高橋さんは“高橋さんらしい人生”を送る!?『がんばっていきまっしょい』高橋梨衣奈役・高橋李依さんインタビュー|「リーと共に楽しんで、一緒に悩んで、歩めた気がしています」
愛媛県松山市を舞台とし、ボート部に所属する5人の女子高生の青春を描いた劇場アニメーション『がんばっていきまっしょい』が、2024年10月25日(金)より全国公開!
高校2年生の村上悦子は、ある出来事から挫折を経験し、やりがいのない日常を送っていました。そんな中で、埼玉から転入してきた高橋梨衣奈が、悦子が出場したボートのクラスマッチを見て、ボート部に入りたいと言い出します。ボート部は、同学年の男子ひとりで既に廃部状態。悦子と幼なじみの佐伯姫は、梨衣奈から「名前貸しだけでもいいので入部してほしい」と頼まれるのですが……。
アニメイトタイムズでは、公開を記念して、メインキャラクターを演じるキャストのインタビューをお届け! 今回は、梨衣奈を演じる高橋李依さんに、作品の注目ポイントや高校時代の思い出などを伺いました。
唯一の転校生だからこそ「誰とでも仲良くなれる」
ーーまずは、作品に対する印象と魅力を感じた点をお聞かせください。
高橋梨衣奈役・高橋李依さん(以下、高橋):両親が今作をよく知っていたようで、このアニメに出演すると決まった時はとても喜んでくれていました。オーディションを受けるにあたって、今の時代を生きている少女たちが新たに描かれると伺ったこともあり、あえて過去作の人物像などは調べず、今作のキャラクターたちから感じ取れる空気感で挑むことにしました。
ボート部のお話なので、当然ボートと真剣に向き合う姿は描きつつも、部員が年頃の少女たちという要素がとても重要だと感じました。高校生特有の心の動きが繊細に描かれていましたし、映画ということで、一息に感情の起伏を感じ続けられるところも素敵だなと。
ーー演じるリーこと梨衣奈の印象とご自身と似ている点や共感できる点をお聞かせください。
高橋:大きな共通点は、やっぱり名前ですね。ここまで同じ名前のキャラクターに会うのは初めてなのでドキドキしました。埼玉県出身というところまで一緒で、本当にビックリ。「もしや当て書き(あてがき)なのでは?」と思ったくらいです(笑)。
個人的な印象なのですが、同じ苗字の人だからこそ、共感し合えることもあるんじゃないかって。高橋さんは“高橋さんらしい人生”を送っている気がするんです。“高橋さんあるある”で言うと、1つのクラスに2〜3人は高橋さんがいて「高橋(り)」のように表記されるとか。私自身も高橋という名字に愛着を持っているので、リーの性格の出所がなんだか分かる気になっちゃうんです。共通点というより、かなり親近感を覚えるキャラクターでした。
ーー“高橋さんらしい人生”とはどういったものなのでしょう?
高橋:高橋は全国で3番目に多い名字なんですよ。クラスにも他の高橋さんが割といるので、その辺にいそうなラフさと言いますか(笑)。あとは、高橋姓があまりにも普通すぎるところを自虐的に感じるとか。埼玉県の人もよく地元を自虐的に話すじゃないですか? 自分で言うのはいいけど、他県の人に言われるのは少しムカっとするあの感じ(笑)。高橋代表と言われると重すぎる責任ですが、「高橋として生きていない人よりは高橋を演じやすいはず」という謎の確信がありました。
ーーオーディションでは、リーの他にどの役を受けられていたのでしょうか?
高橋:私はリーと悦ネエと梅子さん(港山高校のエース・寺尾梅子)を受けたので、決まるまでは「どっちの学校に入れるかな?」とドキドキしていました。
ただ、自分の中で一番しっくりきていたのは、やっぱり埼玉のリーです! 正直に言うと、ちょっと自信もあって(笑)。オーディションテープを録音する時は、最初に自分の名前と役名を言うんですよ。「高橋梨衣奈」という役名を声優業界で一番言い慣れていそうなのは、恐らく私かもなと。今思えば、オーディションテープで名前を言った段階から、私の中で創作意欲が湧いていたと思います。
ーーリーは元気さと打たれ弱い部分を併せ持っていて、兵頭妙子(ダッコ)役の鬼頭明里さんは「悦ネエとは違うベクトルで普通の女の子」と表現されていました。
高橋:確かに。悦ネエとの違いは、感情を素直にアウトプットできるかじゃないでしょうか。リーは嬉しい時も悲しい時も、すぐ表情に出るタイプです。ただ、感受性の豊かさという意味ではリーも悦ネエも同じですね。ボート部の5人は、それぞれに感受性が豊かだと思います。
ーーリーは5人の中で唯一の転校生なので、少し立ち位置が違いますね。
高橋:そう思います。悦ネエとヒメ、ダッコとイモッチはそれぞれ幼なじみですよね。そういう意味で、リーは特定の相手に固執しないからこそ、誰とでもいられる自由さがあると思います。みんなでバーベキューをした時はイモッチと歩いていたり、バイト先でヒメと話すシーンがあったり、本当に誰とでも仲良くなれる子です。
ーー演じるうえでは、どのようなところを大切にしましたか?
高橋:リーの人格を作り上げるにあたって、「過ぎる」とウザく感じてしまうと思ったんです。例えば、甘えん坊「過ぎる」、泣き虫「過ぎる」、意見をはっきり言い「過ぎる」、気を遣い「過ぎる」。ちょっと抑えて良い塩梅で、やり過ぎないというのは意識していました。
悦ネエ(雨宮天さん)と一緒の収録だったのですが、ヒメ、ダッコ、イモッチのアフレコは既に終わっていて。監督からは「3人のお芝居とのバランスを取りつつ、そこに悦ネエを加えた5人の空いているところにうまく入ってほしい」というお話があったんです。悦ネエの芝居感に合わせながら、軽快なやり取りをしているダッコ、イモッチとも会話がしやすい、温度感の真ん中になれれば良いなと。
全体を通して、台本上でキャラクターの動きは決まっているものの、その先の個性を演出するのはキャスト側に任せてくださっている感覚もありました。リーの持つ雰囲気や空気感作りに関わらせていただく中で、リーと共に楽しんで、一緒に悩んで、歩めた気がしています。