音楽
カノエラナがED主題歌を担当した『アクロトリップ』の魅力を語る|「リバーシブルベイベー」リリース記念インタビュー

カノエラナさん 6thシングル「リバーシブルベイベー」リリース記念インタビュー|『アクロトリップ』ED主題歌となっているリード曲は、自身の趣味を貫いた“超元気なアニソンの理想形”

カノエラナさんが歌う、アニメ『アクロトリップ』ED主題歌「リバーシブルベイベー」のCDが2024年10月30日(水)にリリース!

カノエさん自身が作詞作曲を手掛け、ホーンのゴージャスさとアップテンポで楽しいサウンドに、作品に登場するキャラたちの想いをのせたリード曲に加え、自身の内にあるギャルマインドによって生まれた「COCO♡ギャル」、アコギ一本でやるせない想いを弾き語る「人間やめたい」の3曲が収録されています。

本シングルのリリースを記念し、カノエさんにインタビューを実施! 各楽曲に込められた想いや聴きどころをはじめ、『アクロトリップ』の印象や魅力、開催を控えるライブイベントへの意気込みなどを伺いました。

 

第一印象から好きな作品だと確信した『アクロトリップ』。魅力は新しい観点と、キャラの程よいポンコツ具合

――ED主題歌を担当する『アクロトリップ』の原作やアニメの資料等を読んで感じた印象と、魅力を感じた点をお聞かせください。

カノエラナさん(以下、カノエ):最初の印象は「あっ、私がめっちゃ好きなやつだ」と。実はED主題歌の制作前に資料として原作もいただく予定でしたが、待ちきれずに自分で買ってしまいました(笑)。

私は原作がある作品の楽曲を作るときは、いつも読んですぐに熱いテンションのまま制作に取り組みますが、自分がやりたいことや得意としていることが『アクロトリップ』の内容とすごく合致していたので、するするっと書き上げてしまったくらい、おもしろすぎて好きな内容でした。

 

 

――主人公の地図子は魔法少女のベリーブロッサムが好きすぎて、彼女を輝かせるために敵のフォッサマグナの側で戦うことを選んでしまうのがおもしろいですね。

カノエ:新しい観点だなと思ったし、みんな、程よくポンコツで(笑)。そんな抜け具合もいいですね。あとは、そこはかとない懐かしさも感じたりして。女の子の主人公が敵側にまわるのは、今のお子さんや若い人たちには新鮮に感じるかもしれませんね。あまりない展開なので。だから私くらいのおともだちにもいけるし、小さいおともだちにもいけるという。上手に広い世代を押さえていますね(笑)。

――好きなキャラを挙げるとすれば?

カノエ:クマ怪人が絶妙にゆるくて好きです。好きすぎてアニメが始まる前にファンアートを描いて、すぐにSNSにアップしたくらい。それくらいかわいいです。

――放送されたアニメをご覧になった感想は?

カノエ:夜に放送されているアニメですが、朝に放送していてもおかしくないテンション感ですし、トーンも明るくて。あと私の「リバーシブルベイベー」が流れるED映像を見たときにも思いましたが、パステルカラーで目に優しくて。「これからもひたすらおもしろおかしくて、楽しいんだろうな」という期待感でいっぱいになりました。

私の歌うED主題歌だけではなく、水瀬(いのり)さんのOP主題歌「フラーグム」も流れるので、すごく盛り上がるんだろうなとワクワクしました。

――「フラーグム」の作詞もされていますが、どんなイメージで歌詞を書かれたのでしょうか?

カノエ:「リバーシブルベイベー」を予想よりも早く書き上げてしまって。曲を提出した後に特に直しもなくOKが出たので、「終わった~!放送が楽しみだな」と思っていたら、「OP主題歌の詞がまだないので、書いていただけませんか?」とお願いされて。

私にとっては嬉しいことで、こんなに奇跡的なことがあるんだなと。「リバーシブルベイベー」で書けなかったものを「フラーグム」で書こうということで、ED主題歌はどちらかというと地図子ちゃん寄りにスポットを当てていたので、OP主題歌はベリーちゃん側かなって。

あと水瀬さんのライブを拝見して感じたことや受けた影響も入れ込んでみました。特に2番以降に私が感じた水瀬さんのイメージが入っています。

――実際に水瀬さんとはお話しされましたか?

