『葬送のフリーレン』『忘却バッテリー』『SPY×FAMILY』などなど……2024年に続編の制作、放送決定が発表された話題作をピックアップ! 年末年始に前作を一気観してみない?
2024年も残りわずか。皆さん今年はどんなアニメをご覧になりましたか? 毎クール見切れないほど作品が放送されている昨今。気になっていたけれど、忙しくて見れていない作品も多いのではないでしょうか。そこで本稿では、ライターの独断と偏見で年末年始に一気見してほしいおすすめ作品をピックアップしてみました。
どうせ見るなら、次回作の制作や放送が決定している作品を……ということで、2024年に続編の制作または放送決定が発表された作品に絞ってご紹介していきたいと思います。筆者目線のおすすめポイントも添えていますので、作品選びの参考にしていただければ幸いです。
『忘却バッテリー』|続編情報:二期制作決定
作品名 | 忘却バッテリー |
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スケジュール | 2024年4月9日(火)〜2024年7月2日(火) テレビ東京系・AT-Xにて |
あらすじ | 中学球界で名を馳せた完全無欠の剛腕投手・清峰葉流火、切れ者捕手の“智将”・要圭の怪物バッテリー。全国の強豪校からスカウトを受けていた彼らが進学したのは何故か野球無名校の東京都立小手指高校だった。さらに圭は記憶喪失で野球に関する知識も失っていた。 そしてかつて彼らに敗れ散り野球から遠ざかっていた天才たちも、偶然同じ高校に入学しており…。 巡り合い、再び動き出す彼らの高校野球ストーリーがいま始まる―! |
話数 | 全12話 |
キャスト | 清峰葉流火:増田俊樹 要圭:宮野真守 藤堂葵:阿座上洋平 千早瞬平:島﨑信長 山田太郎:梶裕貴 土屋和季:山谷祥生 国都英一郎:大塚剛央 巻田広伸:石井マーク 桐島秋斗:河西健吾 |
スタッフ | 原作:みかわ絵子(集英社「少年ジャンプ+」連載) 試合制作:高嶋栄充 監督:中園真登 シリーズ構成:横手美智子 副監督:飯田剛士 キャラクターデザイン:長谷川ひとみ アクション作画監督:立中順平 徳丸昌大 美術監督:船隠雄貴 色彩設計:中野尚美 撮影監督:川下裕樹 3D 監督:小川耕平 編集:吉武将人 音楽:菊谷知樹 山崎寛子 音響監督:名倉靖 音響効果:長谷川卓也 制作:MAPPA |
主題歌 | OP:「ライラック」Mrs. GREEN APPLE ED:「忘レナ草」マカロニえんぴつ |
(C)みかわ絵子/集英社・KADOKAWA・MAPPA
これぞ令和の野球漫画!
筆者が今年放送された作品の中で一番一気見をおすすめしたいのは、2024年の春に放送された高校野球がテーマの『忘却バッテリー』です。野球漫画と聞いて敬遠してしまう、そんな方にこそ、本作を見ていただきたいと思います。
本作は、記憶喪失や挫折など様々な要因で一度野球を辞めた球児たちが、高校での出会いを機にまた野球を始めるというストーリーです。中心人物となるのは、天才投手の清峰葉流火と記憶喪失になった捕手・要圭なのですが、この要が信じられないほどアホでおチャラけた性格。しかし、中学時代は冷静沈着な智将捕手として名を知られていました。そんな彼が何故かそれまでの記憶も野球のことも忘れてただのアホになってしまっているのです。
私は原作ファンでもあるのですが、初めは本作のギャグ担当だと思ってた要の記憶喪失の真相が明かされていくにつれて、彼のアホな言動が深刻な問題の伏線だと判明していきます。そのギャグとシリアスの絶妙なバランスに引き込まれていくところが本作の魅力です。
