共に時を過ごした仲間たちが語る小原乃梨子さんの思い出〜小原乃梨子さんお別れ会レポート〜
声優さんたちが語る、小原乃梨子さんの思い出
お別れ会に参列された声優の方々から、小原乃梨子さんを偲ぶ言葉が寄せられています。
『ドラえもん』から水田わさびさん、かかずゆみさんをはじめ、『オタスケマン』で共演の水島裕さん、初代しずかちゃん役の野村道子さん、『銀河英雄伝説』の羽佐間道夫さんなど、世代を超えて活躍する声優陣から、小原さんとの思い出や感謝の言葉が寄せられました。
以下、ゆかりの方々のコメントをご紹介いたします。
水田わさびさん(『ドラえもん』ドラえもん役)
小原乃梨子さんとは(小原さんがのび太役で演じていた)『ドラえもん』の現場で何度もご一緒しました。後輩の指導にも熱心な方で、発声方法や正しい日本語の発音について、現場で丁寧に教えていただいたのを覚えています。のび太君として最も多く話しているにもかかわらず、後輩にしっかりと指導される姿には、今の私には真似できない余裕と優しさがあると感じました。
小原さんが現場に入られると、まるで大きな美しい花が咲くようなエレガントさが漂い、周囲を明るくしてくださる方でした。その気品ある佇まいは、私たち後輩に多大な影響を与えてくださいました。
かかず ゆみさん(『ドラえもん』しずかちゃん役)
小原乃梨子さんとは直接の共演はなかったのですが、小原さんが演じられたキャラクターが大好きで、子供の頃から親しんできました。特にペーター(『アルプスの少女ハイジ』)やドロンジョ様(『ヤッターマン』)は、私にとって思い出深いキャラクターであり、小原さんのおかげで育まれた大切な存在です。
今、同じ業界で仕事をしていることに改めて責任感を感じ、小原さんへの尊敬の念がますます強くなっています。
水島 裕さん(『タイムボカンシリーズ タイムパトロール隊オタスケマン』オタスケマン1号で共演)
後輩の立場で、小原さんに多くを教えていただきました。『タイムパトロール隊オタスケマン』での1年間の共演では、皆さんがそれぞれ違った呼び方で僕を呼んでくれたのが印象に残っています。小原さん(アターシャ役)は「裕くん」と優しいタッチで、八奈見乗児さん(セコビッチ)は「裕ちゃん」と親しみを込めて、たてかべ和也さん(ドワルスキー)は「裕!」と力強く。呼び方にそれぞれの個性が表れていて、楽しい思い出です。
小原さんは本当に後輩思いで、面倒見の良い方でした。初めて『ドラえもん』の現場にお邪魔した時も、「裕くん、こちらにいらっしゃい」と温かく迎えてくださり、居心地の良さを感じたことを覚えています。普段は優雅で落ち着いた雰囲気があり、どこか「白いバラ」を連想させるような方でした。
野村道子さん(『ドラえもん』しずかちゃん役で共演)
小原乃梨子さんと共に、『ドラえもん』でしずかちゃん役を26年間演じてきました。先日、大山のぶ代さんが亡くなり、小原さんや大山さんと三人でよく遊んでいた頃を懐かしく思い出します。小原さんの訃報を聞いた時、「私だけ残ってしまった」と少し焦りを感じたのが正直なところです。
『ドラえもん』は私の人生で最も影響を受けた作品です。現役を引退した今でも、多くの方から声をかけていただけるのがとても嬉しく思います。昔の仲間と話すと、疎開や戦時中の思い出が自然と出てきて、今でも語り合いたい気持ちが尽きません。(ドラえもんの)五人組の中で私だけが残ってしまいましたが、これからの時間を大切に楽しもうと思っています。
羽佐間道夫さん(『銀河英雄伝説』シェーンコップ役で共演)
小原さんとはさまざまなアニメ作品でご一緒しましたが、私にとってはアニメの「先生」と言える存在でした。『銀河英雄伝説』などで彼女が一歩引いて支えてくれることで、私も肩の力を抜いて臨むことができました。
映画の吹き替え現場でも、二人だけで自然な会話のように見つめ合いながら演じたのが非常に印象に残っています。また、彼女の独特なセクシーな声は、色っぽい役柄で視聴者を魅了し、他に類を見ない存在でした。
小原乃梨子さんの思い出は、たくさんの感動を届けていただいた感謝と共にいつまでも。
ご冥福を心からお祈りいたします。
「小原乃梨子 お別れの会」
■日時
令和 6年10月30日(水)
■発起人
発起人代表 戸部敦夫
共同代表 南沢道義(81プロデュース)
発起人 石川和子(日本アメーション/日本動画協会)
伊藤 響(タツノコプロ)
梅澤道彦(シンエイ動画)
佐藤敏夫(音響監督)
笹川ひろし(アニメーション監督)