ディアドラは“強い女性”、意気込むあまり劣勢に見えないよう気をつけた──秋アニメ『さようなら竜生、こんにちは人生』ディアドラ役 佐々木未来さん【連載インタビュー第6回】
TVアニメ『さようなら竜生、こんにちは人生』もいよいよ後半戦へと突入。魔界門編ではドランたちと魔界の四騎士の激しい戦いが繰り広げられ、緊張感溢れる展開が続いています。
本作をより楽しむためのリレーインタビュー、第6回はディアドラを演じる佐々木未来さんが登場。エンテの森に住む黒薔薇の精ディアドラは、誇り高くも慈愛に満ちたキャラクター。彼女の強さと慈悲深さをどのようなバランスで演じられているのか、佐々木さんにたっぷり語っていただきました。
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熱くて優しい女性なんだと認識を改めました
──物語は魔界門編へと突入し、第6話ではついにディアドラが登場しました。早速、ラフラシアとのバトルが描かれましたが、率直な感想はいかがでしたか?
佐々木未来さん(以下、佐々木):本当にしびれる登場の仕方でした。原作を読まれた方はディアドラがどういう女性なのかご存じかと思いますが、初めてご覧になった方は驚いたのではないでしょうか。一見すると冷酷で怖そうなのに、実は本心から森の生き物たちのために戦っているんです。
ディアドラの見せ場がたくさんあり、この話数がクライマックスなのではないかと思ってしまうくらい見どころ満載でした。
──佐々木さんも最初は冷酷で怖そうなイメージを持たれたんですか?
佐々木:そうですね。オーディション資料で初めてデザインを拝見したときは、敵なのか味方なのかわからない怖いイメージがあったのですが、クールではあるけれど仲間を思う気持ちをしっかり持ち合わせているとわかり、熱くて優しい女性なんだと認識を改めました。
──役作りはいかがでしたか?
佐々木:最初アフレコ現場に準備していった演技は、もう少し妖艶なイメージが強かった気がします。ですが、妖艶さよりも強い女性であることを意識するようにして、強い言葉を発するときはしっかり強く、決めるところはしっかり決めるという方向性にシフトしていきました。森を統べる長(おさ)のような一面があるので、それを一番大事にしています。
──ラフラシアとのバトルはいかがでしたか?
佐々木:私個人としてはラフラシアたちへの憎しみが募るばかりでしたが(笑)、ディアドラとして憎しみや悔しさを前面に出してしまうと、かえって強さが失われてしまうんです。音響監督さんにも「ディアドラは強い女性なんです」と何度かディレクションをいただきまして、意気込むあまり劣勢に見えないように気をつけました。
──強がれば強がるほど弱く見える、みたいなことがあるわけですね。
佐々木:そうですね。その塩梅が難しかったです。私の「ラフラシアを倒したい!」という気持ちを乗せすぎてしまうと、やられ役のほうに聞こえてしまうので。
──ラフラシア役の小倉唯さんとの掛け合いはいかがでしたか?
佐々木:第6、7話は別録りだったのですが、先にアフレコされた唯ちゃんのお芝居が本当に素晴らしくて。こう言ってはアレですが、めちゃくちゃ憎たらしく演じられていたんです(笑)。ディアドラの心を逆なでするようなお芝居で、私もしっかり役に入り込むができましたし、別録りでもまったく違和感のない掛け合いができました。
──セリフの応酬もすさまじかったです。
佐々木:ディアドラが反撃したあとの、「綺麗な薔薇には刺がある」は最高にしびれました! 昔から漫画やアニメでよくある言い回しを自分が言えたというのが嬉しかったですし、「くぅ~! ディアドラかっこいい!」って我ながら唸ってしまいました(笑)。そのあと「許さない! 許さない!」と怒りをあらわにするラフラシアのお芝居も素晴らしかったです。
── 一方で、先ほどおっしゃったように「慈悲深さ」も備えているのがディアドラです。そのあたりのニュアンスはどのように入れようと?
佐々木:慈悲深さや優しさもあまりはっきり乗せてしまうと、それも弱さとして聞こえてしまうんです。優しい心は持っている。でも、それをあまり出さないというバランスの上に成り立っているので、本当に調整に調整を重ねたキャラクターでした。
──演じていて楽しかったところはどんなところですか?
佐々木:やっぱり強い女性であるところですね。傷を負っても気丈に振る舞うシーンが特に印象的で、つねに凛とした佇まいを崩さないんです。きっと自分だったら「痛い! 痛い!」と確実に泣くと思うので、自分にはない部分を持っているディアドラには憧れてしまいます。