これからもRASの音楽を聴いてブチ上がっていただければと思います!――12th Single「Bad Kids All Bet」ロングインタビュー|パレオ役・倉知玲鳳さん×チュチュ役・紡木吏佐さんが示す「ブレない」RAISE A SUILENの軸
紡木さんは『EXPOSE ‘Burn out!!!’』を録り直したい!?
――『Bad Kids All Bet』では、Raychellさんと掛け合うような形で紡木さんのラップパートが展開されますね。
紡木:RASとして披露するラップは、チュチュのセリフだと思っているんです。チュチュとしてこの曲を歌ったら、を考えつつ、レコーディングで実際に試してみる流れが多いですね。
あとは……(同席のPに向けて)この曲のレコーディングって、どんなことがありましたっけ……?(笑)
P:サクッと録り終わった記憶が強いですね。
紡木:〈可愛げない子でI'm Sorry!〉のところなど、歌唱が難しかった思い出もあるのですが、サクッと終わったかも。
P:“いつものチュチュ”が全面に出るような、王道なラップだと思うので、やりにくさはなかったのではないかなと。
紡木:そうですね。おっしゃるとおり、“いつものチュチュ”で歌うことができたのでやりやすかったです。
楽曲によっては、チュチュではあるもののもっとカッコよさを意識してみようとか、もっとはっちゃけてみようなどと構成を考えるのですが、この『Bad Kids All Bet』は自分が想像したものと、Pや制作陣が想像していたものが合致して、答えが出やすかったのだと思います。
――紡木さんのラップには、『EXPOSE ‘Burn out!!!’』などから積み上げてきた経験と歴史がありますものね。
紡木:『EXPOSE ‘Burn out!!!’』……録り直したいんですよ!(笑)
倉知:え!? そうなの?
紡木:もう……初々しすぎて恥ずかしくって……(笑)。自分で聴くときは、恥ずかしくなっちゃって飛ばしちゃうんですよ。
当時はラップはおろか、レコーディングも初めてで……。レコーディングブースの空気感や、ディレクションを受けるということに対しても経験がなく、少しずつ様々なことを学んでいく中での『EXPOSE ‘Burn out!!!’』でした。
ただ、当時を「恥ずかしい」と思えるということは、きっと今が最善(前)であり成長できていることだと思っています。なので、何年後かに『Bad Kids All Bet』を聴いたとき、「恥ずかしい!」と思える自分になれるようにこれからも努力します!
――過去の自分をそのように顧みることができるのは、レベルアップの証でもありますよね。
紡木:これもライブを重ねるからこそだと思っています。レコーディングとライブではテンション感も変わるし、歌い方も全然違う。それによって引き出しが増えることも多いので、改めてライブをさせていただけることがありがたいなと。
――活動初期と比べて、ご自身のラップが変わったと思うポイントはありますか?
紡木:今もそうなのですが、文字を追うのに必死なんですよね。ラップは一度噛んでしまうと終わってしまうものなので……噛んでしまったら「Oh my god!」って誤魔化しちゃうのですが……。変わったことって、あるのかなぁ……?
――ちなみに、プロデューサーの視点から見て、紡木さんのラップはいかがですか?
P:初期と比べて、“チュチュのラップ”というものに、よりすんなりと入っている印象があります。元々滑舌は良いですし、難しそうなラップでもレコーディングの日までには紡木さんなりのチュチュが仕上がってくる。早口の部分でもスラスラと“チュチュのラップ”が出てくるので、チュチュを自分の中に落とし込んでいるのではないかなと。
倉知:(拍手)
紡木:よかったぁ……ありがとうございます! 月日を経たことによって、チュチュがより近い存在になったのかもしれませんね。(チュチュとの)付き合いも長くなったなぁ……親の顔より見ているかもしれません(笑)。自分の中でも、唯一無二のキャラクターだと思います。
倉知:私から見ていると、つむちゃんは“チュチュのラップ”を確立しているなと。他の人が真似しようと思っても実現不可能な個性を、チュチュとつむちゃんは持っていると思いますし、RASにとってかけがえのないものですね。
ライブ中においても、その一挙手一投足で会場を盛り上げる力や、楽曲ごとのテンションに合ったラップも良くて……常々「すごい!」と思いながら、一緒に演奏しています。チュチュが持つ魅力と、つむちゃん自身が持つ気遣いの心が合わさっているからこそ、あのステージが実現しているのではないかなと!
紡木:……恥ずかしくなってきました。
倉知:(微笑んで)
紡木:でもたしかに、パフォーマンスの面では固定概念から外れてきているかもしれません。DJ台の上に仁王立ちしてパフォーマンスを始めたり、DJ台を放置してメンバーのところに遊びに行ったり……。会場を盛り上げるための演出は増えていると思います。
……次は玲鳳ちゃんを褒めたいです! 私ばっかり褒められていたから、本当に恥ずかしくなってきちゃった!(笑)
――(笑)。それでは、紡木さんから見た、倉知さんのパフォーマンスの印象・魅力などをお聞かせください!
