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- 逆井マリ
- 神奈川県横浜市出身。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。
──そうした中で、みらいとリコとも久しぶりに再会します。
堀江:思ったよりも会っていないんだなというのが一番意外でした。『魔法つかいプリキュア!』の第49話では「私たちはまた絶対会える!」と魔法をかける瞬間があって。今後も「また繋がっていけるよね」と感じさせましたが、現実ではお互いに忙しく、たまにしか会えない状況が描かれていて。それはそうだよね、リコも魔法学校の先生として頑張っているしねって。そこはちょっと切ないところでしたね。
高橋:そうですね。年齢によって状況は変化していくよなあと。二人とも、「会いたい」ってわがままを言わないタイプだったもんなあって振り返ってしまいます。お別れが近づくことになるけど、リコの補習が早くクリアできるように頑張ってしまうこともあったし。リコは夢に向かってまっすぐ突き進むからこそ、それを応援しないなんて選択はなくて、でも寂しくてっていう。そのちょっぴりモヤモヤした気持ちって、大人になってもあり得るよなあって。
──「便りの無いのは良い便り」なんて言いますけど、やっぱり会いたいですよね。
高橋:会いたい。モフルンも会いたがってました。
齋藤:「こんなときリコがいたら……」って。
──きっと実際に会えたときの感情は特別なものだったんだろうなあと思います。堀江さんは演じていて、どのようなことを感じられていましたか。
堀江:第1話全体が、前作の第1話をオマージュしている部分が多くて、それだけでテンションが上がっていたんです。作品のふたり的にも、もちろん嬉しさはあるとは思うのですが……自分的には、もう「あああっ……! やっと会えたねえ!」って(笑)。
堀江:たまにリコを自分が追い越すときがあるんですよ。感情的に。詳細はお伝えできませんが、第2話以降に、みらいの家を訪れるシーンがあるのですが、その中で、みらいや、みらいの家族の人柄や思いが感じられる、印象的な出来事があって。私的にはその事実を知ったときに「ああああ……!!!!」と気持ちが昂ってしまったのですが、リコは「あ、ありがとう」みたいな感じで、少しクールなんですよ(笑)。
一同:(笑)
高橋:それ、思っていました!(笑) リコ、さらっとしていましたよね!
齋藤:でも絶対テンション高まってる!
早見:もしかすると、うまく感情を表に出せていなかっただけで、本当は由衣さんくらい高まってたのかもしれないですよ。由衣さんも「キセキラリンク」のレコーディングのときに……。
堀江:ああ、そうそう。
──エンディングテーマの「キセキラリンク」ですね(キュアミラクル(CV:高橋李依)・キュアマジカル(CV:堀江由衣)・キュアフェリーチェ(CV:早見沙織) )。なにがあったのでしょうか?
早見:由衣さんはレコーディングが3番目だったんです。レコーディングの前に「2人の声を聞いてめちゃくちゃ泣きそうになったけど」とお聞きしまして……。
堀江:そう、本当に泣きそうになっていたんです。エンディングテーマも昔の雰囲気があるし、もうふたりの声がそこに入っていて、感極まってしまって。レコーディング中もずっと泣きそうだったんですよ。だけど、その場ではクールに振る舞ってしまったんです(笑)。レコーディングで泣き出したら、ちょっと微妙な雰囲気にもなってしまうかもしれないなって。だからものすっごい堪えて……「あ、はい、そこそうですね、はい」って、淡々と、冷静なふりをして。
一同:(笑)
早見:まさにリコ!
