
“ヒロアカ”から続く“師弟は話してはいけない”決まり? 自分の可能性が広がる三間音響監督こだわりのアフレコーー『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』梅田修一朗さん、長谷川育美さん、間宮康弘さん インタビュー
なにげない日常シーンで大苦戦? 三間音響監督のこだわりアフレコ
ーーアフレコはどんな雰囲気でしたか?
長谷川:音響監督の三間(雅文)さんが役柄の関係性を大事にされていて、最初は「あんまり仲良くならないでね」と言われていて。
梅田:僕は間宮さんと話すなと言われました。
間宮:そうそう。席も離されちゃってね。
ーー師弟だからあまり馴れ合ってはいけないと。
間宮:そうですね。ふたり(梅田さんと長谷川さん)はよく話しているんだけどね。僕も話したいなと思っているんですけど(笑)。
一同:(笑)
間宮:そもそも、みんなとはほかの現場でもあまりお会いしないんですよね。
梅田:そうですね。だから普段からお話しているというよりは、今日のインタビューみたいに、アフレコ以外でお会いしたときに話せる感じですね。
長谷川:今日は誰も見てないから(笑)。でもほかの現場でそういうことを言われたことがなくて。
梅田:ないですね。
長谷川:そういうところから作品作りを意識されているのかと思うと面白いなって。
間宮:“ヒロアカ”の山下大輝さん(緑谷出久役)と三宅健太さん(オールマイト役)もそうだったらしいですね。憧れているオールマイトにあんまり近づいてはいけないと言われていたそうです。
ーー今作、戦闘シーンは特に見応えがあるかと思いますが、改めて演じた感想をお聞かせください。
梅田:最初は師匠が戦っていますよね。
間宮:ナックルダスターが殴ってトドメを刺すことが多いですね。これは三間さんにも言われたんですけど、上擦らずに、腹に力を込めて。そして拳を振り上げながら演じています。そうじゃないと相手を倒せないんじゃないかと思うんですよね。
梅田:コーイチはできないことをできるようにギリギリで頑張れるように演じています。毎回、できないことを1mmでもできるようになるぞ、みたいなイメージです。コーイチ本人としては、できるのかできないのかではなく「やるぞ」という気持ちなので。
長谷川:ポップはあまり戦わないんですよね(笑)。基本的に街の人を逃がすとかの役割で。
間宮:それでいてピンチが多いよね。
長谷川:そうなんですよ。救われる側になることが多いので、とにかく「助けて」の気持ちに重きを置いて叫んでいます。
間宮:またこの作品、敵(ヴィラン)側のキャストもすごい勢いでやってくださるんですよ。それぞれ声を振り絞って迫力のあるヴィラン像を作ってくださるので、こちらもちゃんと立ち向かわないと勝てないくらいです。みんな声を枯らして演じているので、画面の向こうのみなさんにも通じてほしいなと思っています。
梅田:みなさんに個性犯罪を感じてもらいたいですね(笑)。
ーー三間さんは“ヒロアカ”でも音響監督を務められています。その分、こだわりのディレクションが多かったのでは?
梅田:常にですね。
長谷川:うん。
梅田:僕の中でコーイチがすごく良いやつという印象は変わらないですし、根っこはヒーローであることも間違いないんですけど、それが力強く表現できていなかったり、日常会話でもサラッとしていると「コーイチはそうじゃない」と。コーイチは思いやりがあって、頑張れるやつ、という部分をちゃんと表現しようと厳しくディレクションをいただいています。
ーーここぞという場面以外でも細かくディレクションがあるのですね。
梅田:ここぞという場面も、日常も、全部ですね。普段は言われないようなことも全部指摘してもらっています。僕としては自分の中の枠を広げていただけている感覚です。
長谷川:ポップとして一番言っていただくのは、コーイチに対する態度でした。彼に対してどれだけ感情を出すのかという塩梅は毎回細かく調整していて、本当に何度もテイクを重ねて詰めています。でも三間さんは、良いのが出たときに「かわいい」と言ってくださるんです(笑)。あの瞬間が嬉しいんですよね。
ーー(笑)。それだけ繊細なバランス調整をしているのですね。
長谷川:私の場合はポップの気持ちを考えすぎてオーバーになっちゃうときがあるんですよね。照れすぎちゃったりとか。そういうときは溢れるものをグッと抑えながら演じています。ほかにも、言葉をかけるときもそうですし、モノローグでも細かくディレクションをいただいています。本当に勉強になる現場です。
ーーポップといえば歌ですが、ライブシーンはどうでしたか?
