
TVアニメ『木の実マスター』永塚拓馬さん(ライト役)、Lynnさん(レーナ役)、三川華月さん(アイラ役)インタビュー|ルクセリアの誓いは果たされるのか? 最終回に向けた見どころを語る
共演者たちの演じ分けや、スイッチの入り方に驚愕
──3人以外にも個性的なキャラクターが多数登場しています。その中で特に気になるキャラクターを挙げるなら誰でしょうか?
永塚:僕はやっぱり虎髭(CV. 宝亀克寿)ですね。もともと強いおじいさんが好きで、虎髭はまさに強いおじいさん。悪い人を取りしまる保安局のトップ(主席)なので、戦闘能力に関してはこの世界でもトップに位置していると思っています。でも、まだ全然本気を見せていないので、虎髭の実力を見られる機会があったらいいなと思いながら原作を読んでいます。
それに、宝亀さんのお芝居が入ることによって、より威厳や格好良さが増していて、僕の推しキャラですね。
──第8話で実力の片鱗は見せていましたよね。Lynnさんや三川さんは虎髭のような強いおじい様やおじ様は好きですか?
Lynn・三川:好きです!(笑)
三川:出てきた瞬間の安心感というか、味方になったらありがたい人なんだろうなと思いますし、ちゃんと仁義を通していたら守ってくれそうなところがすごくいいですね。
Lynn:確かに、筋は通しそう。
──Lynnさんの気になるキャラクターも教えて下さい。
Lynn:私は花帽子さん(CV. 加隈亜衣)かな。見た目がまず好きなんですよ。なんであんなに大きな帽子を被っているのかなって……帽子を被っていないときの方が好きですけど(笑)。
彼女は好奇心の塊のような人であり、それでいてちゃんと強いんです。加隈さんの演じ分けもすごくて、声のトーンが全く変わるんです。
三川:ブースで見ていても、普段とは違う威厳があってすごいなと思いました。
永塚:花帽子さんは底知れないですよね。四大局(のひとつである調査局)のトップってことはベテランなのかもしれないと思いつつ、見た目は少女だから年齢もわからない。きっと知識欲で動いているんでしょうけど、本心もわからない。そういう謎なところも魅力的なキャラだと思います。
──花帽子が持っているのは戦闘系のスキルではないですけど、敵に回したらいろいろ調べられて大変そうです。
三川:そうなんですよ。アイラの鑑定スキルとはまたちょっと調べ方が違っていて。
永塚:情報って特殊スキルで戦う場合において絶対に必要なものですよね。ただ戦闘をするだけなら情報はいらないですけど、スキルを使った戦いになってくると、なにもわからないで突っ込むと負けちゃうので。すごく大事なスキルだなと思います。
──三川さんはひとり挙げるなら?
三川:いっぱいいますけど……今はドラテナさん(CV. 関根明良)です。ビジュアルがドンピシャで大好きですし、関根さんの演技が相まってあの声色がずっと頭に残っているんです。
ドラテナさんは怪しげな感じがあるのに、年相応の女の子らしい部分もありますよね。そのギャップが見えて実はそういう子なんだとわかってから、さらに大好きになりました。
Lynn:確かに、あんなに“敵”って感じで出てきたのに、戦ったあとはこんな展開になるんだ、って。
永塚:ドラテナは妖艶さの中にも少女っぽさがあって、ただのセクシー系キャラじゃないのが魅力的でいいキャラだなと思います。2面性もありすごくいいキャラクターですね。
三川:関根さんとちゃんとご一緒するのは今回が初めてで。最初にご挨拶したときにすごく腰が低くて丁寧な方だったので、ドラテナをどうやって演じられるんだろう?と思っていたら、テストでご自身のセリフになった瞬間にパッとスイッチが入ったんです。でも、テストが終わると急にわたわたしている関根さんになっていて、そのギャップに驚かされました。本当に役者さんだなって。
演技で言えば、ドラテナが初めて登場するシーンが好きですね。「この人は強いかも」と醸し出す空気を歌声に乗せるのも上手ですし、最後に舌なめずりして終わるところはすごくいい舌なめずりなんですよ。それを聴いて、私も自宅で練習してみたんですが……あんないい音はならなくて(笑)。
──関根さんは残念ながらこの場にいないので、ぜひ先輩の2人から舌なめずりのコツをお聞かせいただければと。
永塚:コツ??(笑)
三川:関根さんのような品のある舌舐めずりにならなかったんですよ。
永塚:気持ちがキャラになれば、勝手にそのキャラに合った舌なめずりになると思う。
三川:私はまだ心がドラテナになっていなかったと?
永塚:そうそう。アイラの心のままでやっちゃったからだよ。
Lynn:ピザ食べたいなーって(笑)。
永塚:僕もライトの心でやったら、上品な舌なめずりは絶対に出来ないもん。それも芝居の一環じゃないかな。
Lynn:そうだね。
三川:ありがとうございます! 勉強になります!