齋藤:リコ先生だあ。
堀江:まさにああいう感覚だったのかな? リコはもうちょっと喜んでもいいじゃん!とは思いますけども(笑)。でもきっと、あのふたりの反応を見るとまったく会えなかったわけじゃないんでしょうね。でも大人になるとままならないよね、という絶妙な雰囲気もあって。
高橋:「リコ!」「みらい!」とお互いに呼び合って変身シーンに入っていくんですけども、その呼ぶときの声は「会えて嬉しい、頼もしい!」という気持ちがギュッと詰まっていたと思うんです。お互いの状況もあって、なかなか会えなかった。でもそれぞれに成長した今だからこその、この第1話でしか見ることのできない、大切な名前呼びになっているんじゃないかなって思います。肩の力が抜ける感じというか、いつもの居場所に戻ってきたような安心感があるというか。その日常感が素敵だなって思いました。
──そして新キャラクターのアイルが登場します。とにかくミステリアスな雰囲気ですが……。
早見:気になるキャラクターですよね。アイルもすごく濃いエピソードのあるキャラクターです。現段階ではまだ「荷物の多い私服の敵」という印象ですが……。
──(笑)。犬も登場するため、上映会では「ショルダーバッグの中には犬の散歩道具が入っているんじゃないか」という話で盛り上がってましたね。
早見:そうですね。スコップが入っているのかなとか。
高橋:あのワンちゃんなんかスンとしているんですよね……『わんぷり』(『わんだふるぷりきゅあ!』)さんくらい可愛くてもいいんじゃないの!?って思っているんですけど(笑)。
堀江:みんなで「真顔だね〜」って話をしてたよね(笑)。
──皆さん自身も、あの段階ではアイルの正体は分からず……という感じだったということですよね?
高橋:そうですね。14時間と4分後、とか「時間指定をするキャラクターだなあ」くらいのヒントと(笑)。それと、普段着のわりにはちょっと強そうなオーラだなあって。
早見:「マザー・ラパーパにもなにかしてるのかな」とか。文庫本サイズがどうの、とか、本にまつわる言葉を話すんですよね。
高橋:おしゃれなんですよねえ、あのセリフが。
齋藤:そうそう、セリフも良かった。
堀江:豊永利行さんのお声が入ってからは、より只者じゃない感が漂っていて。「敵だろう、さては!」と(笑)。
早見:戦うときの背景もすごくキレイなんですよ。羅針盤のような……? ぜひそこにも注目してもらえたら嬉しいです。アイル本人は普段着ではあるものの、インナーカラーも入れていますし、ピアスもつけていますし、おしゃれなんですよね。
高橋:……時間をかけて、登場シーンに向けてしっかり準備しているタイプな気がする。
早見:あの前に、美容室に行っていたのかもしれないね(笑)。
──先日豊永さんにもお話をおうかがいしたんです。まるで同窓会のような雰囲気で、皆さんの絆を感じるようなアフレコだったとおっしゃっていました。豊永さんとのアフレコはいかがでしたか?
高橋:もう安心ですね。『MIRAI DAYS』から入ってくださるキャストさんではあったんですけど、豊永さんはいろいろな現場でお会いするたびに、穏やかで話しやすい素敵な方だなと思っていたので、今回『魔法つかいプリキュア!』のチームに加わってくださったことが本当に嬉しかったです。『まほプリ』チームのキャストさん選び、見る目ある〜! センス感じる! って(笑)。
──浜名監督も『MIRAI DAYS』からの参加となります。シリーズ構成の村山功さんも現場にいらっしゃっていたそうですが、アフレコ現場では制作陣とどのようなやりとりをされていたのでしょうか?
