アニメ
『シティーハンター』の「ミニクーパー」を買う編【アニメイトに売っていない「モノ」を買いに行こう!】

【アニメイトに売っていない「モノ」を買いに行こう!】『シティーハンター』の「ミニクーパー」を買う編|歴史から実際の購入まで徹底解説! リアリティを与える日本のアニメ特有の演出手法「実証主義」に会いに行こう

 

クラシックミニの購入後のメンテナンスポイント。基本は専門店に任せればOK


▲RESPO社製のクラシック・ミニ専用エンジンオイル。写真のAT(オートマチック・トランスミッション)用のほかMT(マニュアル・トランスミッション)用のオイルもあります(RESPO HPより)。

▲RESPO社製のクラシック・ミニ専用エンジンオイル。写真のAT(オートマチック・トランスミッション)用のほかMT(マニュアル・トランスミッション)用のオイルもあります(RESPO HPより)。



 
クラシック·ミニの購入後のメンテナンスですが、現代の国産車と同じように乗りっぱなしでOKとはなりません。クラシックミニのエンジンとギアボックスを重ねた2階建構造となり、エンジンオイルでギアボックスやデファレンシャルを潤滑するのでエンジンオイルにとってはシビアな環境に晒されています。そのため交換は3000kmあるいは3ヶ月ごとの交換が必要です。

必要なエンジンオイルは「15W-45」もしくは「20W-60」とラベルに書かれたクラシック·ミニ専用、もしくはオートバイ用オイルを使用するのがベターです。設計が古いエンジンですので、最新の国産車に使われている「0W-20」や「5W-20」などと書かれたエンジンオイルは絶対に使用してはいけません。故障の原因になります。

 



▲クラシック・ミニのサスペンションに使用される「ラバーコーン 」。コイルばねの代わりとなるゴム製のばねです(写真:ミニマルヤマ HPより)。

▲クラシック・ミニのサスペンションに使用される「ラバーコーン 」。コイルばねの代わりとなるゴム製のばねです(写真:ミニマルヤマ HPより)。



 
クラシック·ミニはエンンジンルームが狭いことから構造的にエンジンの熱がこもりやすい傾向にあります。熱のこもりはゴム製部品の寿命を短くするため、ドライブベルトは3~4万kmごとの定期交換が推奨されています。また、「クーラント」(冷却水)は汚れたり減ったりすると冷却性能が低下し、オーバーヒートの原因となります。そのため、定期的にエンジンルームを開けて冷却水の水量や汚れをチェックし、2年に1度の車検ごとに交換すると良いでしょう。

燃料供給装置がインジェクションの場合は、基本的にメンテナンスはいりません。キャブレターの場合は、長期間メンテナンスをしないで乗り続けていると、内部が汚れたり、正常な動作に欠かせないダンパーオイルが減ったりします。そうなると始動性の悪化やエンジンの調子が悪くななり、キャブレター本体の寿命を縮めることになります。清掃やダンパーオイルの補充はDIYでもできますが、車検時に整備工場に依頼するのが安心です。

 



▲クラシック・ミニのファンベルト(写真:ミニマルヤマ HPより)。

▲クラシック・ミニのファンベルト(写真:ミニマルヤマ HPより)。



 
「ラバーコーン」と呼ばれるゴム製の円錐型スプリングを用いたサスペンションは、ミニの特徴のひとつになっていますが、ゴムは長期間使用しているとヒビ割れなどの劣化が起こるほか、車重でつぶれて変形します。そうなると車体を正常に支えられなくなって姿勢が前側に傾き、地面の突起などで下廻りをヒットさせて車両を破損させてしまうことがあります。「ラバーコーン」は消耗品と割り切り、車検2~3回ごとの交換をオススメします。

また、同じくゴムでできた「エンジンマウント」や「ミッションマウント」(エンジンやトランスミッションとボディを繋ぐ部品)は、劣化すると振動が大きくなりますので、こちらは経年劣化を感じたら交換しましょう。これらのマウントは新品に交換すれば7~8年は問題なく使用できます。なお、サスペンションの「ドライブシャフト」の根本に備わるゴム製の「ドライブシャフトブーツ」は劣化して破れると、内部のグリスが飛び散って内部のジョイント部のベアリングが焼きつきを起こす可能性があります。足回りから異音やガタつきに気づいたら早急に整備工場に点検に出す必要があります。そのときに「ドライブシャフトブーツ」に破れが見つかったときは新品に交換します。