また、私が本作を令和の野球漫画だと思うのは、主人公チームに野球部や運動部特有の厳しい上下関係がないため。創設したばかりの部だということもあり、部員たちの関係はとてもフラット。2年生は1年生にも丁寧で優しく接し、1年生たちはそんな先輩たちをきちんと立てる接し方をしているところがとても好印象。(なお3年生はクソみたいな先輩)
さらに、アニメ第8話で、野球は好きだが特有の上下関係や空気感に馴染めず辞めた過去を持つ土屋が、脚の速さを見込まれて入部するというストーリーが描かれるのですが、「球拾いは1年がやるもの」「10m先の先輩に大声で挨拶」といった理不尽なルールのない野球部で、土屋は好きな野球を楽しみ、俊足を武器にチームの戦力として成長していきます。
ギャグを交えつつ終始愉快に描かれながらも、野球をはじめとするスポーツの世界特有のシステムに問題提起しているこのストーリーにもぜひ注目して見ていただきたいです。
『葬送のフリーレン』|続編情報:二期制作決定
作品名 | 葬送のフリーレン |
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スケジュール | 2023年10月6日(金)~2024年3月22日(金) 日本テレビ系ほか |
あらすじ | 勇者ヒンメルたちと共に、10年に及ぶ冒険の末に魔王を打ち倒し、世界に平和をもたらした魔法使いフリーレン。 千年以上生きるエルフである彼女は、ヒンメルたちと再会の約束をし、独り旅に出る。それから50年後、フリーレンはヒンメルのもとを訪ねるが、50年前と変わらぬ彼女に対し、ヒンメルは老い、人生は残りわずかだった。 その後、死を迎えたヒンメルを目の当たりにし、これまで“人を知る”ことをしてこなかった自分を痛感し、それを悔いるフリーレンは、“人を知るため”の旅に出る。 その旅路には、さまざまな人との出会い、さまざまな出来事が待っていた―。 |
話数 | 全28話 |
キャスト | フリーレン:種﨑敦美 フェルン:市ノ瀬加那 シュタルク:小林千晃 カンネ:和氣あず未 ラヴィーネ:鈴代紗弓 ヴィアベル:谷山紀章 ユーベル:長谷川育美 デンケン:斉藤次郎 ラント:小松昌平 リヒター:花輪英司 ラオフェン:石上静香 エーレ:伊藤かな恵 ゼンゼ:照井春佳 ゲナウ:新垣樽助 ゼーリエ:伊瀬茉莉也 ヒンメル:岡本信彦 ハイター:東地宏樹 アイゼン:上田燿司 |
スタッフ | 原作:山田鐘人・アベツカサ(小学館「週刊少年サンデー」連載中) 監督:斎藤圭一郎 シリーズ構成:鈴木智尋 キャラクターデザイン・総作画監督:長澤礼子 コンセプトアート:吉岡誠子 魔物デザイン:原科大樹 アクションディレクター:岩澤亨 美術監督:高木佐和子 美術設定:杉山晋史 色彩設計:大野春恵 3DCGディレクター:廣住茂徳 撮影監督:伏原あかね 編集:木村佳史子 音響監督:はたしょう二 音楽:Evan Call アニメーション制作:マッドハウス |
主題歌 | OP1:「勇者」YOASOBI OP2:「晴る」ヨルシカ ED:「Anytime Anywhere」milet |
(C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会
「人を知る」とはどういうことか
2023年9月から2024年3月にかけて放送されたアニメ『葬送のフリーレン』。魔王を討伐した勇者パーティの魔法使い・フリーレンを主人公に、魔王討伐後の世界を描いた作品です。その面白さから様々なマンガ賞を受賞し、メディアにも数多く取り上げられていたため、タイトルを聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
本作は長命種のエルフでドライな性格のフリーレンが、かつての仲間である勇者ヒンメルの死によって彼のことを知ろうとしなかったことを激しく後悔し「人を知る旅」に出る物語。アニメも原作も読んでいるのですが、「人を知る」とはどういうことなのか、私は未だに明確な答えが出せていません。