谷山紀章さんと10年越しに、今度はライバルとして共演
──加隈さんや関根さんの話が出ましたけど、永塚さんからも印象的だった共演者やアフレコでのエピソードがあればお聞かせください。
永塚:僕はやっぱりザムド役の谷山さんですね。谷山さんとはデビューしたときに共演したのですが、そのとき僕はモブのような役だったこともあって、10年越しにこうやって、今度は同じ立場でライバルとして共演できたのがすごく嬉しかったです。谷山さんが僕に向かって全力で芝居のエネルギーをぶつけてくださっている感覚があって、声優人生における重要な思い出になりました。
──戦う相手と一緒に収録すると相乗効果がすごいと聞きますが、やはり谷山さんとの収録は違いましたか?
永塚:違いました。テストから谷山さんの気迫がすごくて、これは全力で挑まないと吹き飛ばされてしまうと思いました。だから、僕もスイッチを入れて、ガニ股で吹き飛ばされないようにしながら、マイクが壊れてしますぐらいと思うぐらいの気合でやりました。本当に魂のぶつかり合いでした。別録りじゃなくて本当に良かったです。いま思い返してもすごい気迫だったなぁ……。
三川:(ブースで)後ろから見ていても、2人がやり合っているときはちょっと態勢が変わるんですよね。それぞれのキャラクターになるというか。
永塚:掛け合うまではモニターに対してまっすぐ向いていたのが、(お互いに少し向き合う)ハの字型になって、「だあぁーー!!」「うおおーーー!!!」みたいな。
Lynn:あれはすごかったね。
──ほかにも、あまり出番が多くないキャラクターも豪華キャストが演じていますよね。
Lynn:そうなんです。ほんとに贅沢すぎない?と思うぐらい、ひと言しか喋らないキャラクターをベテランキャストの方がやられていて。子安(武人)さんの墓守とかもワンシーンしか出ていないので、もっと見たいですね。
──四大局でいえば、聖女を演じている大原さやかさんもさすがです。
永塚:ピッタリですよね。
三川:聖女様のシーンになった瞬間、今までの『木の実マスター』の世界観と急に空気が変わるんですよ。微動だにできないような、洗練された空気になるのがやっぱりすごいなって思いました。
永塚:圧倒しようとしていないのに滲み出てくる圧というか。それがすごいです。
Lynn:そういうベテランの方々もたくさんいらっしゃいました。逆に新人さんで「初めての現場なんです」「初めてマイクワークするんです」という方も結構いて。先輩としてちゃんとしなきゃ、という意識がありました。私は自分から話しかけに行けるタイプではないので、勝手に背中を見てくれと(笑)。
三川:かっこいい!!
Lynn:なにもできないから、お芝居だけはちゃんとしようと思っていました。
永塚:(Lynnさんは)ルクセリアの中でも先輩ですからね。僕は完全にLynnさんを頼っていました。Lynnさんがいるから大丈夫だろう、って(笑)。
三川:私はおふたりに頼ろう!と思っていました(笑)。アイラを演じていることもあって、2人に乗っかっていけば大丈夫だろう、って気持ちがありましたね。
──キャラクター、キャストといえば、モニカや演じている集貝はなさんも注目ですが、彼女の印象はいかがですか?
永塚:意外と元気少女っていなかったので、そういう意味でもすごく特徴的だし、可愛らしい子だなって思いました。
Lynn:集貝さんは関西出身ではないですけど(東京都出身)、しっかりキャラ作りをして自分のものにしていて、マイク前でもすごく楽しそうに演じていたので、聴いているこっちも楽しい気持ちになりました。
三川:「うち」のイントネーションにすごく悩んでいましたよね。
永塚:日本の関西に似ているな〜ってぐらいで、別に関西人じゃないから大丈夫って監督も話していて。
三川:あと、集貝さんはマイク前でモニカの動きをトレースするというか、動きながらやられているのを見て、後ろ姿からもモニカだとすごく感じました。
永塚:あそこまで動く人はなかなかいないと思う。
──人によってやり方がありますからね。
永塚:永塚流もあるし、集貝流もあるし。
お互いの印象は誤解や萎縮から始まった!?
──せっかく3人一緒にいますから、お互いの印象についてもお聞きしたいと思います。永塚さんとLynnさんは過去に共演した作品もありましたが、印象はいかがでしたか?
永塚:実はしっかりとお話させていただいたのは、この作品が初めてなんです。最初はLynnさんってクールビューティーというか、高嶺の花みたいなイメージだったんですけど、共演させていただいたら結構気さくにお話してくださり、すごく印象が変わりました。「あのLynnさんが、僕なんかとお話してくれた……!!」って(笑)。
Lynn:なんでですか!(笑)
──逆にLynnさんは永塚さんにどんな印象を持っていましたか?