長谷川:ポップなので上手く歌うというより、声を張り上げてみんなに届けることを心がけました。歌だけどお芝居なので、そこは三間さんにも細かくディレクションしていただきながら、なんとか頑張りました。
ーー間宮さんはいかがでしたか?
間宮:俺は格闘シーンが多いんですけど、どうしても人をぶん殴るシーンで楽しくなってしまって(笑)。
梅田:師匠と一緒じゃないですか!(笑)
一同:(笑)
間宮:だけど、その楽しさが芝居を超えてしまうんですよ。自分の中では気持ちよくぶん殴りながらナックルダスターとユニゾンして良い芝居ができているつもりなんですけど、実は俺のドS根性が働いて気持ち良くなっているだけになっていて。結局、ナックルにある憎しみや怒りといったネガティブな感情がなくなっていたんですよね。三間さんには「それは違うでしょ」とご指摘をいただきました。
ーーそこはご自身の気持ちを抑えているのですね。
間宮:個人的にはゲラゲラ笑いながら殴っちゃうんですけど(笑)、ナックルはそうではなく、犯罪を憎む気持ちを一撃一撃に込めているんですよね。彼はああいう顔ですし、「スカッとする」とか言っちゃうから本当に殺そうとしているように見えます。しかし、実際はそんなに薄っぺらいものではないので、指摘されるたびに「あぁ、また気持ち良くなってた」と我に返って方向修正することが多かったです。
あとモノローグが苦手なんですよね。例えば、コーイチの家の冷蔵庫からビールを取るとき、その前にコーイチにセリフをかけられたりするとつい反応してしまって。でも、ナックルというキャラクターは目の前のビールのことしか考えていないから、反応すべきではないんですよね。ここはどうしても会話をしたくなってしまって、結局、10テイクくらい重ねたかもしれない。
長谷川:声をかけられるとどうしても返したくなっちゃいますよね。
間宮:そうそう。無意識で返しちゃうんだよね。
ーーナックルは戦闘シーンが大変なのかなと思っていましたが、意外とオフのシーンで苦戦しているのですね。
間宮:苦戦しましたね。そういう何気ないことって日常生活で普通にできるからこそ、意識した途端にできなくなるんですよ。お芝居は特にそうです。
梅田:すごくわかります。無意識を意識的に表現するのは難しいです。
間宮:また三間さんはそれをすぐに見抜くんですよね(笑)。
長谷川:そうなんですよ〜。目線がちょっとズレているだけで見抜かれるんです!
間宮:「今、どこ見て言ってるの?」ってね。
梅田:本当にそうですね。コーイチがマイトパーカーをチクチク直しながらポップと会話するところがあるんですけど、そこも反応しすぎて「もっと目の前のことに集中して」と。あれは自分でもその通りだなと思わされました。
長谷川:私も、家にいるコーイチに声をかけるとき「コーイチが家のどこにいるのかわからないよね? じゃあ家の全体に声をかけないと」と言われて、「たしかに……!」って(笑)。
間宮:そうだよね。コーイチの家に帰ってきたときの「ただいま」は“誰かがいる”ことを考えるとかね。
長谷川:どれも意識したらそうなんですよね。そこは面白いなと思いました。
間宮:というように、指摘されるまで気が付かなかったことがすごく多かったです。
第1話は路地裏とライブシーンに注目?
ーー最後に、第1話放送に向けて、みなさんが映像を見た感想をお聞かせください。
梅田:“ヒロアカ”の空気感がありつつ、ダークな感じがしてかっこよかったです。
間宮:やたら路地裏が出てきたよね?
