思わず誰かに教えたくなる! アニメ『薬屋のひとりごと』で描かれた花と花言葉に注目して考察します
花街で薬師を営んでいた少女・猫猫(マオマオ)が、その知識と経験で宮廷内にはびこる謎や事件を鮮やかに解決していくストーリーが爽快で、大人気を博したアニメ『薬屋のひとりごと』。いよいよ2025年1月からは、第2期の放送が始まります。
本稿ではその第2期放送を前に、第1期のエピソードで印象的に描かれている花やその花言葉などを考察し、ご紹介していきます。
”知っていると誰かに教えたくなる”ちょっとした情報で、第2期の放送を待機しましょう。
アニメ第1期オープニング映像に潜む花
まずは、アニメ『薬屋のひとりごと』第1期のオープニング映像をご紹介します。
『花になって』という曲名通り、オープニング映像には複数の花が登場しています。これらは本作の各エピソードを象徴するものであったり、登場人物を表わしているようです。
それでは、主な登場人物と彼女たちを彩る花や花言葉をご紹介していきます。
猫猫
第1話の冒頭に登場する、愛らしい小さな黄色い花──それこそが、猫猫を象徴する花「方喰」。「カタバミ」と読み、ハート型が3枚集まったような形の葉があるのも印象的な花です。
第23話「鳳仙花と方喰」では、猫猫出生のいきさつなども描かれていることから、「方喰」が猫猫を象徴する花であることは確実のようです。「ねこあし」という別名を持つのも、猫猫っぽいですね。
そんな「方喰」ですが、猫猫に関して言えば、花言葉の意味というよりはその生態の方に共通点や象徴性があるように感じられます。
「方喰」には「喜び」「輝く心」など晴れやかな意味を持つ花言葉がありますが、その生態はどんなところでも咲くことの出来る雑草。深く根付き、繁殖力が高いことからも、生命力の強い植物として知られています。
本作冒頭で、人さらいに遭って後宮に連れてこられた猫猫ですが、しなやかに生き抜くその姿勢や、ひっそりとながらも人目を惹く可憐さなど、とても猫猫にお似合いの花のようにも思われます。
鳳仙花と同様、触れるとはじけて種を飛ばす性質を持つところには、「親と子」を象徴しているようにも感じられますね。
後宮の四夫人
次に、後宮で「正一本(皇后候補)」と呼ばれる上級妃4名の、それぞれに象徴される花を考察していきましょう。
梨花妃(賢妃)
現在の皇帝との間にもうけた男児を「毒おしろい」が原因で亡くした上、自身も衰弱の一途を辿ってしまった梨花妃。
第4話では皇帝の勅命を受けた猫猫の手厚い看護により回復し、健康と美しさを取り戻した梨花妃の部屋には「桔梗」が飾られていました。
そんな桔梗の花言葉は「永遠の愛」「気品」「誠実」「清楚」「従順」です。さらに、青や紫の桔梗には特に「気品」という花言葉があります。
男児に呪いをかけたとして玉葉妃にけんか腰だった梨花妃に対して、当初の猫猫は「高慢なお嬢様」を想像していたようですが、実際は妃という品格に見合った気高さや誠実さを持ち合わせた人物として評価をしています。
また、一途に皇帝を慕っている様子も見て取れるなど、「従順」さもある梨花妃。凜とした華やかさ、美しさからも桔梗がぴったりな女性に思われます。
玉葉妃(貴妃)
現在の皇帝から最も寵愛を受けているとされる玉葉妃は、翡翠の瞳と淡い髪を持ち、この国で一番赤が似合うと呼び声の高い、後宮の四夫人の1人です。
その華やかな美しさを持つ玉葉妃を象徴する花は「牡丹」。
第4話で梨花妃が、他人の忠告を受け入れずに男児を失った自身の愚かさと、かたや忠告を受け入れて姫を守った玉葉妃とを比較した場面で、猫猫は次のように語っています。
「牡丹と桔梗のどちらが美しいかは決めつけるものではないと思います」
梨花妃を象徴する花が「桔梗」であるならば、「牡丹」が象徴するのはまさに玉葉妃なのでしょう。
牡丹の花言葉には「風格」「恥じらい」「富貴」などがあります。皇帝の寵愛を最も受けているところや、当時下女であった見知らぬ猫猫の忠告を受け入れる懐の深さなどからも、桁違いの「風格」を感じさせられますね。
阿多妃(淑妃)
現在の皇帝がまだ東宮だった時代に、初めての男児となる子をもうけた阿多妃。四夫人の中では最年長の妃でもあります。
背も高く凜々しさすらある阿多妃ですが、象徴する花は「カトレア」と思われます。
その理由として第11話では、後宮を去りゆく阿多妃を囲むように艶やかなカトレアが描かれているからです。
カトレアの花言葉は「優美な貴婦人」「成熟した大人の魅力」「魔力」「魅惑的」。
皇帝とは乳兄弟でもあり、皇帝と同じ目線を持って話が出来る相談役でもあった阿多妃のそうした振る舞いや、まだ幼い里樹妃を見つめる、母のような温かいまなざしは、「成熟した大人の女性」だからこそですね。
里樹妃(徳妃)
幼い女性を好んでいた先代の皇帝の妃として、9歳で入内した里樹妃は、先代が崩御したのちに出家を経て、現在の皇帝の妃として再び入内しています。
そうした経緯があることから、里樹妃は仕える侍女たちからさげすまれるような態度を取られてしまっています。
そんな里樹妃を象徴する花は、最初にご紹介したオープニング映像から考察するに「スズラン」であると思われます。
オープニング映像では、「カトレア」「スズラン」「桔梗」「牡丹」という順番で登場しています。
本項では、これまでの四夫人のうち3人を象徴する花はそれぞれ、「カトレア(阿多妃)」「桔梗(梨花妃)」「牡丹(玉葉妃)」であると考察しています。
そうしたことからも、残りの「スズラン」が里樹妃を象徴する花になると思われます。
「スズラン」の花言葉は「再び幸せが訪れる」「純粋」「純潔」「謙遜」。
阿多妃は先帝の「お手付き」とならぬよう里樹妃をかばっていた様子もあり、また現在の皇帝は成熟した女性を好んでいることから、まだ14歳と幼い里樹妃の元には通っていないため、「純潔」という花言葉はまさに里樹妃そのもののよう。
また、皇帝は里樹妃を妃扱いというよりはむしろ娘のように目をかけている様子も見て取れることから、「再び幸せが訪れる」という花言葉もぴったりに思われますね。