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- 笹本千尋
- 1998年生まれのフリーライター。アニメ文化とアンティーク雑貨と絵を見ることが好きです。
2013年に刊行された『小説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師』(原作・イラスト:尼子騒兵衛先生/小説:阪口和久先生/朝日新聞出版刊)の劇場アニメ『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』が2024年12月20日(金)より全国公開中です。
今回は大人になるにつれ『忍たま乱太郎』というコンテンツに触れなくなった方やなんとなく今作が気になる方へ。劇場へ足を運ばれる足がかりになれば良いなと思い、見どころを紹介していきます。
※本稿には若干のネタバレが含まれております。
今作では行方不明になってしまった土井先生を心配して、きり丸がナイーブな気持ちになってしまう描写があります。
そんなきり丸の異変にいち早く気付いた乱太郎としんべヱ。乱太郎としんべヱは、きり丸の異変について一年は組のみんなに相談するのですが、は組のみんなも一丸となってきり丸の状況を心配します。
そして、きり丸がたまらず、今抱えている悲しかったり苦しい気持ちをは組のみんなに吐露するシーンでは、「みんながきり丸の味方」というのがよく伝わってきました。
大人になった今みると、は組の無償の愛や優しさが身に沁みて涙が出ます。『忍たま』って、人ってこんなに温かいんですね。
最高学年の潮江文次郎、立花仙蔵、中在家長次、七松小平太、善法寺伊作、食満留三郎の6名は、ストーリー序盤で行方不明になってしまった土井先生を探索する役割を担っています。
そして、ようやく土井先生を見つけるのですが、土井先生の記憶はなく……。“天鬼(てんき)”としてドクタケ忍者の軍師を務めていることを知りました。
さらに、天鬼は六年生が忍術学園の者であることを知った途端に敵意を剥き出しにし、六年生に襲い掛かるというあまりにもショッキングな展開が待ち受けています。
この天鬼VS六年生によるアクションシーンは、武器を使った激しい争いや流血(実際にキャラの胸元に武器が刺さる描写があり、観ている側も痛さを感じてしまうくらいである)が描かれており、「これまでの『忍たま乱太郎』のイメージが覆った」と感じられる方も多いのではないでしょうか。
激しい描写ではありますが、忍者として忍務を遂行する六年生、“最強の軍師”というタイトル通り無敵な天鬼(土井先生)の身のこなしはワクワクさせられること間違いありません。
アニメイトタイムズで掲載中の天鬼/土井半助役の関俊彦さんのインタビューでは、『今回のアクションシーンはすごいと、「アクションシーンを見ながらご飯10杯は食べられます」と尼子先生がおっしゃってスタジオを笑わせてくださいました(笑)。』とのエピソードが披露されていたりもして、ご覧になられる方にはぜひ注目していただきたい……!
あと、土井先生の行方を巡り、文次郎と留三郎が喧嘩をするのですが、六年生の“なんとかしてでも土井先生を見つけたい”と想う気持ちが溢れているシーンだなと。喧嘩をしているのだけれど、愛を感じました。
ストーリーの本線でもある、土井半助ときり丸の絆。「なぜ、土井先生にはきり丸が必要なのか? なぜ、きり丸には土井先生が必要なのか?」という部分が最後まで観ていると分かるかと思います。
似た者同士という言葉で片付けてはいけない気がしました。この2人のこれまで歩んできた人生について深く考える時間だったように感じています。
シリアスな要素が強いからこそ、人の温もりがいつもよりも何度か高く感じるような。『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』は心が温かくなる作品です。
お仕事でちょっと疲れちゃったなと感じたり、子供だった頃よりも色々と考えてしまうこともありますよね。だけど、本作は「勇気100%」という希望溢れる曲で物語の幕が下ろされます。観終わった後は、とても心地の良い気分になれるはずです。
私は大人になった今、この作品を観て良かったと思います。みなさんもぜひ一度と言わずに何度でもご覧ください。
[文/笹本千尋]