Lynn:話したことはなかったんですけど、なぜか同じ事務所だと思っていたんです(笑)。
永塚:同じ事務所だったら会うじゃないですか!
Lynn:なので、その誤解が解けるところから始まりました。最初の印象は、永塚さんも割と大人しくて静かな方なのかなって感じがあって、だからこそ話しかけて笑ってくれると嬉しい!と思うことの積み重ねでした。
私も現場ですごく静かで受け身なので、三川ちゃんや集貝さん(モニカ役の集貝はなさん)が話しかけてくれると、「話せる!わーい!」ってなるんですよ。
アフレコ自体はすべて終わっていますが、中盤と最終話の後にご飯会を開いてくれて、そのときにいろいろお話をしたことで距離が縮められたかなと思います。
──三川さんは、永塚さんやLynnさんにどんな印象を?
三川:共通するんですけど、初速で距離を詰めたらたぶん嫌がるだろうな……って、おふたりの空気から感じたんです。でも、結局はアフレコをしていたときよりも、こうやって取材でお話してからの方が距離の縮まりは早かった気がします。やっぱりアフレコ中は皆さん真剣にお芝居しているので、ちゃちゃを入れにいく時間がそんなになかったです。
最初の印象は2人ともクールで、そんなに積極的にお話される方ではないのかも?と思ったのですが、喋ってみると永塚さんは発言がぶっ飛んでいることも多々ありますし、Lynnさんは誰よりもゲラというか。私がどんなことを言っても、ずっと笑ってくださるんです。それがすごく嬉しくて、最初とは印象がガラッと変わりました。
──では、先輩2人からみて後輩である三川さんはいかがでしたか?
永塚:初対面のときは、引っ込み思案な子なのかなと思っていました。でも、話していくと奇想天外なエピソードがいっぱいあったり、すごく食いしん坊なところが見えたりして、元気で可愛らしいちょっとわんぱくな子なんだなって印象が変わりました。たぶん最初は萎縮していたのかなと。
三川:確かに、最初は大人しかったかもしれないです。
Lynn:本当は違うんだろうなと思っていました(笑)。最初は気を使って遠慮がちに「(大人しく)Lynnさん……」みたいな感じで来てくれたけど、本当は「(元気に)Lynnさ〜ん!!!」ってテンションで来たい子なんだろうなって。
三川:そのテンションで行っても大丈夫ですか?
Lynn:全然大丈夫だよ。
三川:じゃあ、今度からは「わ〜!! おはようございま〜す!!!」ぐらいで行きますね!(笑)
──より仲が深まりそうですね。では最後に、改めて終盤の見どころをお願いします。
永塚:ザムドとの戦いが終わりレーナパートに入りましたが、ライトもちゃんと毎話出てきますので、登場を楽しみにしてください。最終回も面白い展開になっています。ぜひ最後まで見逃さずに応援していただきたいです。
Lynn:レーナ主軸の物語では花帽子さんやドラテナさん、新しいキャラクターも出てきますが、やっぱり“剣聖”としてのかっこいいレーナは見てもらいたいです。聖女さんの秘密にも一歩近づくのか、最後にルクセリアは再会できるのか、といったところにも注目していただけたらと思います。
三川:第2話で誓ったルクセリアの3人それぞれの目標に向かって、離れてはいてもみんながルクセリアのためにそれぞれの場所で頑張っています。それぞれの成長や頑張りをぜひ最後まで見届けていただけたら嬉しいです。
[文・千葉研一 / 写真・塚越淳一]
作品概要

あらすじ
そこで史上最高の冒険者を目指す少年・ライトが手に入れたのは、
戦闘能力皆無、木の実栽培に特化した外れスキル《木の実マスター》だった……。
“スキルの実”はふたたび食べると必ず死ぬため、やり直しはできない。
一方、「一緒に冒険者になる」と約束した幼馴染・レーナは
史上最速でSランクになり、差が開いていく。
農作業と剣の修行に打ち込む日々を送るライトだが
ある日偶然、2つ目の“スキルの実”を食べてしまい――
「なんで死んでないんだ……!?」
死亡フラグを回避したライトは、《木の実マスター》の真の力を知ることになる。
それは何回でも“スキルの実”を食べられるという驚愕の能力だった!
食べるたびに能力が無限追加されるハイパーチート!!
最下位スキルは最上位スキルだったのだ!!!
最強へのサクセスファンタジーが、待望のアニメ化!
冒険者になれないと言われた男による、歴史に名を残す冒険が、いま始まる……!
キャスト
(C)松琴エア・はにゅう・講談社/外れスキル《木の実マスター》製作委員会