長谷川:たしかに、この3人は路地裏で出会いますよね。
梅田:本当に路地裏のイメージですね(笑)。
間宮:個人的には、ポップが3割増くらいでかわいくなっていたなって。
長谷川:第1話からライブシーンがありますからね。
梅田:決まってましたね。
間宮:ここは作画チームが気合を入れていますよね。
梅田:振り付けもちゃんとあるから動きがすごくて。
長谷川:実はアフレコのV(映像)にダンサーさんが踊っている映像が入っていたんですよ。
長谷川:振り付けがちゃんとしていて、第1話から見どころが炸裂していると思います。
間宮:あと、釘崎爪牙たちもポップに対してちゃんと悪いんだよね。そういうところでも“ヒロアカ”とのテイストの違いが出ているんだなと思いました。
長谷川:闇の部分を感じましたね。あそこはポップとして、タイミングを調整しながら喋るお芝居にこだわりました。特に、前半は巻き込まれていることが多いので、とにかく叫んでいますね。
ーー放送を楽しみにしています。ありがとうございました!
【取材・撮影 MoA】
TVアニメ『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』
2025年4月7日より毎週月曜 23:00~TOKYO MX・BS日テレ、25:59~読売テレビにて放送開始!
※放送時間は予告なく変更となる場合がございます。
各種動画配信サービスにて放送直後より順次配信開始!

イントロダクション
ヒーローにはなれなかった…それでも誰かを救いたい!非合法(イリーガル)ヒーローたちによる 等身大の成長物語!
堀越耕平氏が10年に渡り「週刊少年ジャンプ」で連載、世界中で爆発的な人気を誇る『僕のヒーローアカデミア』。
その “ヒロアカ”の公式スピンオフシリーズ『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』が、待望のアニメ化!
脚本:古橋秀之 作画:別天荒人 により「少年ジャンプ+」で連載されたこの作品で描かれるのは、『僕のヒーローアカデミア』の数年前の物語―!
時代は世界総人口の約8割が超常能力を持つ超人社会。混乱渦巻く世の中で、事故や災害、そして“個性”を悪用する敵<ヴィラン>から人々を守る「選ばれし」職業<ヒーロー>。
その一方で、「選ばれる」ことはなくとも、目の前の人を救わずにはいられない人々もいる。これは、そんなヒーロー《ヴィジランテ》の物語。
ストーリー
灰廻航一は、ヒーローに憧れながらも夢を諦めた冴えない大学生。
そんな彼の密かな楽しみは、オールマイトのコスプレ姿で街を徘徊し、プロヒーローを気取って人助けに勤しむことだった。
平凡な毎日を送っていた航一だったが、無許可でゲリラライブを行う自称アイドル・ポップ☆ステップ、「クズ専門の”掃除屋”」を名乗る謎の覆面男・ナックルダスターに出会い、「ヴィジランテ」の活動に巻き込まれていく。
非合法に人々を救ける彼らは、秩序を乱す犯罪者か、正義の自警団か。
“非合法ヒーロー”「ヴィジランテ」の物語が幕を開ける―!
スタッフ
原作:「ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-」(集英社ジャンプ コミックス刊)
古橋秀之 別天荒人 堀越耕平
監督:鈴木健一
シリーズ構成・脚本:黒田洋介
キャラクターデザイン:吉田隆彦
美術監督:渡辺幸浩
色彩設計:のぼりはるこ
撮影監督:張 盈穎
3DCG監督:佐々木瑞生
編集:廣瀬清志
音楽:林ゆうき 山城ショウゴ 古橋勇紀
音響監督:三間雅文
オープニングテーマ こっちのけんと「けっかおーらい」
アニメーション制作:ボンズフィルム
キャスト
灰廻航一:梅田修一朗
ポップ☆ステップ:長谷川育美
ナックルダスター:間宮康弘
相澤消太:諏訪部順一
インゲニウム:北田理道
釘崎ソーガ:鳥海浩輔
蜂須賀九印:千本木彩花
原作コミックス情報
■『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』(集英社 ジャンプ コミックス刊)
脚本:古橋秀之 作画:別天荒人 原作:堀越耕平(僕のヒーローアカデミア)
全15巻発売中!
■『僕のヒーローアカデミア』(集英社 ジャンプ コミックス刊)
原作:堀越耕平
シリーズ世界累計発行部数1億部突破!
全42巻発売中!
(C)堀越耕平/集英社