
『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和GO』大地丙太郎監督インタビュー with クマ吉くん|これまでの制作秘話から新作の見どころ、大スベリ(!?)した思い出まで、根掘り葉掘り聞いちゃいました
2025年4月7日(月)より、TVアニメ『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和GO』が放送開始!
あの伝説的ギャグアニメ『ギャグマンガ日和』が、なんと15年ぶりにテレビアニメとして復活を果たします。
監督を務めるのは、シリーズお馴染みの大地丙太郎監督。数々のギャグ作品を手がけてきた巨匠が、今回も独自のスタイルで「増田こうすけ劇場」の映像化に挑みます。アニメイトタイムズでは、大地丙太郎監督にインタビューを実施!
シリーズへの想いから、制作裏話、キャスティングの狙い、シリーズ初期のにが〜い思い出までたっぷりと伺っています。また、大地監督ご自身も、初監督作品の放送から30年の節目を迎えるということで、監督ご自身のクリエイターとしてのお話も根掘り葉掘り聞いちゃいました!
「泣かせは誰でもできるけど、笑わせるのは難しい」
「みんなもっと笑ってよ!」
そう語る大地監督が本作に込めた思いとは――。
……さらに今回は、『ギャグマンガ日和』でお馴染みのキャラクターであるクマ吉くんが、インタビュー現場に襲来!? 特に話すことはなさそうですが、取材部屋をウロチョロしつつ、自分に関係する話題では結構ソワソワしていました。
作品らしいカオスの中で実施された『ギャグマンガ日和』、そしてギャグアニメの真髄が詰まったインタビューをお楽しみください!
スローガンは「今まで通り」
ーーまずは、新シリーズの制作が決まった際の心境からお聞かせください。
監督・大地丙太郎さん(以下、大地):割と自然に受け入れました。「分かりました、やるんですね」くらいの感じです。
ーーもしかして、20年前もそんな感じで?
大地:そうですね。「ぜひお願いします!」という感じでした。元々企画を持ちかけてくれた方とは長い付き合いで。衝撃的な感じというより、自然に作りました。
ーー原作はお読みになられていたんですか?
大地:第一作目のお話を受けてから読んで、それからはずっと楽しみに読んでいます。僕も好きな作品なので、アニメがあっても無くても、必ず読んでいます。
ーー長らく原作を読んできて、作品の印象は変化していますか?
大地:全く変わらないですね。最初から今までずっと面白いですから。原作が変わらない面白さを持っている以上、今回のアニメも「今まで通りにやる」が命題でした。
なので、キャストもいつものメンバーです。原作と同じく、彼らも衰えは一切ないだろうと思って集結してもらって。それでも月日は経っているので、業界全体や作り方が変わっている部分もあります。スタッフ陣まで、完璧に同じとはいきませんでしたが、新たに加わった方々にも旧作を観ていただきました。「新たな気持ちで、これまで通りのものを作る」という意識です。
ーーなるほど。「今まで通り」をスローガンにしたのはなぜですか?
大地:そもそも『ギャグマンガ日和』自体が、他のアニメと全く違う工程で作っているんです。それは変えようがないと言いますか。制作開始当初から築いてきた手法なので、変えようなんて考えもしなかったです。
ーー今の工程が作品にとってのベストだと。アニメ用のシナリオや台本はなく、キャスト陣が単行本を片手にプレスコ(画より先に収録すること)を行っているとお聞きしました。
大地:そうです。最初からずっとその方法ですし、『ギャグマンガ日和』はそうじゃないと作れません。
ーーなぜそう思われるのですか?
大地:わざわざ台本を作るのが無駄だからです(笑)。原作が完璧だからこそ、それを超えるものは作れないじゃないですか。漫画自体が完璧なシナリオと絵コンテなので、新たに手を加えるなんて愚かなことだと思っています。
ーーアニメにある勢いや独特なテンポはそういう工程で作られていたんですね。
打ち合わせは一切なし!? 全員で作り上げる笑い
大地:この作品は打ち合わせなんかも一切やらないですよ。
ーーえ!? スタッフさんやキャストさんともですか?
大地:はい。キャスト陣には漫画を読んでもらえばわかりますし、スタッフにも漫画をできる限りそのまま描いてもらいたい。これまでアニメで描いてきたトーンがあるので、それに乗ってもらえればOK。最初に微調整をしたあとは、全部おまかせしています。
ーー確かに。映像はより綺麗で見やすくなっていましたが、アニメの世界観にすぐ戻ることができました。収録の際、キャストの皆さんとどんなお話をしたのでしょう?
大地:基本的には前作に出てもらった方ばっかりなので、「お久しぶりです〜」と挨拶して、さっさと収録を始めました(笑)。彼らも「漫画を面白く読めばいいでしょ!」という感じだったので。
ーー新しく参加したみなさんも、この収録方法にはすぐ慣れましたか?
大地:もしかしたらちょっと戸惑いがあったかもしれないですけど、多分ベテランの前田くん(前田剛)あたりが全部説明してくれたのではないかなと思うのですが(笑)「この作品はこうだから」みたいな(笑)。ほんとそれだけで、僕らスタッフとの打ち合わせは一切なし!
ーー「とにかく漫画読もうぜ」と(笑)。前作までと比較しても、キャラクターの掛け合いが進化しているような気がしました。漫才感があると言いますか。
大地:それはあると思います。この作品は掛け合いが命。全部掛け合いで成り立っているアニメです。だから、キャストさんが全員集まれる日を調整して収録しました。
今は別録りって当たり前なんですけど、この作品に別録りはありません。「リアルの掛け合いでやらないと意味がない」という話をして、集まってもらいました。キャストに話を聞いてみても、ある程度は準備してくるらしいですが、その場のノリでどんどん変わっていくみたいですね。
ーー収録の際にはどのようなディレクションをされるのですか?
大地:指示は一切出さないです! 発音などが聞きづらかったりすると、調整をお願いしたりしますが、本当にその程度。ご本人が納得いかない時に、録り直しする形です。
僕の中に想定しているものがあるというよりも、演じている彼らが出したものが正解というスタンスです。
ーーギャグ漫画は文字で台詞を読むときに「読者個人の面白い読み方」というか、読み手の数だけ頭でイメージする声やツッコミのトーンは変わってきますよね。
大地:そうですね、誰がどのように読んでも面白い原作なので、読者のみなさんと僕が想像している台詞のニュアンスを合わせることは非常に難しいです。
結局、どうやったら面白く聞こえるかは個人のセンスや感覚に依るので、自分が漫画を読んでいる時に頭でイメージしたものとは、最低限ズレないようにアニメは制作しています。
ーー徐々に増えていますが、本作のキャスト陣は少数精鋭で兼役も多いですよね。
大地:実は、『ギャグマンガ日和』ってうえだくんと名塚さんふたりに全キャラクターをやってもらおうと思っていたんですよ。
『日本昔ばなし』の常田富士男さんと、市原悦子さんスタイルでやろうと思ったんですけど、そういう訳にもいかなくて(笑)。キャラが多すぎるんですよね。
なので、前田くんたちに入ってもらって今のメンバーになった感じです。ただ、なるべく少人数で、持ち回りで兼役をしてもらうのが良いんじゃないかなと今でも思っています。
ーーそれはどうしてですか?
大地:うえだくんも名塚さんも、前田くんも、今出ているキャスト陣の色んな役を見てみたいんです。名塚さんが色んな役をやる、というのが凄く面白くて「女性キャラ全部やって!」という無茶なお願いからキャスティングがスタートしています。