カノエ:ライブの後にごあいさつさせていただきましたし、「キンスパ(KING SUPER LIVE 2024)」でお会いしたり、対談もちょこちょこさせていただきました。水瀬さんはずっと等身大の方だなと。カッコいいほうにもかわいいほうにも振れるのは、水瀬さんの芯や軸がしっかりされているからなんだなとお会いして感じました。

――水瀬さんはどんなときも飾らないですよね。

カノエ:本当にそのままなので、ビックリしました(笑)。

 

「リバーシブルベイベー」はカノエさんの趣味を貫いた“超元気なアニソンの理想形”

――「リバーシブルベイベー」の作詞・作曲をご自身で手掛けていますが、どのようなテーマやイメージで制作されたのでしょうか?

カノエ:(ターゲットの)年齢層はどちらかといえば下かなと思ったので、歌詞ではあまり難しいことを言わないようにしようと。ただそれだけだと楽しくないので、アニソンならではの「こんなところに、こんなワード入れるんかい!?」みたいな、例えばBメロの移り変わりなど、私が今まで培ってきたアニソンの要素をいろいろ入れ込んで。私がただただ歌いたかった、超元気なアニソンの理想形になりました。

 

 

――確かに、ポップで明るくて、キャッチーなサウンドと転調もあり、オケはゴージャス、歌い方も「堕ちてくワァアァアァアァアアア!」のところなど表情豊かで「ザ・アニソン」ですね。OP主題歌でもおかしくないくらい。

カノエ:そういう曲にしたかったんです。昔のアニメって、OP主題歌がすごく静かだと、ED主題歌は逆に楽しい曲になっていたり、そういうパターンをいろいろ見てきたので。今回のOP主題歌は、割とおとなしめで優しさや包容力のようなものでとばしていく光、みたいな感じと聞いていたので、それと対比するのであれば、ものすごく暗くいくのか、明るくいくのかしかない。でも私が最初に『アクロトリップ』から受け取ったメッセージは「めっちゃおもしろい」だったので、おもしろい方向にとばすしかないと。

――1コーラス聞いただけでもアップダウンが激しくて。

カノエ:遊園地で1日中遊んでいるような気持ちで書いたので、この1曲自体がジェットコースターみたいな感じです。

――サウンドはゴージャス感があり、ブラスを使ったスカっぽさもありますね。

カノエ:一番最初に魔法少女もののテーマ曲一覧みたいなものを見せていただいたら、スカもあって。私自身、スカっぽい感じが好きですし、ホーンセクションが入っている曲も好きで、何なら私の自己紹介ソング(「カノエラナです。改」)もそういう曲調でした。

だからリバイバルというか、ホーンの要素を入れることに意味があると思ったので、アレンジの菊谷(知樹)さんにホーンセクションでお願いしますと。どれだけライブでやりにくいとしても、私の趣味を貫き通しました(笑)。

――ライブをよくする人は、ライブでの再現性や演奏できるのかも考えるものですが、カノエさんは……

カノエ:私の趣味メインで(笑)。もちろん自分のライブも大切ですが、アニメと一緒に観て、聴いて楽しんでもらえることが一番大事なので。Bメロのかわいらしいところや、Bメロに行く前の不思議な、マジカルな感じを細かくオーダーして、ブラッシュアップしていきました。

――歌詞も、曲頭の「アイラビュ チュチュチュ ベイベー」のフレーズはカノエさんらしいし、「永久に世界で一番美味しい空気を吸って生きてほしい」という推しへの愛情表現は独特ですね。

