「常に僕らの今、最大限を感じてもらえるライブに遊びに来てください」MADKIDインタビュー──3rdアルバム『DROPOUT』や10周年記念ライブへの想いをメンバーたちが語る!
アルバム名『DROPOUT』はMADKIDそのもの
──「Chaser」も収録される3rdアルバム『DROPOUT』のタイトルの由来やコンセプトのお話をお伺いさせてください。
YOU-TA:「DROPOUT」は「はみ出し者」という意味です。ジャンルレスなMADKIDをひと言で言い表せる言葉がないと思っていて。
既存のジャンルからははみ出しているけれど、枠にとらわれずに作ることで生まれる曲やパフォーマンスがあると思うし、はみ出しているからこその美しさもあると思ったので、このタイトルをつけました。
──アルバム名が入った新曲の「DROPOUT HEROES」がラストに入っていますよね。
YOU-TA:アルバムの名前も入っていますし、一番僕ららしい曲だと思っているので、この曲で締めくくりました。
──その前にMADKIDを象徴する「Future Notes」があって、その流れからこの曲はエモいですね。歌詞はQ-MHzとの共作、作曲はQ-MHzが担当されていますが、交流はあったのでしょうか?
YOU-TA:2ndアルバム『BOUNDARY』の収録曲「No border」を書き下ろしていただきました。それまでの僕らの曲は勢いのある曲か怖い曲が多くて(笑)。
ライブでみんなと歌ったり、踊れたりする曲が欲しいなと思って、Q-MHzさんにお願いしました。
──歌詞の内容を見ると、MADKIDの歴史を追っている気分になったり、「もっと何度でも王道外れながら楽しもう」や「笑われたって馬鹿にされたっていい 隣には同志がいる」などMADKIDの想いが詰まっていて。
LIN:この曲はメンバーそれぞれで自分のパートの歌詞を書いているんです。ストーリー性みたいなものは偶然に出来上がって。そして畑(亜貴)さんが曲の要所要所を素敵な歌詞で締めくくってくださって。
僕はアニメファンとして畑さんの曲を聴いていたので、そんなすごい人に歌詞を書いていただけるだけでも嬉しかったです。そして改めて「畑さんって、すごいな」と思いました。
──サウンドに関してオーダーはされたんですか?
LIN:みんなで盛り上がりたいという事と、歌詞のテーマだけお伝えしました。
YUKI:「No border」の時も僕らのイメージで作っていただいたものが素晴らしかったので、細かいことをオーダーするよりもお任せしたいなという想いも込めて「盛り上がれる曲」というテーマのみで。そして「ラップパートは僕たちも書きます」という風にお話していました。
YOU-TA:今回仮歌がなかったんですけど、メロ譜と歌詞が届いた時、めちゃめちゃメロディが難しかったり、譜割もかなりはみ出していて。
最初はどう歌ったらいいのかわかりませんでしたが「DROPOUT HEROES」のはみ出している部分を、Q-MHzさんが敢えて表現してくださったのかなと受け止めました。
僕らのことをすごく考えて作ってくださったんだなと感じて嬉しかったです。
──なるほど。5人はファンの皆さんにとって、はみ出していてもヒーローですからね。
YOU-TA:実際はヒーローなのかはわかりませんが(笑)、そうなりたいなという想いも込めて。
──では「DROPOUT HEROES」の、皆さんのお気に入りポイントや聴きどころの紹介をお願いします。
LIN:お気に入りポイントはサビの掛け声ですね。30代の男性たちの無邪気な姿を想像して聴いてもらえたら(笑)。ライブではみんなに掛け声をしてほしいなと思っているので、曲を聴き込んでライブで一緒に大きな掛け声で参加してほしいです。
SHI:すごくポジティブな歌詞ですし、背中を押してくれる曲になったので、つらいことや悲しいことがあったり、元気を出したい時に聴いてほしいです。
もしくじけそうになった時、「笑われたって馬鹿にされたっていい 隣には同志がいる」の歌詞のように、自分がやりたいように進んでいってほしいです。そしていつもどこかで僕らが応援していると思ってもらえたら。
僕らもダンスボーカルグループとして活動してきましたが、自分たちを信じてこれたから今こうしてアニメのタイアップ曲をたくさん歌わせてもらえて、たくさんの人とライブなどで出会うことができたので。皆さんも決してあきらめないでほしいです。
