
『ゲゲゲの鬼太郎 私の愛した歴代ゲゲゲ』4月〜6月期エンディングテーマ「Party of Monsters」は、氷川きよしさん×小室哲哉さんによる豪華タッグ! 楽曲に込めた遊び心とリスペクト、氷川さんが開いた新境地とは?【インタビュー】
「善悪の価値観は時と状況による」というメッセージ
ーー作詩にはどのようなイメージで取り組まれたのでしょうか?
小室:アンチヒーローでありつつ、妖怪を倒すヒーローでもある、鬼太郎を含めた妖怪たちをイメージしました。
水木しげる先生は戦争体験をされていて、終戦後、好きな漫画が描けることになった時に、「戦争体験によって善悪の基準がおかしくなった」というお話を読んだんです。そういう意味では、「何を善しとすればいいのか」が作品に投影されていたのかなと。「善悪の価値観は時と状況による」ということを伝えたかったのかもしれないと思いました。
ーーこの曲は大人と子供で受け取り方が変わってくる気がしました。大人は楽曲からメッセージ性を感じると思いますが、子供はキャッチーなサウンドと氷川さんの個性的な歌い方が純粋に楽しめて。『ゲゲゲの鬼太郎』だからできるアプローチだったのかなと。
小室:地球環境のことや地政学的なことも全部含めて伝えているつもりなので、それを妖怪に置き換えて、「むしろ妖怪ではなく、人間の方が悪いじゃん」みたいなことは伝えているつもりです。
今の時代は「何が善で何が悪なのか」がごちゃごちゃになっていて。大人の方は今の時代の曲だと思われるでしょうし、お子さんなどが聴いた時には、「祭りの後の虚しさ」はなく、ずっと騒いでいいと感じてもらえたら嬉しいです。
氷川さんにとってのアニソンは「自分の世界や音楽観を広げてくれたもの」
ーー小室さんは、キャリアの中でアニメソング(アニソン)を作り続けていますが、どのような想いを持っていますか?
小室:去年フランスの『Japan Expo』のステージに出演させていただいて、自分のアニメの曲を何曲か演奏させていただいたのですが、お客さんがほとんど日本語で歌っていたんです。一つの国にアニメファンが何万人いてもおかしくないし、地球上のすべてのアニメファンを数えたら、たぶん何億人というとんでもない人数になるでしょうね。
そのアニメファンの源は日本の漫画で、繊細な表現力や描写も、漫画家の皆さんの“発明”と言ってもいいのではないでしょうか。そこにフィットする音楽を作るのは得意かもしれません。
ーーアニソンを制作するにあたっても、世界まで意識する時代になっていますよね。
小室:そうなんですよね。だからあまり長い尺、例えばAメロ、Bメロ、サビ、大サビというものよりは、パッと分かりやすいものになってきている気がします。そこはアーティストも意識していることじゃないでしょうか。
ーー氷川さんにとって、アニソンを歌うことにどんな意味や意義を感じていますか?
氷川:アニメ作品1つとっても日本国内だけでなく、世界中に熱狂的なファンの方がいますよね。そんな人たちに自分が歌ったアニソンを聴いてもらうだけでなく、歌ってもらえたり、踊ってもらえたりすることが嬉しくて。「限界突破×サバイバー」の時も、沢山の方から反響をいただきましたし、ネット上でもバズったことで、「多くの人が楽しんでくれた」という実感を得ることができました。自分の世界や音楽観も広げてくれたんです。
氷川:今回も『ゲゲゲの鬼太郎』ファンの方たちがこの楽曲を歌ってくれたり、MVの振りをマネしたりと色々な形で楽しんでもらえたらいいなと思っています。
ーーそういう意味では、アニソンを歌うたびに新しい武器を手に入れている感覚があるのではないでしょうか。
氷川:そうですね。20代の時は「やだねったらやだね」(「箱根八里の半次郎」)や「きよしのズンドコ節」のイメージが強かったと思いますが、あれから約25年経って、また新しいものが作り出せる喜びを感じています。この曲には「Pa Pa Pa Party」という印象的なサビのフレーズがあるので、自分を見るとそのフレーズがすぐに浮かんでくるような、新しいイメージを持っていただけるようになったら嬉しいですね。
[インタビュー/永井和幸 撮影/MoA]
『ゲゲゲの鬼太郎 私の愛した歴代ゲゲゲ』
2025年は水木しげる没後10年。
4月6日(日)朝9時よりフジテレビほかにて、
過去に放送された第1期~第6期の中から毎週1話ずつ傑作選が放送決定!
放送情報
フジテレビ:毎週日曜9:00-9:30放送(4-9月)
エンディング
氷川きよし with t.komuro
「Party of Monsters」(4-6月)