高橋:浜名監督も、菅原音響監督も、すごく穏やかに私たちの疑問や相談を聞いてくださっていて。音響チームと浜名監督でも、たくさん打ち合わせを重ねてくださっているんだろうなと感じていました。
アフレコ前にはみんなで確認する時間が設けられていて。台本を読んだときに、言い回しやキャラクターの目線について気になる部分があれば、「自分はこう感じるんですけど」と進言させてもらっていました。村山さんが、台詞をアフレコ中に書き換えてくださることもありました。
いただいた台本通りに演じるのはプロの仕事として当然のことですが、疑問点が残ったままだと「自分がちゃんと演じられるのか?」と不安に思うことがあって。疑問を持ったまま演じるというのは、作品やキャラクターに対して、逆に失礼になってしまうんじゃないかと。なので、疑問があれば監督や音響チームに相談して、しっかり解消するように心がけていました。
自分のやりたいことを押し通すのではなく、台本を深く読み込んで、その上で気になったことを「ご相談」という形で共有していました。ただ、意見を言うからには、台本をしっかり読み込まなければならないというか。なにかを見落とした上で我を通してしまうのは間違っていると思うので、それに見合った向き合い方をできるように、常に全力かつ柔軟でいたいなと思っていました。
──さきほど堀江さんからエンディングテーマ「キセキラリンク」のお話がありましたが、もう少しお話をおうかがいさせてください。上映会のときに早見さんが「もう遺伝子に刻まれているのでは……?」と思うほど自然に馴染んだっていうお話をされていましたね。
早見:「あれ? この歌知ってるかも」と思うくらい、違和感なくすぐ歌えるようになりました。ただ、私がレコーディングするのは3番手だと勝手に思い込んでいたんです。なので当日に「最初ですよ」と言われて動揺しました(笑)。
でも脳内再生ができるくらいに歌が染みついていたので、無事に乗り越えられました。作詞の六ツ見(純代)さんも現場にきてくださっていたんです。私は昔から六ツ見さんにお世話になっているので「今回の歌詞もありがとうございます! 最高です!」といったお話をさせていただきました。そこに愛しかなくて。作り手の皆さんはすべてわかっていらっしゃるんだなと。
──作曲・編曲は高木 洋さんですね。高木さんも『まほプリ』愛が強い印象です。
早見:そうですね(笑)。『まほプリ』の民(たみ)、みんな強火です。
──早見さんの次に収録されたのが高橋さん、ということですよね?
高橋:はい。私は2番目にレコーディングをさせてもらいましたが、やはりメロディーラインがDNAに刻まれているなと感じました。その中で、今回の歌い分けは特に印象的で、バトンパスが素晴らしかったです。特に、『映画魔法つかいプリキュア! 奇跡の変身!キュアモフルン!』の挿入歌「キラメク誓い」のような速度感で歌い分けが進んでいくサビがめちゃくちゃ印象的でした。
「魔法アラ・ドーモ!」は2人ずつ歌ったり、わちゃっとしたり、楽しい側面が強かったので、今回の『MIRAI DAYS』では、流れるような歌い分けがとても心地よくて。みんなの声を聞きながら、自分の歌声を入れて、次につなげていく。なんだか、すごく前を向いている曲だなって思っていました。
また、「キラメク誓い」の時のように、戦いの中の曲というわけではないので、温かさと煌めき感がより溢れてくる曲だと感じます。この曲には、これまでの曲にも感じてきた魅力が詰め込まれているようで、本当に「DNAに刻まれている」と言いたくなるような、心地よい風が吹いている感じがしました。
──齋藤さんは「キセキラリンク」を聴いて、どのようなご印象がありましたか?
齋藤:Bメロにコール&レスポンスゾーンがあって。もしイベントなどでこの曲を披露する機会があれば、あそこをやりたいなって思っています。
──今回は後夜祭もありますし、どこかのタイミングで聴けることを楽しみにしています。それでは最後に、番組を楽しみにされている方にお一言いただけたら嬉しです。
高橋:私は『まほプリ』の49話が特別好きで、何度も見返しているのですが、『MIRAI DAYS』を観た後は50話をもう一度見返したくなると思います。この新シリーズを通じて、これまでの物語がまたもうひとつ、新しい視点で楽しめるようになるんじゃないかなと。そういう意味では「あなたの魔法つかいプリキュア!が一皮むけます!」。
一同:いい!
早見:まるで冷凍みかんのように!
齋藤:うまい、すごい〜!
