劇場版には一年生の活躍シーンが盛り込まれている――『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』 原作小説&脚本・阪口和久 先生インタビュー|久々の『忍たま』復帰でできたのが「厳禁シリーズ」だった
『忍たま』に復帰してできたのが「厳禁シリーズ」
──先ほど初期の頃の魅力を伺いましたが、作品の全体的な魅力はどんなところだと感じられていますか?
阪口:私は理屈で物事を考えてしまうので作品の魅力は、まず「考証がしっかりしている」ことだと思います。尼子さんの作品はその理屈がきちんとした土台になっているんです。あとは私も関西人なので笑いのツボは似たようなところにあるのかもしれない。クソ真面目な関西人……。
尼子さんの作品の初期は少し殺伐とした雰囲気があって、それがまた良いんですよね。あの殺伐感は、まさに室町にあっているのかな。勉強していくとだんだん分かってくるんです。今の私らが日常で生きているのは戦がない世界ですけれども、『忍たま』は「戦が隣にある世界」ですから。
尼子さんがどれだけ意識されていたかは分かりませんが、知恵の塊から生まれるギャグだから面白いのかもしれません。理屈を超えた面白さがあります。
──尼子さんにインタビューさせていただいた際、「キャラクターたちも初期と比べて成長していく」とおっしゃっていました。
阪口:キャラクターが成長するのは、長く続いていく漫画の魅力ですよね。
──阪口さんの『忍たま乱太郎』という作品全体で思い出深いエピソードを教えてください。
阪口:『忍たま乱太郎』第2期から携わっていて何シリーズか続けてから数年は書いていませんでした。しばらく『忍たま乱太郎』の仕事から離れていたんです。
そこから復帰してできたのが立花仙蔵としんべヱ、山村喜三太の「厳禁」シリーズでした。ちょっとお休みいただいてできたのが「厳禁」シリーズと六年生の「アルバイト」「同室」シリーズで、それを尼子さんにも気に入っていただいて、小説を書かせていただく許可をもらえたことは本当に光栄なことでした。
──ちなみに、本作の制作裏話などもありますか……?
阪口:2022年あたりから脚本の制作が始まり、結構シナリオの執筆の時間をいただきました。制作時はコロナ禍真っ只中で、マスク越しの打ち合わせで顔も知らないまま進めることも多かったです。普段なら打ち合わせの後に飲みに行くのですが、一度もありませんでした(笑)。これが裏話的なものかな……(笑)。
──映画公開後にはもしかしたら打ち上げがあるかもしれませんね……!
阪口:はい(笑)。お願いします(笑)。
一同:(笑)。
──それでは最後に、「ここはぜひ注目してほしい」と思う場面を教えてください。
阪口:前半の授業のシーンで、あまりにも一年は組がダメで諸泉尊奈門が「今までお前らの先生は何を教えていたのやら!」と問うた時に、その発言に対して怒る一年生が好きなところです。
まあ同時に「普段もっとしっかりしろよ……」とは思うのですが……だけど一所懸命に「先生が悪いわけじゃない」と思って。手裏剣が後ろに飛ぶなら後ろ向きに投げてみるみたいな、大真面目なのに笑える……ああいう部分が好きです(笑)。
[取材・文/笹本千尋]
作品概要
あらすじ
タソガレドキ忍者・諸泉尊奈門との決闘に向かった後、消息を絶ってしまった土井先生―
山田先生と六年生による土井先生の捜索が始まる中、担任不在の一年は組では、タソガレドキ忍軍の忍び組頭・雑渡昆奈門と、尊奈門が教壇に立つことに!
そんな中、きり丸は偶然、土井先生が置かれた状況を知ってしまうのだった。
一方、土井先生捜索中の六年生の前に突如現れたのは、ドクタケ忍者隊の冷徹な軍師・天鬼。
その顔は、土井先生と瓜二つで―
忍たま達に立ちはだかる最強の敵を前に、今、強き「絆」が試される。
果たして乱太郎、きり丸、しんべヱたちは、土井先生を取り戻すことができるのか―??
キャスト
(C)尼子騒兵衛/劇場版忍たま乱太郎製作委員会