
Roseliaの紡いできたモノガタリ、Poppin'Partyへの憧れ、ファンに対する、星のように瞬く“ありがとう” のキモチ──10周年を迎えた『バンドリ!』の軌跡をRoselia・相羽あいなさんに聞く
『バンドリ!』プロジェクトが2025年2月28日で10周年を迎えた。この10年で数多くのバンドが生まれ、音楽とストーリーを紡ぎながら進化を続けてきた『バンドリ!』。現在、2023年に放送されたTVアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』から続くTVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』がTOKYO MXほかで好評放送中だ。また、2026年2月28日には、『バンドリ!』プロジェクトの全バンドが出演する「BanG Dream! 10th Anniversary LIVE」の開催がKアリーナ横浜で決定している。
『バンドリ!』プロジェクトを支えてきたバンドのひとつが、圧倒的な世界観と演奏力でファンを魅了し、咲き誇り続けるRoseliaである。そのボーカル・湊 友希那役を演じる相羽あいなさんに、『バンドリ!』10周年を迎えた今の想い、これまでのRoseliaの歩み、そして未来のことについて聞いた。
『バンドリ!』を引っ張るPoppin'Partyへの思い
──『バンドリ!』が10周年を迎えましたが、相羽さんご自身はどのようなお気持ちですか?
相羽あいなさん(以下、相羽):10周年ってすごいことだなという思いと、出会ってくださった方々、いつも応援してくださっているバンドリーマーの皆さまに、心から「ありがとうございます」という感謝の気持ちが大きいですね。
『バンドリ!』はPoppin'Partyさんをきっかけとして生まれたコンテンツなので、愛美さん(戸山香澄役)がいなかったら今の『バンドリ!』はなかったと思うんです。あいみんは、私の中でもその存在の大きさを感じます。
それに加えて、私はポピパさんのライブを観に行ったことがあったのですが、当時はまさか自分がRoseliaのボーカルになるなんて思ってもいなかったんです。『バンドリ!』というコンテンツの入り口に立っていたのがその時期で。でも、それが10周年の思い出に含まれているんですよね。右も左も分からなかった当時の私が、ポピパさんを観て、その後Roseliaとして活動を始めて、そして今『バンドリ!』10周年を迎えている。その流れを考えると、本当にすごいことなんだなって、改めて振り返りました。
──Poppin'Partyのライブを観に行かれていた当時というのは、観客として楽しまれていたのでしょうか。
相羽:一応、関係者の立場ではあったんですが、まだRoseliaのオーディションを受ける前で、ボーカルとしての歌唱チェックもしていない時期でした。純粋な興味もあって観に行ったような感じでしたね。実際にライブを観たら「すごいことをしているな」と驚きました。声優さんがギターやベースを弾いて、ボーカルをして、ピアノを弾いて……。そのときはまだ大橋彩香さん(山吹沙綾役)はいなくて、大塚紗英さん(花園たえ役)が加入して2回目のライブだったと思います。それが私の中での、『バンドリ!』の歴史の始まりという印象で、感慨深いと言うか……いろいろなことがあった10年でしたね。特に私の場合、あいみんや伊藤彩沙(市ヶ谷有咲役)、りみりん(西本りみ/牛込りみ役)は同じ事務所の尊敬する先輩たちでもあって。
当時は本当に一方的に見ている存在で、友達というより「演者さん」として見ていたんですよね。それが今では先輩になって、さらには友だち、なんならファミリーという大きな存在になっている。だから、ポピパさんが築いてきた歴史や軌跡を振り返ると、本当にすごいことだなと思います。もう背中が本当に大きくて。背負ってきたものが大きいし、築き上げたものの大きさにも圧倒されますね。
──『バンドリ!』10周年は、Poppin'Partyの10周年でもありますしね。最近、大橋さんや大塚さんにお話を伺った時も、まさにポピパ=姉妹・兄弟のような関係性ということをおっしゃっていました。Roseliaは今9年目。そういう視点から言うと、Roseliaはどのような関係性になったと考えられていますか?
相羽:なんだろうなあ。Roseliaとしての活動が始まった頃から仲は良かったんですが、間違いなく家族より会っている存在ですし……ライブの準備をしているときは仲間のようだったり、時には姉妹みたいな感じにもなるし、まるで学校みたいな瞬間もあったり。本当にいろんなシチュエーションがあります。
でも今はもう「家族」のような感覚が強いです。今日もセトリ会議をしていたのですが、プロデューサーが入ると学校のようになるんです。セトリ会議なのに「うるさいです! 静かにしてください!」って(笑)。
──6月には単独ライブがありますもんね。相羽さんは、そういう時も騒いでいる側ですか?