フリーレンは、ヒンメルの優しく正義感に溢れた人柄やナルシスト気味な一面、ルフオムレツが好物であること、仲間と迷宮攻略が大好きなことを知っています。では、なぜ彼女はヒンメルの葬儀で「私、この人の事何も知らない」「なんでもっと知ろうと思わなかったんだろう」と口にしたのでしょうか。彼女はヒンメル、そして人の何を知りたいと思っているのでしょうか。
現段階での私なりの答えは、「ヒンメルをもっと知りたいと思った理由を知りたい」です。彼女はこれまでの千年余りの人生でたくさんの人と関わってきたと思われますが、人に対してこんな感情を抱いたのはきっとこれが初めて。今までになかった感情が湧き出た理由を求めているのだと考えています。
しかしこれもまだ断言できる答えではありません。みなさんも「人を知る」ということの意味を考えながら見て頂きたいと思います。
『薬屋のひとりごと』|続編情報:2025年1月より二期放送開始
作品名 | 薬屋のひとりごと |
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スケジュール | 2023年10月21日(土)〜2024年3月23日(土) 日本テレビ系にて |
あらすじ | 大陸の中央に位置するとある大国。その国の帝の妃たちが住む後宮に一人の娘がいた。 名前は、猫猫(マオマオ)。 花街で薬師をやっていたが、現在は後宮で下働き中である。 ある日、帝の御子たちが皆短命であることを知る。 今現在いる二人の御子もともに病で次第に弱っている話を聞いた猫猫は、興味本位でその原因を調べ始める。呪いなどあるわけないと言わんばかりに。 美形の宦官・壬氏(ジンシ)は、猫猫を帝の寵妃の毒見役にする。 人間には興味がないが、毒と薬の執着は異常、そんな花街育ちの薬師が巻き込まれる噂や事件。 きれいな薔薇にはとげがある、女の園は毒だらけ、噂と陰謀事欠かず。 壬氏からどんどん面倒事を押し付けられながらも、仕事をこなしていく猫猫。 稀代の毒好き娘が今日も後宮内を駆け回る。 |
話数 | 全24話 |
キャスト | 猫猫(マオマオ):悠木碧 壬氏:大塚剛央 高順:小西克幸 玉葉妃:種﨑敦美 梨花妃:石川由依 里樹妃:木野日菜 阿多妃:甲斐田裕子 梅梅:潘めぐみ 白鈴:小清水亜美 女華:七海ひろき やり手婆:斉藤貴美子 羅門:家中宏 李白:赤羽根健治 小蘭:久野美咲 やぶ医者:かぬか光明 馬閃:橘龍丸 風明:日髙のり子 羅漢:桐本拓哉 翠苓:名塚佳織 陸孫:内山昂輝 鳳仙:桑島法子 皇太后:能登麻美子 子昌:チョー ナレーション:島本須美 |
スタッフ | 原作:日向夏(ヒーロー文庫/イマジカインフォス刊) キャラクター原案:しのとうこ 監督・シリーズ構成:長沼範裕 副監督:筆坂明規 キャラクターデザイン:中谷友紀子 色彩設計:相田美里 美術監督:髙尾克己 CGIディレクター:永井有 撮影監督:石黒瑠美 編集:今井大介 音響監督:はたしょう二 音楽:神前暁 Kevin Penkin 桶狭間ありさ アニメーション制作:TOHO animation STUDIO×OLM 製作:「薬屋のひとりごと」製作委員会 |
主題歌 | OP1:「花になって」緑黄色社会 OP2:「アンビバレント」Uru ED1:「アイコトバ」アイナ・ジ・エンド ED2:「愛は薬」wacci |
電子書籍 |
『薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~』電子書籍(コミック) 『薬屋のひとりごと』電子書籍(コミック) |
(C)日向夏・主婦の友インフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会
二期放送目前!一気見するなら今!
