『星降る王国のニナ』リレーインタビュー第2回:ニナ役 田中美海さん&セト役 内山昂輝さん|セトはこれから新しい感情を知っていく“赤ちゃん”!?
フォルトナ国からガルガダへと嫁いだニナは、第一王子セトの冷酷な振る舞いに振り回されながらも、正面から彼に寄り添い、少しずつ距離を縮めていく。一方、フォルトナ国ではニナが必ず守ると誓ったアズールが国王に即位。ガルガダへ使者がやってくるのだが、その中にはアズールらしき男がいて……!?
波瀾万丈のガルガダ編へと突入し、ますます盛り上がっていくTVアニメ『星降る王国のニナ』。リレーインタビュー第2回は、ニナ役の田中美海さんとセト役の内山昂輝さんが登場。「戦神」として畏怖されるセトと、そんな彼にぶつかっていったニナの物語を振り返っていただきました。
前回はこちら
物怖じしない強さが、ニナの最大の魅力なんだと改めて実感しました
──内山さんはセトというキャラクターをどのように演じられようと思いましたか?
内山昂輝さん(以下、内山):以前、ボイスコミック版でセト役をやらせていただいていたので、そのときの感触や、改めて原作を読んだときのイメージを参考にしながら、また最初から組み上げていく感覚で演っていこうと思いました。中盤以降で語られるセトの過去も重要な要素なので、そういう部分も頭に置いてキャラクターを作っています。
──まさに第八夜でセトの過去が語られましたね。
内山:視聴者の皆さまも、このギャップに驚かれたんじゃないかなと(笑)。傍若無人で強気なキャラクター性とは違う、うちに秘めた弱い部分、彼からすると人に見せたくないかもしれない部分、それをのぞいたようで、印象がだいぶ変化しました。
田中美海さん(以下、田中):セトはいろいろな鎧を心にまといながらも、自分では苦だと思っていないんですよね。でも、傍から見るとやはり助けてあげたくなってしまう、少なくともニナはそういう気持ちになったんだと思います。壮絶な出来事が起こった「血の神殿」に来ても、「何も感じない」なんて、それが救いだなんて、そんな悲しいのは違う、と。セトが気づかないところにニナが気づいてあげられて、その心に寄り添おうとする姿が素敵でしたし、そこからセトが少し変わったように見えたのがよかったです。
──内山さんは、第八夜のお芝居で何か意識されたことはありますか?
内山:独特のセリフまわしを自然に表現することですね。たとえば、「人は空を飛べない。ただの肉塊、すべては虚妄。心も思いもうたかたにすぎない」というセリフのように、彼の思いはモノローグも含めて、日常生活ではなかなか使わないような言葉で語られることがあります。それがフィクションとしてのよさでもあるんですが、声に出してみると違和感に繋がることもあるんです。なのでキャラクターが声を発したときに、リアルでナチュラルな感じとフィクションとしてのケレン味がバランスよく馴染んで、うまい具合に伝わればいいなと思いました。
田中:まったく違和感なかったですよ! これがセトだって説得力がありました。
内山:ありがとうございます。
──ニナは、まっすぐにセトと向き合おうとする姿がとても眩しかったです。
田中:最初は、他国の姫を斬っちゃうし、セトはかなりヤバい奴だなぁと思ったんです(笑)。でも、ニナは目を背けずに向き合って、心の壁を取り払おうとする。この物怖じしない強さが、ニナの最大の魅力なんだと改めて実感しました。……その原動力がアズ(アズール)にあるというのが、またもどかしいところですが!
一同:(笑)
田中:ニナはフォルトナ国とアズを守るという覚悟を背負ってガルガダに来ているので、泣くことがあったとしても、決して負けることはありません。ニナの生きる原動力、ここに存在している意味がそこにあるから、ニナもセトに食らいついていけるんです。その結果、セトに文句を言われてもコミュニケーションが取れたと解釈できるし、斬られても掴みかかれる。彼女のぶつかっていく姿勢が事態を好転させているんだなと感じます。
──第八夜でセトに放った「一生、お前を大事にしてやるから」も力強さと優しさがありました。
田中:私もそのセリフが大好きです! 「あたしが幸せを教えるよ!」って、プロポーズじゃないの!?って(笑)。あのときのセトの反応を見ると、きっとそんなことを言われたことがなったんだろうし、幸せというものも考えたことがなかったんだろうなと少し悲しくなりました。
内山:ニナに対してはいろいろな見方ができると思うんですが、一人の視聴者、読者としての目線でいうと、そのセリフを聞いたときに「あれ、アズは?」って思ったんですよ(笑)。前半の物語を考えると、心の中にいるのはアズールではって、アフレコ現場でもツッコミを入れた記憶があります。
田中:(笑)。
内山:セトはまだその事実に気づいていないので、今はまっすぐニナと向き合っていると思うんですが、第八夜の最後にアズールらしき使者が現れて、これで彼と鉢合わせしたらどうなるんだろうと思いました。
田中:視聴者さん的にも、セト的にも気になりますよね。でも、ニナとしてはもうアズには会えないんです。
内山:諦めたから?
田中:離ればなれになる覚悟を決めたという感じですかね。心の底から一番大事に思っている人だから、ずっとずっとフォルトナ国で守られていてほしいし、どうにか死なないで生きていてほしい、と。愛とか恋を飛び越えた特別な存在なんだと思います。
内山:なるほど。
田中:でも、やっぱり気になるから使者がきたとなったら駆け出しちゃうんです! これが、乙女心なんです!!(笑) ニナはそういう子ですから。
内山:でも思ったことを素直に言ったり、行動に移したりできるニナだからこそ、魅力的に見えるんだと思います。かわいらしい女性キャラクターというだけではなく、ひとりの人間として苦しい状況でもめげずに立ち向かっていくし、どんな立場の人に対しても公平。誰にでも正面からコミュニケーションを取ろうとして、悪いと思ったら権力者にも立ち向かっていく。人としてリスペクトできる主人公です。
田中:わかります。ガルガダに到着したときに、侍女たちを困らせていた近衛隊長とのやり取りがすごく好きで、ダメなものはダメと言えるニナが本当に素敵だなと思いました。
──第六夜のやりとりですね。見ていてスカッとするものがありました。
田中:いいですよね~。今までスンとしていたお城の皆さんが心を開いてくれて。皆さんがニナを無視していた理由が明らかになったという点でもすっきりしましたし、ニナがガルガダに来た意味も感じられて、こちらも救われる思いになりました。