「ビークル合体」は後から決まったコンセプト⁉ 『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』の「プラレール」誕生の裏側を聞いてみた|タカラトミー玩具開発担当者インタビュー
「シンカリオン トリニティー」が源流にある「シンカリオンSRG」
──「シンカリオン 500こだまジンキフォーム」は背景に漢字の当て字がドンとでますが、あの当て字も皆さんで考えられたんですか?
濱﨑:ヤマちゃん(ヤマト)の当て字はシナリオ側で決められていたと思います。必殺技の当て字は千野さん(株式会社シグナル・エムディ 代表取締役社長 千野孝敏さん)のですね(笑)。
ちなみに「ダイナミックギガスパナ」という武器名が決まったのも、実はヤマト登場回の脚本を市川十億衛門(いちかわギガえもん)さんが担当していたのも理由の一つだったりするみたいで・・・
──ギガは十億衛門さんからきているんですね!
濱﨑:提案させて頂いた後「ダイナミックギガスパナってキャラクター的にヤマちゃん(ヤマト)も言いそうだし、十億衛門さんに合う!」というので決まったよとプロデューサー陣から聞きました(笑)。
実は「シンカリオン 500こだまジンキフォーム」のパッケージは千野さんにもご協力いただいて、パッケージの裏面にあの文字を使わせていただいています。
──ファン待望のドクターイエローの登場が発表されましたが、「シンカリオン グレートドクターイエロー」は騎士みたいな雰囲気で造形もかなり細かいですね。
濱﨑:「シンカリオン グレートドクターイエロー」はエルダビークルと合体しないでも単体で強いというのを打ち出したかったのと、イメージ的には過去シリーズの「シンカリオン ドクターイエロー」の良いとこ取りをしたつもりです。
僕たちも知らなかったのですが先日、実在するドクターイエローの引退がニュースになり、結果いいコンセプトでまとめられたのでは!と思っています。
──先頭車両と後尾車両が双子みたいに個別で変形できて、更に中間車両と3両合体すると「シンカリオン グレートドクターイエロー」になるのは初めてのパターンですよね。
濱﨑:「SRGシステム」とはまた違って、ドクターイエロー単体で「SRGシステム」と同等のロボットになれるのは大きな魅力だと思います。しかも、ちゃんと他のシンカリオンとも合体できるようになっているんです。
カオスシンカリオンの武器が大剣のようなものだったり、腕に爪が付いていて近接戦闘をイメージする機体だったので、それにシンカリオンが対抗するとしたら剣と盾で戦うかなとか考えたデザインです。
木口:『シンカリオンZ』の「ドクターイエロー」はバイザーやセンサーといったスキャン的な要素をいれて検測車両の特性を生かしたデザインと設定になっていましたが、今回の「シンカリオン グレートドクターイエロー」では「ユナイトシンカリオン」のバイザーにその要素を入れたりしています。
濱﨑:集大成的な意味合いでバイザーのデザイン/パーツ名称を『クラウン(王冠)』にしたのもポイントです。
──個人的に「シンカリオン トリニティー」が好きだったので、この合体はそれを思い起こす部分があってかっこいいですね。
木口:実は「シンカリオン トリニティー」を今の技術でもっとハイクオリティというか、完成された形でやりたいというのが「SRG(3両合体)」の源流にあったりするんです。
過去に作った商品で感じた部分を更に膨らませたら面白いんじゃないか、そんな風に新しい物を作っていけたらという想いみたいなものはありますね。
『シンカリオン』とのコラボを見たい作品は?
──タカラトミーさんと言うと、最近でも『ゾイド』と『スパイダーマン』のコラボを発表されるなど夢のあるコラボを多数手がけられています。あくまで「担当者個人の願望」で大丈夫ですので、『シンカリオン』でこんなコラボを見てみたいというのはありますか?
木口:僕ら共通の願望……言っていいんですか?
濱﨑:言っていいですよ(笑)。
木口:僕は『勇者特急マイトガイン』が凄く好きなんです。ある日、主題歌を聴きながらテンションを上げて出社したら「木口さん、シンカリオンをマイトガインとコラボできたら良いですね!」と濱﨑から急に言われたことがあって。
両肩に新幹線というのも様式美的な良さがあるじゃないですか。それを活かしてコラボできたら嬉しいですよね。
濱﨑:僕ら自身もともとロボアニメが好きなのもあり・・・現場でたくさん妄想しています。鉄道や新幹線を題材にしたロボットアニメの先駆者には、たくさんかっこいいロボットがいますので。
──それでは最後に『シンカリオン』シリーズのおもちゃを愛している方にメッセージをお願いします。
木口:本当にありがとうございます、という感謝の気持ちでいっぱいです。
濱﨑:皆さんがSNSなどにアップしているオリジナル合体も、実は僕たちもいつもチェックさせていただいています。それが凄く励みになったり、開発のヒントになっていたりするんです。
木口:全然思いもよらない合体パターンを考えてくださったりして、色々な楽しみ方や「こんなのあったんだ!」とネットを見る度に感じています。
岸:みなさんに凄く愛していただいているのを常に感じていて、そういったみなさんとの化学反応で『シンカリオン』の玩具はできている部分もあると思います。
濱﨑:本当に『シンカリオン』はお客さんとの距離が近いので、アニメもおもちゃもぜひ引き続き楽しんでいただけたらと思います。
木口:今日はその感謝の気持ちだけでもお伝えできればと思うので、これからもぜひ一緒に“セッション”できたら嬉しいです。
取材・記事:岩崎航太、編集:太田友基、写真:胃ノ上心臓
作品概要
あらすじ
「超進化鉄道開発機構」通称「ERDA(エルダ)」は、対抗手段として新幹線が変形するロボット「シンカリオン」を開発し、脅威に備えていた。
「何かを守れる、カッコイイ人に…僕は…」
中学2年生の大成タイセイは、2年前に失踪した姉の手がかりを求めて、進開学園中等部に転入する。
その矢先、10年ぶりにアンノウンが出現。偶然にもタイセイがシンカリオン運転士として高い適性値を持つことが判明し、闘う決断を迫られることとなる。
アンノウンの正体、そして目的は何なのか…。闘いの末に見えてきた真実とは…。
少年たちの決意と成長の物語が、今、始まる―。
キャスト
(C)プロジェクト シンカリオン・JR-HECWK/ERDA・TX