『銀河鉄道の夜』の朗読シーンでは“会話”を意識。冬賀や杏たち放送部員が登場した第2話を振り返る|『花は咲く、修羅の如く』春山花奈役・藤寺美徳さんインタビュー【連載第2回】
“会話”を意識した『銀河鉄道の夜』の朗読。杏の美しい読みに感動
──先ほど少しお話にありましたが、第2話では、冬賀に聞かせた『やまなし』(宮沢賢治)の朗読シーンがありました。
藤寺:花奈ちゃんは島で子供たちに読み聞かせをずっとしてきたので、そこを意識して読むようにしました。それが花奈ちゃんのクセというか、節回しに表れる部分だと思ったので。
さらに難しかったのが後半の、『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治)を杏ちゃんと朗読するシーンでした。「うん。僕だってそうだ」と言ったあとに、杏ちゃんがハッとした表情をするのですが、そこをどう表現するのか、かなり考えました。「朗読をする」というより、「主観で演じている」雰囲気に近いと思ったので、「読みとしての正しさ」とは別のものを重要視した演じ方になると思いました。
最初は、けっこう声を張ってみたのですが、そのセリフのあとに汽車の中をイメージした映像になることから、「相手が席に座っていることを意識して、そこに声を掛けるように言ってほしい」というディレクションがあったので、「会話」を意識して演じるようにしました。
──後ろで見ていて印象的だったシーンはありますか?
藤寺:杏ちゃんの他者紹介が印象的でした。杏ちゃんは中学時代に放送部で全国に行っているというキャラクターなので、演じる和泉さんの読み方もすごくきれいで、勉強になりました。本当に美しい、きれいな発声と音の流れで、「一音一音が明瞭だ。基礎がしっかりしてるな!」という瑞希先輩の言葉を聞いて、「まさに!」と思いました。
──その他にはありますか?
藤寺:第2話以外で言えば、第1話冒頭の西園寺修羅(CV:日笠陽子)の朗読に鳥肌が立ちました。聞いている人を自分の世界に持っていくような、相手に聞かせる朗読だけれど、寄り添うわけではない、でも周りは見入ってしまう……そんな朗読をまだ幼い少女がするというのが、すごく難しそうだなと思いました。それを日笠さんが監督のディレクション通りに、細かいニュアンスを都度入れながら表現されていて、圧倒されました。「花奈ちゃんはこれを見て憧れたんだ」と思いましたし、私自身も日笠さんにすごく憧れました。
──どのキャストさんも、キャラクターに寄り添った素晴らしい朗読をされますよね。
藤寺:箱山瀬太郎役の坂泰斗さんのお芝居を聞いたときも、「すごい!」となりました。原作で「船のエンジン音みたいな声」と花奈ちゃんが表現していたように、ズシッと響く音をされていたし、途中の「許されな〜い!!」も迫力が凄かったです(笑)。
──個人的には、杏が秋山松雪(CV:山下誠一郎)に対して、ぼそっと「好き」と言うところも良かったです。
藤寺:そこまでずっと強気な印象だったので、「杏ちゃん、そんなかわいい要素も入るんだ!」と思いました(笑)。
──映像面で、印象的だったシーンはありますか?
藤寺:放送部の部章(襟章)と、「すもにゃん(すももが丘高校放送部のマスコットキャラクター)」がかわいかったので、グッズ化してほしいなと思いました。
──では最後に、今後の見どころを教えてください。
藤寺:花奈ちゃんが抱えている悩みはすごくリアルで等身大なものなので、共感してくださる方もいらっしゃるのかなと思います。第3話からは、顧問の吉祥寺博美先生(CV:遊佐浩二)も本格的に登場するので、みんなにどんな影響を与えてくれるのか、私自身もドキドキしています。花奈ちゃんが放送部を通して少しずつ成長していく姿を、楽しみにしていただけたら嬉しいです。
作品概要
あらすじ
「お前の本当の願いを言え、アタシが叶えてやる」
「私、放送部に入りたいです」
入部を決意した花奈は、たくさんの〝初めて〟を放送部のメンバーと共にし、大好きな朗読を深めていく…。
キャスト
(C)武田綾乃・むっしゅ/集英社・すももが丘高校放送部