冬アニメ『全修。』スタッフ連載インタビュー第三回:キャラクター原案・世界観設定担当・辻野芳輝さん|使われなかったアイデアも多いですが、世界観作りにおいては無駄ではなかった
株式会社MAPPAのオリジナルTVアニメ『全修。』が、2025年1月5日よりテレ東系列ほかで放送中。本作の主人公は高校卒業後アニメーターとなり才能を開花させ、あっという間に監督デビューを果たした新進気鋭の天才監督・広瀬ナツ子。初恋をテーマにした劇場ラブコメ作品のコンテ作業中に意識を失った彼女が目を覚ましたとき、目の前に広がっていたのは、子供の頃に夢中になったアニメ映画『滅びゆく物語』の世界でした。
アニメイトタイムズでは、本作の魅力、そしてアニメ業界のお仕事に迫るインタビュー連載を展開! 第三回はキャラクター原案&世界観設定担当・辻野芳輝さんにお話を聞きました。キャラクター原案と世界観設定の仕事について「一言で言えば作品ビジュアルの叩き台です」と表現した辻野さん。「使われなかったアイデアも多いですが、世界観作りにおいては無駄ではなかった」と、ご自身が担当する仕事の意義について話してくださいました。
それぞれが納得いくまでアイデアを出し合って作っていきました
──最初に本作のシナリオ・原案を見たとき、聞いたときの印象を教えてください。
キャラクター原案&世界観設定担当・辻野芳輝さん(以下、辻野):僕が参加した頃にはまだストーリーが決まっておらず、“腐ったハマグリ弁当でアニメの世界に転生した天才アニメーターが不思議なタップの力でさまざまなスタイルのアニメ世界の敵と戦うラブコメ!”だったので、何だかよく分からん作品だなぁと思いました。
ただ、違った絵柄や演出の敵との戦いが、とあるCGアニメーション映画みたいで面白そうとも思いました。
──本作において、辻野さんはキャラクター原案・世界観設定を担当されています。こちらはどういったお仕事になりますか?
辻野:一言で言えば作品ビジュアルの叩き台です。プロット、シナリオから必要であろうキャラクター、小物、建物、街、各話の肝となるシーンのイメージボード、などを多数描きました。それを元にキャラクターならキャラクターデザインの石川さんに建物、街なら美術の嶋田さんにと言った具合にそれぞれの担当の方にシナリオ、演出に合わせてアレンジ、ブラッシュアップしてもらっています。使われなかったアイデアも多いですが、世界観作りにおいては無駄ではなかったと思っています。
──本作のキャラクター原案・世界観設定を担当するうえで、監督とはどのような話し合いをされましたか?
辻野:監督だけではなく、シナリオ、プロデューサー、キャラクターデザイン/総作監と定期的に集まり、それぞれが納得いくまでアイデアを出し合って作っていきました。メインスタッフが直接顔を合わせ意見、アイデアを出し合う作業が黎明期のTVゲームの打ち合わせみたいで刺激的でとても楽しかったです。