『クレイヴン・ザ・ハンター』日本語吹替版 クレイヴン役・津田健次郎さんインタビュー|感動とは違う大人向けの苦みが走る、ヴィランとその家族の物語
生身で戦っているクレイヴンの姿に驚くと思います
ーーマーベル作品では『ブラックパンサー』に登場するキルモンガーの吹替も担当されていますが、ヴィランとしての違いを感じたところはありますか?
津田:キルモンガーは王族で毛並みの良いイメージですが、クレイヴンは“野良”という印象がありますね。親父がすごく冷酷なうえに、小さい頃から崖に突き落とされるような育てられ方をしているので、ワイルドな側面が強いと思います。
ーーそういったクレイヴンのワイルドさは、演じるアーロン・テイラー=ジョンソンさんのお芝居に依るところも大きいですよね。
津田:『ブレット・トレイン』と『フォールガイ』でもアーロンさんの吹替を担当させていただきましたが、映画ごとに印象を変えている気がします。元々ワイルドな雰囲気を持った方ですが、どこか綺麗でキュートな部分もあり、改めて素敵な俳優さんだと感じました。
ーー吹替のお仕事に感じる面白さについても、お聞かせください。
津田:お芝居の面では制限のある、ストイックなジャンルだと思います。口パク、表情の縛り、自分の性質とは違う演技。それらをどうすれば自然かつリアルに、ねじ曲げずに表現できるか。職人的な要素も強いですが、自分のお芝居と演者のお芝居が綺麗にハマる瞬間は面白いです。
ーー本作で言うと、アクションシーンのテンポが非常に速いので、そういった部分は難しそうです。
津田:音を合わせるのはもちろん、集団戦の中で声を聴き分ける必要があるので大変でしたね。演者さんがどういう体勢なのかも考える必要があるので、反射神経が重要になります。人によって差はあると思いますが、個人的にはスポーツをやっているような感覚です。身体のどこに力が入っているかを考えつつ、内側の筋肉で音を出すような意識で演じています。
ーー最後に、ファンの方へのメッセージをお願いします。
津田:本作は、今までのヒーローモノ、ヴィランモノとは少し違います。ダークで重厚なドラマ、スピード感溢れるアクションなど、様々な良さがありますし、変身するような敵と生身で戦っているクレイヴンの姿に驚くと思います(笑)。まずは観に行っていただきたいですが、それが吹替版であったなら更に嬉しいです。
[インタビュー/失野 撮影・編集/小川いなり]
『クレイヴン・ザ・ハンター』作品情報
12月13日(金)より日米同時公開