
「好きなものがある人、あった人だったら絶対に共感できる瞬間がたくさん散りばめられています」──アニメ「霧尾ファンクラブ」三好藍美役・稗田寧々さん【連載インタビュー第2回】
「『推しの鼻筋に住みたいな』って私も思ってたので」
──放送された第1話は、稗田さんと若山さんの2人芝居のようなシーンが多く展開されました。
稗田:若山詩音ちゃんとしっかり共演したのは今回が初めてなんです。個人的に一人のファンとして、役者として詩音ちゃんのお芝居が素敵だなとずっと感じていたので、いつかご一緒できないかなと思っていて。まさかこんなにガッツリ、バディのような役柄で共演できるとは思っていなかったので、本当に嬉しかったです。実際に掛け合ってみたら、詩音ちゃんにしか作れないような波の空気感や喋りの雰囲気がすごく心地よくて……!
ギャグシーンでは緩急やテンポ感も大事だなと思っていたので、掛け合いの雰囲気などを、収録中にちょっと相談することもありました。また、アドリブが求められることも多かったんですよね。藍美一人のこともあるし、藍美と波の二人で喋り続けるアドリブもあって。その喋る内容なども相談し合いながら作っていきました。詩音ちゃんに助けられた瞬間が多かったです。
──お二人のナチュラルなお芝居が素敵だなと思っていました。
稗田:共演は今回が初めてなのですが、実は色々なご縁があって、これまでも一緒にご飯に行ったりしていたんです。共演する前から友だちだったというのも大きかったのかなと思っています。やはりアフレコ現場で「はじめまして」だったら、距離を詰めるのにもう少し時間が必要だったかなって(笑)。すでに関係値が出来上がった状態で第1話を迎えられたのもありがたいことだったなと思います。
──お芝居の面も含めて、第1話のお気に入りのシーンを教えてください。
稗田:やはり一番最初のモノローグの「拝啓、霧尾くん」は、話のスタートであり波と一緒に合わせる部分でもあったので、息を合わせられるかなとドキドキしていました。続く「人を好きになるのが こんなにも つらいなんて」の落とし方も、深く考えて演じた記憶があります。
その後も波と藍美の掛け合いが続きますが、やはりこんな“爆裂ギャグ”ははじめてで、お芝居の経験も少なかったので、第1話は緊張していた気がします。「これちゃんと面白いかな」って。
そんなギャグシーンも印象的な第1話でしたが、Aパートのラストの「私たち友達だよね?」「違う ライバルだよ」は、ガラッと雰囲気が変わります。その雰囲気をどのぐらい変えるのかについて、音響監督さんとすり合わせながら色々なパターンを考えて演じた思い出もあります。このシーンはとっても印象的で、漫画で読んでいてもドキッとするシーンだったので特に記憶に残っていますね。
──“爆裂ギャグ”なシーンと空気が張り詰めるシーンを演じる際で、お芝居のスイッチのような意識はあったのでしょうか。
稗田:第1話の段階では「頑張って変えなきゃ」とは感じていなかったのですが、お話が進むにつれて「シリアスなシーンだけど傍から見たらギャグにも見える」ような場面もあって。こっちは真剣にやっているんだけど、俯瞰したら面白く見えるという塩梅は難しかったですね。
ありがたいことにぽんちゃん先生が現場にいてくださったので、先生と監督と音響監督さんとで都度相談されて、ディレクションで導いてくださいました。結果的に上手く表現できたのではないかなと思っています。
──我々が面白いと感じるギャグシーンも、藍美や波は笑いを取ろうとして言ってなくて。
稗田:彼女らはあくまで真剣なんですよね。だからこそ面白いんだと思います。真剣に真面目に、なに馬鹿なことをやってるんだと。なので「笑わせよう」というより「真剣にやっている」という意識を大事にしていました。霧尾くんの前に立ったら緊張しちゃって、頑張ろうとした結果こうなっちゃっただけ、といいますか。
でもアドリブなどでは、藍美が変な顔をしていたり変な息が漏れたりしていて「面白い感じでやってください」というオーダーもありました。そのたびに「お、試されてるな?」と(笑)。
──「面白い感じで」は、最も難しいオーダーなのでは?
稗田:そうなんですよ(笑)。さらにオーダーを出す亀山さん(音響監督)が「面白い感じ」のニュアンスがとってもお上手なんです。キャスト陣みんなで「亀山さんが上手すぎて亀山さんを超えられない」と話していました。途中から「亀山さんが上手」という事実が面白くなってきちゃっていました。
アドリブのお芝居も楽しかったです。こんなにアドリブでギャグをやらせていただける機会も、キャリア的に多くなかったので難しくもありましたが、勉強になるなと思いながら演じさせていただきました。
他のキャストさんもみなさん面白い表現をされますし、メインではないキャラクターに大先輩方がキャスティングされていたりして。ちょっとした表現が本当に面白く、この面でも勉強させていただきました。
──そうして演じられた藍美というキャラクターの魅力を教えてください。
稗田:藍美はあまり人を寄せ付けないタイプだし、器用な子ではありません。でもそんな中で藍美なりに気を遣っていて、時折優しさも見えてきます。普段から真剣ではありますが、ふざけた感じだし笑わせてくれるし、サバサバしている面白い子です。
藍美ちゃんの優しい部分は、普段表に見せてないだけで内側には強くある。そんな様子は、話が進むにつれてわかってくるところです。無理に優しさを出そうとしない、隠しているところが藍美ちゃんの良いところでもあるので、いじらしくて愛おしいなと思います。
あとはやっぱり、霧尾くんへのアプローチの仕方や反応が真っすぐなんですよね。変にスカさなくて素直に恥ずかしがったり緊張しちゃったり……素直なところが本当に可愛くって! 目に見える可愛さだけじゃない、内面の可愛さを藍美ちゃんは持っています。もっともっと「霧尾ファンクラブ」を深く知ることでじわじわとわかってくる藍美ちゃんの良さがありますので、それがみなさんに伝わったらいいなと思います。
藍美ちゃんは本当に可愛くて、波が藍美ちゃんを慕う理由もそこにあると思っています。早くみなさんに届いてほしいです。
──「いざ推しを目の前にするとこうなってしまう」のような、ある種オタクの性のようなものに共感できるのかなと。
稗田:そうなんです……! 私も昔はお客さんとして、アニメや声優さんが好きなオタクでしたし、今も性格的にはオタク気質なので喋ると早口になっちゃうし……藍美ちゃんは霧尾くんに対して妄想で「こうして、こうしたい」とよく口にしますが、それも「わかるよ……!」と(笑)。「推しの鼻筋に住みたいな」って私も思ってたので。
そういう意味では、やはり自分の一部分は藍美ちゃんに近いのかなと思います。これから描かれる藍美ちゃんの小学校時代のお話も、なんかちょっとわかるなと思うところがあって。ちょっと切ない部分にも気持ちが重なる、共感できるところが多くありました。
あと「霧尾ファンクラブ」の収録になると、普段の私の喋り方が、ちょっと藍美ちゃんに寄っちゃう気がしていました。詩音ちゃんと休憩時間に、お互いの好きなものや好きなことについて喋っているときを振り返ってみると、藍美ちゃんっぽくなっていて。あのスタジオに入って「霧尾ファンクラブ」を録るとなると、そんなスイッチが入っていたのかなと思います。
こうして藍美ちゃんと通じる部分があったので、演じる上での手助けになっていたのかなと思います。



