1995年以降のクラシック·ミニは電気系が強化されたこともあって「ヘッドランプやウインカーがつかない」「ワイパーが動かない」などのトラブルが大幅に減りました。ですが、製造から時間が経過したこともあり、配線の断線や接触不良、漏電などの不具合が発生することがあります。何かしらの故障したときは早急に整備工場に入庫し、修理してもらわなければなりません。

 



▲クラシック・ミニのマフラー。『ミニマルヤマ』のような専門店に行くとクラシック・ミニにはさまざまなカスタムパーツやチューニングパーツが用意されています。お好みのスタイルにカスタマイズできることもミニの魅力のひとつです。

▲クラシック・ミニのマフラー。『ミニマルヤマ』のような専門店に行くとクラシック・ミニにはさまざまなカスタムパーツやチューニングパーツが用意されています。お好みのスタイルにカスタマイズできることもミニの魅力のひとつです。



 
以上がクラシック·ミニを維持する上でメンテナンスポイントです。このように書くと維持が大変なクルマのように思われるかもしれませんが、専門店で定期点検や車検を受けていれば、何も言わなくてもチェックしてくれるはずです。クラシック·ミニは生産終了から四半世紀が経過した古いクルマですが、基本的には丈夫なクルマで、適切なメンテナンスさえ怠らなければ今後も10年、20年と長く乗れるクルマです。

また、世界的な人気車ということもあり、古いクルマでありがちなパーツの欠品の問題もなく、維持する上で必要なパーツはほぼすべて新品で揃います。パーツの価格もそう高いものではなく、現行の国産車とほぼ同じくらいか、高くても1.5倍程度の金額で必要な部品を揃えられます。

また、ミニのメンテナンスにはインチ規格の工具を使用するため、現行の国産車しか取り扱いのない整備工場では点検や修理ができないことがありますが、全国各地の専門店のほか、外国車にも対応する街の整備工場でも面倒を見てくれるようです。冴羽獠の愛車というだけでなく、外国車や厩舎の入門用としても最適で、何よりも所有して満足度が高く、オシャレでかわいいクルマでありながら実用性を兼ね備えており、運転して楽しいオススメできる1台です。

 

ノーマルのローバー·ミニをベースに冴羽獠のモーリス·ミニクーパーSを作るには?

最後に工場出荷状態のローバー·ミニを冴羽獠の愛車となったモーリス·ミニクーパー1275S Mk.I風にカスタムするポイントを紹介します。パーツの価格に関しては販売店によっても変わりますので参考程度に見てください。

 



▲クラシック・ミニのフロントグリルはMK.Iのかまぼこタイプ、MK.II以降の角ばった大きなタイプがあり、モーリスやオースチンによってもデザインが異なります。好みのスタイルに変更できるのもクラシック・ミニの特徴のひとつです。

▲クラシック・ミニのフロントグリルはMK.Iのかまぼこタイプ、MK.II以降の角ばった大きなタイプがあり、モーリスやオースチンによってもデザインが異なります。好みのスタイルに変更できるのもクラシック・ミニの特徴のひとつです。



 
まず外装は、

・かまぼこ型のMk-1モーリス用グリル&グリルの上面モール(6~7万円ほど)
・ステンレスワイパーアーム&ワイパーブレード(1万5000円ほど)
・メッキウォッシャーノズル(2000円ほど)
・旧タイプのフロントウィンカー(8000円ほど)
・イエローフォグランプ (2個で1万6000~2万円ほど)
・MK-Iフロントバンパー用オーバーライダー(4~5万円ほど)
・ベレットGTタイプフェンダーミラー(8000円ほど)
・ダミードアヒンジ(2~3万円ほど)
・MK-Iテールランプ&テールランプアダプター(6万円ほど)
・MK-1&MK-2用ライセンスランプ(5000円ほど)
・ ワイバック型メッキバックランプ(5000円ほど)
・モーリス用Mk.1エンブレム(セットで3~4万円ほど)
・10インチブレーキコンバージョンキット(8~20万円ほど)
・ハイローキット(3~4万円ほど。交換は必要に応じて)
・前後ダンパー(8~12万円ほど。交換は必要に応じて)
・JAP MAGNA MK2アルミホイールセット 6Jx10インチ/ガンメタリック(11万~12万円ほど)
・165/70R10サイズのタイヤ(4本で4~5万円ほど)
・オーバーフェンダーの取り外し加工&メッキモールの追加(部品代と工賃を合わせて15~25万円ほど)

