
「好きなものがある人、あった人だったら絶対に共感できる瞬間がたくさん散りばめられています」──アニメ「霧尾ファンクラブ」三好藍美役・稗田寧々さん【連載インタビュー第2回】
「いや私だけコロッケじゃないんかい!」
──実際に藍美を演じるにあたって、準備されたことなどについて教えてください。
稗田:藍美ちゃんは、実は今まで演じてこなかったタイプのキャラクターなんです。でも私の地声、普段喋っているような声質は藍美ちゃんに近くて。
普段キャラクターを演じる時は、そのキャラの見た目や性格に沿って声質を調整することが多くて、地声と離れた声で芝居することに慣れていたんです。今回、地声に近い声質の藍美ちゃんを演じるとなったとき、これまで演じてきたキャラクターを作るよりもやりやすいかなと思っていたのですが、意外と難しくって。
地声に近い部分でのお芝居になると、普段自分が喋っている感じそのままだとただの私になってしまうので、ちゃんと藍美ちゃんなりの息遣いにしなければならない。
──地声に近い声とお芝居の声のハイブリッドといいますか。
稗田:特に「え?」「は?」のような一言のリアクションが難しいなと。準備段階でもアフレコ中でも感じていたので、気づきであり、勉強でした。
藍美ちゃんを演じるにあたっては、原作を何度も読み返しました。藍美ちゃんは、ギャグ的な側面だけを見ていると、ちょっと変わった面白い女の子ですが、物語が進むにつれて面白い一面にも理由が見えてきます。藍美ちゃんの小中学校の間で築き上げてきた人間関係や友だちとの距離の作り方みたいなものが、今の藍美ちゃんに繋がっています。
藍美ちゃんは一匹狼というか、あまりみんなと群れるタイプではありませんが、その感じも過去の学生生活に起因する……そんな話が原作でも描かれているので、噛み砕くことで今の藍美ちゃんに繋がるのではないかと考えていて。
オーディションに向けた短期間で原作を読んで作ったときより、じっくりと原作を読み返して、もっと藍美ちゃんのことを知って挑めたアフレコだったのではないかなと思っています。
──地続きの、一人の女の子の人生を表現する、と。
稗田:そうですね。オーディションに受かったときはとっても嬉しかったのですが、私は同時にプレッシャーを感じてしまうタイプでもあるんです。テレビで放送される作品で、エンドロールに乗る香盤順が一番上になるのって「霧尾ファンクラブ」が初めてなんですよ。私の気持ち的には波役の若山詩音ちゃんとダブル主演なのですが、クレジット上では座長のポジション。それも含めてドキドキしていました。
──アフレコ現場の雰囲気や空気感はいかがでしたか?
稗田:メインキャストのみなさんは同世代の方が多く、さらに本作以外のところでも交流があるキャストさんが多かったので、みんなで作品を作っていく雰囲気がありました。だから自分が構えていたより緊張せずにといいますか、カチカチにならずに収録に挑めたと思います。
だから座長だけど、そんなに座長っぽいことはしていないんですよね。収録の後にみんなでご飯に行けるときは行っていたので、そういう時に「ご飯行こうと思うんですけど……」と出席を取るぐらいでした(笑)。
──話を切り出す人が一番大事なポジションですからね! そしてアフレコ現場に「クラゲの頭」をご持参されたともお伺いしていますが……。
稗田:そもそもなんで持っていったんだっけ……?(笑) でもそれこそ、収録の後のご飯で霧尾役の梶原(岳人)さんが「コロッケが得意料理だ」とおっしゃっていたのが始まりだった気がします。みんなで「食べたい!」と言ったら「じゃあ作ってきましょうか」と。
さらにその場にいたスタッフさんも「コロッケ、作れます!」となって、みんなで何かを持ち寄るような話になったんです。ちょうど私はそのときクラゲの頭にハマっていて。
──ちなみに、クラゲの頭にハマったきっかけというと?
稗田:ASMR配信でした。ASMRを聞くのが日課で気になっていて、ちょうど買って食べていた時期だったんですよね。
珍しいものだし、せっかくだからみなさんにも食べてもらおうかなって。「私はコロッケじゃなくてクラゲを持っていきますね!」と、麻辣醤で味付けしたクラゲの和え物を作って持って行きました。いや私だけコロッケじゃないんかい!って感じです(笑)。
──コロッケは作るのに手間と時間がかかりますから……。
稗田:でも本当に梶原さんとスタッフさんはコロッケを作ってきてくださいました。「霧尾ファンクラブ」のSNSグループがあるのですが、朝早くから「仕込みます」みたいな写真が送られてきて「本当に作ってる!?」と(笑)。収録の合間にみんなで食べていましたね。
──お話だけでも、温かい雰囲気を感じます。
稗田:元々雰囲気の良さがあったから許されていたのかなと(笑)。音響監督さんやぽんちゃん先生も食べてくださいました。


