相羽:私も騒いでいる側にいました(笑)。場合により、立ち位置が入れ替わることがあって。あれ、録音してたら面白かっただろうなあ。
改めてRoseliaの歴史を振り返ると……当時、私は本当に何も分からない状態からRoseliaに入りましたし、工藤さん(工藤晴香/氷川紗夜役)や櫻川さん(櫻川めぐ/宇田川あこ役)も、バンド活動としてはまだまだ初心者だと仰っていたので、みんなで急ピッチで仕上げていきました。
特にRoseliaは作中で「高い技術を持つ本格派ユニット」と言われているので、本来はPoppin'Partyよりも演奏が上手くなければいけないというプレッシャーもあって。でも、私のことで言えばポピパさんより上手くなかったし、「どうしよう、全然私は高技術じゃない」と焦る気持ちが大きかったです。
おそらく工藤さんや櫻川さん、当時のメンバーである遠藤ゆりかさん(初代 今井リサ役)、明坂聡美さん(初代 白金燐子役)も、きっと葛藤があったと思います。そこで、見せ方やパフォーマンスを意識して、どれだけ強く魅せられるかを意識しつつ、「私たちはなにか違う、とりあえずオーラを見せていこう!」なんて話していましたね。
──Roseliaの初ステージは、Poppin'Partyのライブのサプライズ出演でしたよね(「BanG Dream! 3rd☆LIVE Sparklin' PARTY 2017!」のシークレットゲスト)。
相羽:はい、2017年2月5日ですね! 記念日が好きなので覚えてるんです(笑)。私はいつも記念日をメモしていて……(念のため確認して)やっぱり2月5日ですね。Roseliaとして初めてステージに立った日で、そこから8年が経ちました。今はライブの技術的な話をするようになって、メンバー間の会話の内容も変わりました。
──それだけ成長されたということですよね。
相羽:初期は「パフォーマンスをどう魅せるか」が主な話題だったのに、今は「どんな技術を取り入れるか」という話をしています。私自身、ボーカルとしての意識もどんどん変わってきました。
──歌い方について、どのような変化があったように感じていますか。
相羽:ものすごく変わりましたが、特に自分とマイクにどう向き合うかという意識が変わりました。Roseliaに入る前は、「歌う=とにかく声を出せばいい」と思っていたんです。でも、それだと声が枯れてしまうし、マイクにしっかり乗らないことに気づいて。
「あ、そうじゃないんだ!」って、そこからゼロからのスタートでした。どうやったらマイクにしっかりと声を乗せられるのか、どうやって歌えばいいのかという発声の基礎から学び直しましたね。何ができて何ができないのかもよくわからなくて、とにかく「Roseliaのために頑張らなきゃ!」って必死でした。
でも、今は「どうやったらもっとRoseliaらしさを出せるか」「どうやったらもっとお客さんに喜んでもらえるか」「どうやったらみんなと一つになれるか」といったことを考えるようになりました。以前はスタッフさんに言われたことをとにかく一生懸命やるだったのが、今では「こうしたらもっと良くなるんじゃないか?」とメンバーと一緒に意見を出し合いながら作り上げていくようになりましたね。
──ボーカリストとしての意識も変わったのでしょうか?
相羽:めちゃくちゃ変わりました。最初の頃は自分に自信がなくて、「どうして私がRoseliaのボーカルに選ばれたんだろう?」と悩んでいた時期もありました。そもそも、Elements Gardenの上松範康さんが私の歌を聴いて「大丈夫、磨けば絶対にいけます!」と言ってくれたのがきっかけだったのですが……ボーカリストとしての経験があったわけではないし、確かに芯の強さや声の張り、高音は出せるけど、「私には他の人に勝るものがないのでは?」と思ってしまっていて。選んでくれた人がいる限り、そんなことを思うのもどうかなとも思うんですが……。
でも、「R」(2018年7月発売の6thシングル)を歌ったときに、「あなたはハイトーンですよ」と言われたような気がしたんです。直接的にそう言われたわけじゃなく、入っていたから歌った……という感じではありますが、でも言われたような気がして。
その後に「FIRE BIRD」(2019年7月発売された9thシングル)があって、はっきりと「あ、私の武器はハイトーンなんだ」と気づいたんです。そこから「自分の武器をもっと磨こう!」と意識が変わりました。もちろん、短所も克服しながらですけど、自分が評価されている部分をさらに伸ばそうと思ったんです。