などのパーツ交換や加工でそれっぽいカタチになります。

 



▲クラシック・ミニのサイドミラー。さまざまなタイプがありますが、令和版の『シティーハンター』で冴羽獠が乗るモーリス·ミニクーパーMK-Iは、1960年代の国産スポーツカーのいすゞベレットGT-Rに使用していたのと同じ、通称「ベレGミラー」がフェンダーに取り付けられていました。

▲クラシック・ミニのサイドミラー。さまざまなタイプがありますが、令和版の『シティーハンター』で冴羽獠が乗るモーリス·ミニクーパーMK-Iは、1960年代の国産スポーツカーのいすゞベレットGT-Rに使用していたのと同じ、通称「ベレGミラー」がフェンダーに取り付けられていました。



 
これらのパーツの多くはボルトオンで装着できますが、ダミードアヒンジやMK-Iテールランプ&テールランプアダプターの装着、オーバーフェンダー取り外し加工をする場合は、板金塗装が必要になります。これらのカスタムを1度に行なった場合は、費用は部品代と工賃を合わせて120~130万円ほどを見ておいたほうが良いでしょう。また、さらなるカスタムを施して本物そっくりのMk.I使用を作る場合は、ボディを切り張した板金加工が必要になるので前述したとおり、総額で300~500万円くらいの費用が必要です。

また、劇中に登場する冴羽獠のミニクーパーには、キャンバストップが装着されています。モーリス·ミニクーパー1275S Mk.Iの新車にはキャンバストップの設定がなかったので、これは後から装着されたものとなります。汎用のキャンバストップをクラシック·ミニに取り付けるのには、部品代と工賃を合わせて25~30万円ほど必要です。取り付けは板金塗装店やカスタムショップに依頼することになります。

 

外装だけでなく内装も作り込めば『シティーハンター』登場車両と同じクルマになる


▲オリジナルのセンターメーター 。製造当時のパーツは貴重なためプレミア価格で販売されることもありますが、リーズナブルな復刻パーツの設定もあり、古いクルマにありがちなパーツの欠品などもなく、維持がしやすい旧車のひとつです。

▲オリジナルのセンターメーター 。製造当時のパーツは貴重なためプレミア価格で販売されることもありますが、リーズナブルな復刻パーツの設定もあり、古いクルマにありがちなパーツの欠品などもなく、維持がしやすい旧車のひとつです。



 
内装のカスタムはドライバー正面にあるノーマルのメーターを廃して、新たにダッシュボードの中央部に旧タイプの「センターメーター」を取り付けるのが主な改造点となります。作業に当たってはダッシュボードを1度バラバラに分解して、「センターメーター」を装着し、クーラーの吹き出し口やコントロールユニット 、オーディオなどを移設するなど手間のかかる作業が必要です。「センターメーター」キットは15~20万円ほどで購入できますが、作業工賃も同じくらいの費用が掛かります。

 



▲クラシック・ミニのハンドル(ステアリングホイール)はさまざまなタイプが選べます。冴羽獠のミニクーパーにはモトリタ社の革巻きステアリングが装着されていました。

▲クラシック・ミニのハンドル(ステアリングホイール)はさまざまなタイプが選べます。冴羽獠のミニクーパーにはモトリタ社の革巻きステアリングが装着されていました。



 
冴羽獠のミニクーパーのステアリングホイールは、モトリタ社のレザーステアリング38パイ·フラットが装着されています。ステアリングホイールは5~8万円ほどで購入できますが、装着するためにはホーンボタンやステアリングボスと呼ばれるアダプターも用意しなければなりません。交換費用は 部品代と工賃を合わせて10~12万円ほど掛かります。

インテリアは白と赤のビニールレザーによるツートンカラーのシート表皮やトリムが使用されていました。購入車両がこのカラーの場合はそのまま使えますが、張り替える場合は内装業社に依頼することになり、費用は30~40万円ほど見ておかねばなりません。

 

どこまで仕上げるかはオーナーの判断次第。カスタム済みの中古車を買うのもお得!