堀江:(拍手)素晴らしい! そうですね、私からは……今回の『MIRAI DAYS』は時間をテーマにしているので、過去のシーンだけでなく、当時カメラがまわってなかったシーン、キャラクターたちのその後も垣間見える部分があって、観ていて本当に夢のような感覚になります。
また、最終話の最後の最後まで、絶対に見逃さないでほしいです。詳細についてはもちろん言えないのですが、私自身、そのラストでとても救われましたし、前向きな気持ちになることができました。
早見:私は50話で、校長先生と水晶さんが会話するシーンがすごく好きなんです。未来はこれからどうなるかは分からない。でも確かなことはひとつあって「彼女たちの未来は光輝いておる!」と校長先生が言うんですよね。
私自身、その言葉を聞いた当時も「そうだよね」となりました。そして、あれから8年を経て「光り輝いておる」の未来が、この『MIRAI DAYS』で描かれるのではないかと感じていました。きっと「そうだよね、『まほプリ』だもんね!」と思わせてくれる最高の光がここにあるので、ぜひ見続けていただけたらと思います。
齋藤:作品だけでなく、毎週、エモエモキャストが登場します。それぞれのエピソードで新しい発見があると思うので、隅々まで楽しんでいただけたら嬉しいです。
──楽しみにしています。ありがとうございました!
[文・逆井マリ]
神奈川県横浜市出身。既婚、一児の母。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。パンクからアニソン、2.5次元舞台、ゲーム、グルメ、教育まで、ジャンル問わず、自分の“好き”を必死に追いかけ中。はじめてのめり込んだアニメは『楽しいムーミン一家』。インタビューでリアルな心情や生き方を聞くことが好き。
ABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネット「ANiMAZiNG!!!」にて毎週土曜深夜2時より放送中!
好奇心が旺盛で不思議なことが大好きな朝日奈みらいは、中学 2 年生になる春休み、魔法つかいの少女・リコと出会う。
奇跡と魔法に導かれて、リコと共に伝説の魔法つかい「プリキュア」に変身!
みらいが大切にしているクマのぬいぐるみのモフルンや、「リンクルスマホン」から生まれた妖精のはーちゃんとも手を取り合って、「魔法界」と「ナシマホウ界(人間界)」というふたつの世界に迫った混沌を退ける。
しかしそれはみんなの別離を伴うものだった。
数年後に奇跡的な再会を果たしたみらいたちは、それぞれの世界で、それぞれの未来へ向かって歩み始める。
みらいはナシマホウ界で大学生に。魔法界に戻ったリコは、魔法学校の先生に。モフルンは変わらずみらいの隣に。そして、はーちゃんは遠いところから世界を見守る存在に――。
だが、そんななか、魔法界とナシマホウ界に新たな災いが現れて......?
新たな災いの兆しをきっかけに、数か月ぶりの再会を果たしたみらいとリコ。
謎の敵を退ける一方で、ふたりは自分たちの過去、そして未来と向き合うことになるのだった――。
「キュアップ・ラパパ!」の魔法の言葉で、ワクワクもんの物語がいま再び動き出す!
原作:東堂いづみ
キャラクター原案:宮本絵美子
シリーズディレクター:浜名孝行
シリーズ構成:村山 功
キャラクターデザイン:袖山麻美
音楽:高木 洋
アニメーション制作:東映アニメーション・スタジオディーン
オープニング主題歌:「Dokkin◇魔法つかいプリキュア!!Part3~MIRAI DAYS~」
歌:北川理恵
作詞:森雪之丞
作曲:奥村愛子
編曲:高木 洋
エンディング主題歌:「キセキラリンク」
歌:キュアミラクル(CV:高橋李依)・キュアマジカル(CV:堀江由衣)・キュアフェリーチェ(CV:早見沙織)
歌詞:六ッ見純代
作曲・編曲:高木 洋
高橋李依 堀江由衣 早見沙織 齋藤彩夏
豊永利行 他