張ろうとしてくれているなみたいに優しさと強さが垣間見えていました。最終回に向けてさらに物語が加速する中で、水菜萌の独り立ちや女性としての強さも描かれていて素敵だなって思っていましたよ。
髙橋:原作では聖母のように全てを受け入れている印象があったのですが、アニメでは、人間として、ひとりの女性としての水菜萌を描いてくれたのかなって思っています。