▲高年式のクラシック・ミニをベースにしたモーリス・ミニクーパーMK-I仕様のリアビュー。

▲高年式のクラシック・ミニをベースにしたモーリス・ミニクーパーMK-I仕様のリアビュー。



 
このようにゼロから冴羽獠のミニクーパー仕様を作り上げるには、かなりの金額が必要となります。ただし、どこまで再現するかはオーナー次第です。カスタムするポイントを絞ればずっと安く済みますし、一気に仕上げるのではなく時間をかけてコツコツとカスタムして行くのも楽しみ方のひとつです。また、最初からある程度カスタムされている中古車をベースに選べば、手間や費用はグッと抑えることができます。

冴羽獠と同じミニが欲しいと思ったら、まずは貯金です。毎月3万円ずつ貯めて行けば1年で36万円、3年で108万円になります。仮に車両はローンで購入するにしても、月々の支払いを軽くするために頭金は欲しいところですし、購入後の修理やカスタムのための予備費も残しておきたいところです。クラシック·ミニに限らず、資金繰りに余裕がない状態でクルマを購入すると、イザというときにお金がなくてせっかくの愛車を手放さなくてはならなくなってしまいます。

TVシリーズに登場するミニクーパーは、さまざまな仕様が存在することから、ノーマルのローバー·ミニをそのまま買って乗っても「冴羽獠と同じミニクーパー」と言っても間違いではありません。令和の映画版ではミニクーパー1275S Mk-Iが登場しますが、特定の仕様にこだわらず、まずは冴羽獠が愛用するクラシック·ミニというクルマを楽しんでみてはいかがでしょうか?

ただひとつ、どんなにお金や手間隙をかけても再現できないのがナンバープレートです。現実には「新宿ナンバー」は存在しませんし、排気量が2000cc以下で小型車枠に収まるクラシックミニ の「3ナンバー」はあり得ません。

車両設定協力を担当したメカニックデザイナーの山根公利さんはクルマ好きとしてアニメ業界ではよく知られており、車両設定資料協力の田中むねよしさんは車をテーマにした漫画を何作も描き続けている漫画家です。おふたりがナンバープレートの意味を理解していないとは考えられないことなのですが、2019年の『新宿プライベート·アイズ』に続いて今作でも「3ナンバー」のままでした。ひょっとしたら冴羽獠のミニクーパーには、現実では考えられないようなスペシャルなエンジンが搭載されているのかもしれませんね。

 


 
▲東京都墨田区に店舗を構えるクラシック・ミニ専門店が『ミニマルヤマ』です。ショールームでは車両やパーツなどの展示販売されており、整備工場では点検や整備、レストア(再生)などのサービスを行っています。クラシック・ミニの世界では老舗中の老舗で、ジョンクーパーの名を冠した特別限定のチューニングキットを販売するなど、日本のミニ業界を牽引してきたショップで、その名前は世界的にも知られています。ですが、ミニが好きな人なら初心者でも気軽に相談できるお店です。

▲東京都墨田区に店舗を構えるクラシック・ミニ専門店が『ミニマルヤマ』です。ショールームでは車両やパーツなどの展示販売されており、整備工場では点検や整備、レストア(再生)などのサービスを行っています。クラシック・ミニの世界では老舗中の老舗で、ジョンクーパーの名を冠した特別限定のチューニングキットを販売するなど、日本のミニ業界を牽引してきたショップで、その名前は世界的にも知られています。ですが、ミニが好きな人なら初心者でも気軽に相談できるお店です。



[取材・文/山崎 龍]

 

ミニマルヤマ

〒131-0042東京都墨田区東墨田2-21-2
Tel.03-3613-6622 Fax.03-3613-6676
営業時間:am9:00-pm6:00(月~木、土曜日)
am9:00-pm9:00(金曜日)
am12:00-pm6:00(日曜日)
http://minimaruyama.co.jp

 

おすすめタグ
あわせて読みたい

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2024年秋アニメ一覧 10月放送開始
2025年冬アニメ一覧 1月放送開始
2024年春アニメ一覧 4月放送開始
2024年夏アニメ一覧 7月放送開始
2024秋アニメ何観る
2024秋アニメ最速放送日
2024秋アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング