秋アニメ『ネガポジアングラー』第8話 上村 泰(監督)×岩中睦樹(佐々木常宏 役)振り返りインタビュー|土田さんの哀愁漂う演技に思わず岩中さんも涙
毎週木曜22時よりAT-X・TOKYO MXほかにて好評放送中のオリジナルTVアニメーション『ネガポジアングラー』。自身も大の釣り好きである上村泰監督が、『BLUE GIANT』・『幼女戦記』を手掛けたNUTとタッグを組んでお届けする、「釣り」を題材にしたアニメとなっています。
不幸続きな青年・佐々木常宏が「釣り」を通じて、様々な出会いや経験を積んでいく様を描く本作。アニメイトタイムズでは、上村監督と佐々木常宏役の岩中睦樹さんに各話ごとの感想や収録エピソードなど、たっぷりとお話を伺ってきました! 毎話ごとの振り返りインタビューとして、各話放送後の金曜日に毎週更新中。ネタバレ満載となっていますので、ぜひ各話を見てからご覧ください!
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町田“らしさ”を感じる冒頭とラストシーンに注目
──8話は町田店長のお話でした。こういう親子エピソードには個人的に弱くて、終盤はボロボロ泣いてしまいましたが、見た感想はいかがでしたか?
岩中:とても哀愁が漂うエピソードでした。(町田は)きっといいお父さんであろうとはしてるんでしょうね。お母さんも一応登場しますが、顔が見えない演出だったので、余計に(町田と優くんの)2人の世界を見れたというか、集中して感じられて、家族ってやっぱりいいなって思いました。
上村:多分お母さんはキャリアウーマンなんですよ。キレイ目な服を着てるし、優くんもいいとこのお坊ちゃん風で。これは推測ですけど、ちょっとダメな町田のことがキャリアウーマンだからこそ惹かれたものの、実際にはダメすぎて嫌になってしまった、という感じでしょうか。想像は色々できますよね。
釣り好きの方のポストを見ていると、釣りに没頭するあまり、家庭を顧みない人って結構いるんですよね。「家庭を顧みず釣りばっかりやっていて離婚しました。でもこれで釣り三昧です」って人が結構居るので、(町田も)そういう人なんだろうなって思います。
──今回はハゼ釣りとクロダイ釣りが登場しました。
岩中:ハゼ釣りって、作中でも言ってましたけど、初心者向きなんですか?
上村:僕の中では川が近い人は最初にフナ釣りをして、河口域の人はハゼ釣りをするんじゃないかなってぐらいメジャーだと思っています。ファミリーフィッシングの定番ですね。
前回登場したサビキも釣果が安定しますが、僕が子供の頃はハゼが本当にたくさんいて、初めての人でも簡単に釣れるんですよ。それこそ餌を付けていないのに、針だけ入れても釣れたくらいです。それほど簡単に釣れるうえにとても美味しいので、非常にメジャーなものかなと思っています。
岩中:初心者でも始めやすそうですね。
上村:とても仕掛けが単純なので、サビキのように絡まないという意味でも初心者に優しいと思いますね。
──好きなシーンについてはいかがですか?
岩中:ハナちゃんと貴明が町田親子を見守っている中で、一人で黙々とハゼ釣りを楽しんでいる常宏が好きですね。やったぜみたいなポーズをしていて。
上村:(常宏は)まだまだ空気が読めない子だから。
岩中:その後ぐらいかな? 優くんと二人で釣りするところで、子供相手にかなり陰キャっぽさを発揮している常宏もかわいかったです(笑)」。
上村:実際子供とどう接したらいいか、意外に難しいと思います。自分に子供がいないと「遊ぼうぜ!」と言われても、タメ口でいいのか、丁寧語の方がいいのか……正直僕もわからないです(笑)。
岩中:僕、子供と遊ぶのが好きなんですよ。親戚に年が離れた子たちがいるんですけど、同じテンションで遊べるんです。それこそボクシングごっことか言ってパンチしてくるんですけど、そういうのとかも同じテンションで遊んだりできるので、子供に好かれやすいのかもしれません。ここは僕と常宏の違うところですね。
あとはクロダイをリリースするところも好きかなー。あそこのシーン切ないですよね。お父さんの気持ちも考えながら、でも「本当は帰ってきてほしい」と願いをぶつけるっていう子供らしいところもありますし、優くんはすごく素敵な子だと思います。
──監督の好きなシーンはいかがですか?
上村:8話で好きなところといえばハゼがめっちゃかわいいんですよね(笑)。シーンでいえば町田の冒頭とラストが好きです。冒頭で「どこ行ったらいいんだろう」とか優柔不断でうじうじしていて、それでいて人の話は聞いていないところとかすごく町田っぽくて。しかも最後に、泣いているのか泣いていないのかわからないままアルアを釣りに誘う、いかにも彼らしい終わり方で……。
岩中:土田さんのお芝居がすごいんですよね、哀愁漂う演技。あのシーンでめっちゃ泣いたなあ。
上村:実写ドラマでやりそうなエピソードだと思うんですけれど、それをアニメでやることで違う効果が生まれると思っているんですよね。逆にファンタジーっぽいものをあえて実写でやる魅力と近いのかもしれませんが、何かそういったものがこの話数にはあるかなと思っています。
[文・二城利月]
作品概要
あらすじ
鬱々とした日々を過ごす常宏は、ある日借金取りに追われ海に転落したところを、釣り好きの少女ハナとその釣り仲間の貴明たちに助けられる。
ハナに勧められるまま人生初の釣りを経験し、その釣り仲間とも親交を深める常宏。
ハナや貴明の働くコンビニでバイトも始め、難解な釣り用語や生アミの匂いに苦戦しながらも、徐々に釣りにハマっていく。
手元に伝わるアタリは、生の実感――。
転落し続け世界を見上げるだけの人生は、そう簡単に変わらない。
そんな常宏が釣りを通して見つけたものとは……?
キャスト
(C)NEGAPOSI-ANGLER PROJECT