こちらは2025年1月から二期の放送が開始する『薬屋のひとりごと』。直前に迫った続編の放送に向けてぜひ年末年始に一気見していただきたい作品です。
本作のすごいところは、ミステリーと恋愛という対極にあるような要素をどちらも備えているところ。舞台となるのは架空の中華風帝国の後宮。そこで働くこととなった薬師の娘・猫猫が、薬と毒の知識、そして鋭い観察眼と推理力で後宮内の怪事件や謎を解き明かしていく様はとても痛快。彼女がその能力を買われて出世していくのも見ていてワクワクします。
その一方で、皇帝の妃候補が集められた後宮特有の色恋模様も本作の特徴であり、そんな女性達の心情も丁寧に描写されています。例えば、猫猫が仕えることになる上級妃・玉葉妃は、天皇から最も寵愛を受ける人物です。つまり後宮内で一番皇后(正妻)に近いポジションにいるのですが、それでも皇帝は彼女の元だけに通っているわけではなく、他の妃と一夜を過ごすことも少なくありません。その事実に切ない想いを抱える玉葉妃の姿が美しく描かれています。
また、女官達から抜群の人気を誇る美しく謎多き宦官・壬氏と、彼に苦手意識を持つ猫猫の恋模様も、本作の楽しみのひとつ。花街で育った猫猫は年齢以上に達観しており、特に男性に対しては冷めた目で見ているため、壬氏が自分へ向ける好意に全く気づかないどころか嫌がる始末。そんな2人がどのように近づいていくのか、実際に観て楽しんでいただきたいと思います。
『逃げ上手の若君』|続編情報:二期制作決定
作品名 | 逃げ上手の若君 |
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スケジュール | 2024年7月6日(土)〜2024年9月28日(土) TOKYO MX・ BS11ほか |
あらすじ | 時は西暦1333年、武士による日本統治の礎を築いた鎌倉幕府は、信頼していた幕臣・足利高氏の謀反によって滅亡する。 全てを失い、絶望の淵へと叩き落とされた幕府の正統後継者・北条時行は、神を名乗る神官・諏訪頼重の手引きで燃え落ちる鎌倉を脱出するのだった…。 逃げ落ちてたどり着いた諏訪の地で、信頼できる仲間と出会い、鎌倉奪還の力を蓄えていく時行。時代が移ろう大きなうねりを、「戦って」「死ぬ」武士の生き様とは反対に「逃げて」「生きる」ことで乗り越えていく。 英雄ひしめく乱世で繰り広げられる、時行の天下を取り戻す鬼ごっこの行方は―――。 |
話数 | 全12話 |
キャスト | 北条時行:結川あさき 雫:矢野妃菜喜 弧次郎:日野まり 亜也子:鈴代紗弓 風間玄蕃:悠木碧 吹雪:戸谷菊之介 諏訪頼重:中村悠一 足利高氏:小西克幸 小笠原貞宗:青山穣 諏訪盛高:石黒史剛 市河助房:山本高広 瘴奸:東地宏樹 |
スタッフ | 原作:松井優征(集英社「週刊少年ジャンプ」連載) 監督:山﨑雄太 シリーズ構成:冨田頼子 キャラクターデザイン:西谷泰史 副監督:川上雄介 プロップデザイン:よごいぬ サブキャラクターデザイン:高橋沙妃 色彩設計:中島和子 美術監督:小島あゆみ 美術設定:taracod takao 建築考証:鴎利一 タイポグラフィ:濱祐斗 特殊効果:入佐芽詠美 撮影監督:佐久間悠也 CGディレクター:有沢包三 宮地克明 編集:平木大輔 音響監督:藤田亜紀子 音楽:GEMBI 立山秋航 音響効果:三井友和 制作:CloverWorks |
主題歌 | OP:「プランA」DISH// ED:「鎌倉STYLE」ぼっちぼろまる |
(C)松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
日本史を勉強したくなる!
本作は滅亡した鎌倉幕府の生き残りである北条時行が主人公。武士の子であるにも関わらず武芸が苦手な彼が秀でているのは“逃げ”の才能。その才能を見抜いた神官・諏訪頼重の元に身を潜ませた時行は、一族を滅亡させた敵・足利尊氏から再び故郷・鎌倉を奪還するためにその牙を密かに研ぎ始めます。
史実を元に描かれている本作。日本史の中では足利尊氏はカリスマ的な英雄として紹介されることが多いのですが、彼に謀反を起こされ一族郎党自害に追い込まれた北条家にとっては紛れもない悪魔であり悪者。本作を見て尊氏の印象が大きく変わったという人も多いようです。
当然キャラクターたちは実在した人物がモデルとなっているのですが、みんな個性的でユーモアたっぷり。例えば、中村悠一さんが声を務める諏訪頼重はおぼろげながら未来が見える能力を持っています。時行を導くとても有能な人物なのですが、普段はその茶目っ気溢れる人柄と妙に高いテンションで残念なイケメンに見えてしまうこともしばしば。しかし、そんな一面に彼の人間味が感じられるのです。
私は高校で世界史選択だったので日本史には全然詳しくないのですが、本作を見ていると「日本史を勉強していたらもっと作品が楽しめるんだろうな」と強く感じていますし、まさに今日本史を勉強している中高生は、本作に触れることで授業や勉強がとても面白くなることでしょう。大人にも学生の皆さんにも楽しんでいただきたい作品です。