KAƵUKI:「昔余所者 だけど今じゃメロメロ」も、最初の頃は「アニソン界に得体の知らない連中が入って来たな」と思った人も多かったと思うけれど、今ではワンマンだけでなく、フェスに出演しても皆さん温かいし、盛り上がってくれている喜びを歌詞にしました。
レコーディングはただ楽しくて。サビはユニゾンのところもあったりで、ソロで歌っているところがあんまりなくて。それもMADKIDでは珍しいことです。みんなで盛り上がれる曲になったので、早くライブで披露したいです。
YUKI:聴きどころは僕もサビを推したいと思います。この曲の譜割への歌詞のハメ方は、今までの僕らでは書けないものでしたが、いざ歌ってみると本当に心地よくて。
ラスサビの最後の「強い強い強い」もすごく速いけど言えるし、いちアーティストとしても他のアーティストの方のエッセンスを感じられた瞬間だったので、MADKIDを好きな人が聞いたら「おおっ!?」と感じられると思います。
5人それぞれが書いた歌詞を「ここを書いたのは誰かな?」と想像していただくと、僕らの想いもより伝わる2度おいしい曲になっていると思います。
YOU-TA:歌詞を自分たちが書いているし、更にMVまで自分たちで作っているアーティストはいないだろうと思って、今回僕がMVを作りました。
先ほど僕らのMVは閉鎖的なところが多いという話がありましたが、このMVはだいぶオープンな場所で撮りました(笑)。さわやかな作りになっているので、耳でも目でもこの曲を楽しんでいただければ。
──外での撮影ということですが、暑くなかったですか?
YOU-TA:暑かったです(笑)。ただダンスや振りはないので、ラフに撮影している感じでキツさはなかったです。「Chaser」のMVではキリっと作った表情をしていますが、この曲では素の表情なので、生身の僕らの部分を感じてもらえるかなと思います。かなりゆるいので(笑)。
「Mirage」は自分たちがモヤモヤしたり、手が届きそうで届かない感じを歌詞に
──ではほかの新録曲のご紹介もお願いします。まず「Mirage」は激しいロックチューンですね。
YOU-TA:アルバムに収録する曲として制作を始めて、「REBOOT」(1st EP『REBOOT』収録)や「Critical Point」(6thシングル「Bring Back」C/W)などでエッジが効いたサウンドを作ってくれているD&Hさんにトラックをお願いしました。
歌詞は僕が書きましたが、自分たちがモヤモヤしたり、手が届きそうで届かない感じを「蜃気楼」に見立てています。
僕らが独立して初めてリリースした『REBOOT』でも同じようなコンセプトの曲を作っていましたが、改めて今、自分たちが感じていることやここから進みたい道を自分なりに歌詞にしました。それにLINとYUKIがラップをのせてくれました。
LIN:サウンドは、D&Hさんがアメリカ基準の音……とてもドライで締まった音を作られる方なので、アルバムの中でもいいアクセントになっていると思います。僕らのことを知らない方でも音楽の質感の違いみたいなものも感じていただけると思います。
KAƵUKI:D&Hさんの曲をレコーディングする時はいつも立ち合ってくださるんですが、今回もディレクションしていただきました。プリプロ(プリプロダクション=レコーディング作業前の下準備)で録った時と実際のレコーディングとで歌い方が違っているところがあって。
D&Hさんからのディレクションに対して僕らが応えて修正するキャッチボールしていく感じでしたが、とてもわかりやすく、なおかつ今までやったことがない歌い方をその場で引き出してくれるような。また1枚、殻がむけた感覚があって、自分の歌声も気に入っています。
SHI:D&Hさんのおかげで、新しい自分を引き出してもらえた感覚もありましたし、これからライブでパフォーマンスする時、カッコいい振りがついた状態に仕上がると思うので、ライブでやるのがとても楽しみです。
YUKI:D&Hさんのフックのベースの動かし方もすごく好きで。全体的にエッジが効いたサウンドに自分の声も合うと感じたし、ラップも好きなようにできました。この曲がアルバムに入ったことで、MADKIDの幅の広がりを感じていただけると思います。