紡木:手元で弾いているリズムと踏んでいるステップのリズムが違うことがあるんです。玲鳳ちゃんは「弾きながら踊る」が当たり前になってきているけれど、当たり前のことじゃないんですよね。スクラッチをしながらリズム良く頭を振るのも難しいのに……「どうなってるの?」って、毎度思っています。
それをライブで披露するためには、絶対的な努力がないと不可能だと思うんです。どの楽曲に対しても、玲鳳ちゃんなりの解釈で“パレオらしいステップ”を作ってきてくれるから……私は彼女を天才だと思っています。
倉知:ありがとうございます、嬉しい……! こうして見てくれる人がいるから、頑張れるよ……!
――ライブの映像などを見ていても、「弾きながら踊る」のメカニズムがどうなっているのだろう……と、ずっと思っていました。
倉知:たくさん練習、コレ一択です! 何も考えずに鍵盤を弾けるように練習をすると、身体が自由に使えるようになります。たくさん練習をしながら、Pからの指令をこなしています(笑)。
――Pからの指令は、ハードル高めなこともあったり……?
倉知:高めなこともありますね……! それこそ『Bad Kids All Bet』のツーステップとか。絶妙なテンポ感と規則的なフレーズ、キーボードスタンドを避けながらの足運び…腰が砕けるかと思いました(笑)。今となっては問題なくパフォーマンスができますが、練習を始めたばかりのタイミングはどうしても大変ですね。
紡木:身体が覚えるまではね。
倉知:うんうん。でも今はもう動きも馴染みましたね。逆にツーステップじゃないと落ち着かないくらい(笑)。
これまでのRASが集約される『WELCOME TO PANDEMONIUM』
――そして今回のSingleには、カップリング曲として『WELCOME TO PANDEMONIUM』も収録されます。『Bad Kids All Bet』とは違った雰囲気で、スウィングのリズムが取り入れられた楽曲ですね。
倉知:聴いた瞬間、「好き!」って思いました!
紡木:私も! キャッチーだし、リズムもジャジーで楽しい気分になる曲だよね。
倉知:スウィングのリズムでノリも良いですし、サウンドとしてもブラスが入っていたりして、今までにないRASの楽曲だなと。初めて聴いたときから、「早くライブでやりたい!」と思っていました。
それと、昔のことも思い出しました。ハロハピ(ハロー、ハッピーワールド!)さんのバックバンドをやらせていただいていたとき、スウィングのニュアンスを含んだ楽曲を演奏したことがあったんです。
RASの楽曲としてのスウィングは『WELCOME TO PANDEMONIUM』が初めてでしたが、当時の経験があったからこそ、やりやすさもあって。今までのRASとは違うジャンルではあるものの、抵抗なくすんなり入ってきましたね。
バックバンド然り、色々な経験が今回の楽曲に集約されているなと思えて、ジーンときました。
――バンドとしての歴史を知ると、さらに楽曲が奥深くなりますね。紡木さんはいかがですか?
紡木:RASにはまだ引き出しがあるのか、と。これまでも和風の楽曲など、様々な変化球があったのですが、また全然違ったものが出てきましたよね。
『WELCOME TO PANDEMONIUM』はハッピーで楽しいなと思います! ライブでも味変の役割を担ってくれるというか、転換に向いている楽曲なのではないかなと思っています。
倉知:お客さんと一緒に歌えそうなポイントもあるし、一気に場が華やぐ楽曲だよね。
紡木:うんうん。映え曲です!
――ライブでの新しい定番曲となるかもしれない『WELCOME TO PANDEMONIUM』ですが、Raychellさんのボーカルも楽しげに聞こえますよね。
倉知:……今、ふとRaychellさんのボーカルが「いつも完璧」であることが当たり前になっているな、と思いました。それもRaychellさんがずっと努力しているからこそで、RASの音楽に通わせてくださっているというか。私自身、Raychellさんのボーカルは「RASの血液」だと思っているんです。
――血液?
倉知:Raychellさんのボーカルが聴こえることで血液が巡ってきて、その速度や温度に引っ張られるように、私たちの演奏も変わっていく……。Raychellさんのボーカルがドシッと存在していることで、私たちも安心して演奏ができています。
――掛け合いでラップを披露することもある紡木さんは、Raychellさんのボーカルについて、どのような想いを持っていますか?
紡木:チェルさんの声の音色は、本当に多種多様なんですよね。最近の楽曲では特に、『STRAY CERBERUS』にビックリしました。これだけ長くバンドとして一緒にやっているのに、未だに新発見があって、驚かされることが多くて。
倉知:私、『Light a fire』の優しい歌声が好き!
紡木:あれぞ母だよ。〈Light a fire〉って聞こえてきたら「ママ……!」ってなるもん(笑)。
倉知:「私たち、包まれてる!」ってね(笑)。『Light a fire』は特に、ライブで聴くとすごいんですよ! 一気に空気が変わって……!
紡木:照明さんも、温かい太陽のような光を当てるんです。そんなことをされたら、否が応でも「RASの母」を感じると思いますよ。
倉知:照明が変わる瞬間、本当に好き! これだけは絶対にお話ししたかったので、よかったです……!
紡木:ZEPP TOURでも披露しましたが、あの瞬間に疲れがすべて消えましたね。人を癒せる歌声ってすごいなと。私もよく、夜に聴きます。
倉知:心が落ち着く歌声だよね。どんなに激しい楽曲でも、芯にあるのはその音色なんです。唯一無二だと思います。