カノエ:原作を読む前の資料の段階で、「推しに対して」というアプローチがされている作品だと思いましたが、その後に原作を読んでみたら、ちょっと違う感想も浮かんできて。でも最初に感じた、自分が一番好きなものに真っすぐに突き進んでいけばいくほど「人生楽しいじゃん!」というエンジンのかかり方がすごいなと思ったので、楽曲の歌詞にも推しに対して遠慮のない発言を入れちゃおうと。ちょっとふざけ気味の表現になっていますが、本当に思っていることなので、むしろ大げさに言うように心掛けました。

――地図子のベリーブロッサムへの想いの強さを描いているような。

カノエ:地図子ちゃんの気持ちだけでなく、ベリーちゃんが抱いている自分の気持ちをうまく表現できないもどかしさみたいなものも入っていて。1人のキャラクターに限定するのではなく、いろいろなキャラクターにあてはまる、作品全体の歌になりました。

――「パンくわえてぶつかるような」とか「同じ本を選んでは手と手が重なり合って」など、マンガやアニメでよくある定番シーンが入っているのも印象的でした。

カノエ:そこは絶対にはずせませんでした。テンプレみたいなものも一周回っていけるかなと(笑)。あとは『アクロトリップ』から感じた「お茶の間ドタバタ感」みたいなものに引っ張られて、入れたくなりました。

――サビ前の「※良い子は真似しないで」や「※良い子は寝る時間です」という注意書きのようなフレーズもおもしろいです。そしてインパクトがある曲頭と同じフレーズで曲を締めくくる構成も。

カノエ:『アクロトリップ』自体がどんなに引っかき回したり、おもしろいことをしても最終的には敵が「覚えてやがれ~~」とキラッ☆と消えていく、きれいなノリも入れたいという表れです。『水戸黄門』みたいなベタなオチは大事なので(笑)。

 

 

“バリバリにアゲアゲ”で臨んだレコーディング。こだわりポイントはDメロ前

――レコーディングはいかがでしたか?

カノエ:自分が楽しまないといけない曲なので、普段はあまり感情を表に出すタイプではありませんが、今回は口を思い切り開けて「うわぁ!」と叫んだり、ブースの中でいろいろやって、楽しいテンションのまま、バリバリにアゲアゲで歌いました。

――では、歌い終わったときは疲れたのでは?

カノエ:繊細な曲を歌うときとは全然違うアプローチで、日本語をハキハキとはっきり歌う難しさはありましたが、針を刺すような動きよりは大げさに動いてよかったので、楽な部分もあったりして、すごく楽しかったです。

――お気に入りのフレーズは?

カノエ:急にマジカル感になるDメロ前はこだわってオーダーさせていただきました。「遊園地だけど夜で人もいなくて。でも明かりは全部ついていて、メリーゴーランドも回っていて。そんな中でのせつなさと怖さがあるラインでお願いします」と。

――すごいオーダーですね。

カノエ:メッセージと一緒に廃墟の遊園地の写真を送りまくった気がします(笑)。そんな感じが表現されているのが好きです。自分の歌詞やメロディよりは、ホーンセクションの間がお気に入りポイントです。

――この曲のリリース前にツアーをされていましたが、そこでも披露されたのでしょうか?

カノエ:弾き語りのツアーだったので、この曲を弾き語りする難しさを学びました(笑)。自分で作っているのでできるけど、それでも難しくて。すき間もある程度あるし、Bメロで急に変わって、拍子も急に戻ったりするので、皆さんの手拍子も追いつかなくて。だから「雰囲気で適当に楽しんでください」と一番言ってはいけないMCをしてしまいました(笑)。でも最後の10公演目では皆さんの手拍子も上手に三拍子になっていて、絆を感じました。

先に弾き語りで見せていた分、この曲のオリジナルが世に出たときは「こんなふうになるのか!?」という反響が一番多かったです。私のことを初期から知ってくださっている方は、「カノエが好きな感じのアレンジになっているな」とすぐに気付いてもらえたと思います。

また、声色が前作の「イロドリ」や前々作の「Queen of the Night」とはまったく違うので、「この曲、カノエさんだったの!?」という声もあって。またおもしろい曲が加わったなと思いました。

 

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