
「皆さんの応援のおかげで遂に100巻という景色を観ることができます」──世界中に広がる自転車競技マンガの金字塔『弱虫ペダル』コミック100巻刊行記念! 渡辺 航先生ロングインタビュー【後編】
坂道以外のキャラの人気が高いのは、読者が「みんな坂道くん目線」だから
──『弱虫ペダル』ファンの方からの人気投票の結果を見て、上位に坂道がらみのシーンが少ないことが意外でした。この結果は坂道目線で描かれている本作ならではであり、全員が主人公という『弱虫ペダル』らしいかもしれませんね。
渡辺:それは僕も感じていて、読者の人はみんな、坂道くん目線なんですよね。だからキャラクターのことを話す時は、坂道くんから見た呼び方の「巻島さん」だし「鳴子くん」なんです。色々なキャラクターがいて、みんな主人公を通して関わっていく。ハブのような存在になれているのはいいことだなと思っています。
イベントなどで読者の方からサインを頼まれることがありますが、最初の10年くらいは坂道を描いたことは一度もありませんでした。もちろん書店さんやショップの方へのサイン色紙には坂道くんを描きますが、ファンの方とお会いしてサインを頼まれる時は、新開さんや荒北さんの絵を頼まれることが多くて。あと男性の方からは田所さんを頼まれることが多いです。「待宮も意外に人気があるんだな」とか思いながら描いていました。
たぶん坂道の絵を頼まれることがなかったのも、皆さんが坂道目線で読んでいるから。「自分のことはいいから!」みたいな感じだったのだと思います。最近は、みなさんやっと坂道くんを再認識してくれたのか、坂道くんのリクエストも多くなっています(笑)。
──いよいよコミックス100巻が5月8日に発売されます。見どころや注目ポイントを教えてください。
渡辺:100巻の表紙はこの取材の1週間前(取材は3月上旬に実施)に納品しました。最初はキャラクターがたくさん集合した表紙にしようかなと思いましたが、それはファンブックでよくやっているので、ファンブックと間違われたら嫌だなと(笑)。そして3人にするか4人にするかなど編集さんと打ち合わせを重ねた結果、この3人になりました。
100巻では坂道にとって最後のインターハイの2日目がスタートして、駆け引きあり、大きな決断ありと熱いレースが展開されますので、楽しみにしてください。
──ありがとうございます。今時計を見たら既に予定の取材時間を20分近く過ぎていました。申し訳ございません。聞きたいことを厳選したつもりだったのですが……。
渡辺:聞かれたら何でも話しますよ(笑)。『弱虫ペダル』を描くまでマンガがなかなか売れなかったので、こんなにお話を聞いていただけること、毎回ありがたく思っています。アニメや映画など、たくさんメディア化もしてもらって、「まさかこんなに『ペダル』の世界が広がっていくとは」と今も信じられません。
自転車イベントにもよく呼んでいただきますが、それも珍しいですよね。マンガ家が出演するのは自分が描いた作品メインというケースがほとんどのはずですし、自転車とマンガは一見関係ないように思えるし。でも自転車のイベントに呼んでいただいて、会場にも『ペダル』を読んでくださっている方がたくさんいらっしゃって。人生って何が起こるかわかりませんね。
──先生が『弱虫ペダル』の衣装を着て、イベントに登場することが当然のようになっているような気もしています。
渡辺:あの衣装を着ていないと誰なのかわかってもらえないかなと(笑)。
最初の頃はいろいろなイベントに行くたびに、ハコガクジャージを着たり、総北ジャージを着ていました。ある日「これは認識されていないな」と気付いたので、毎回総北ジャージに坂道くんのTシャツと同じ服装に決めたほうがいいなと思い、固定したんです。皆さんも僕の顔では作者だと判断できないと思うので、首から下の服装で判断して、声をかけてください(笑)。
──(笑)。では最後に『弱虫ペダル』ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
渡辺:作品を読んでくれる人がいないと連載を続けることはできません。皆さんの応援のおかげで遂に100巻という景色を観ることができます。本当にありがとうございます。
僕の予定ではマンガ家になって、ポンポンとヒット作を世に出して、順調なマンガ家生活を送る予定でしたが、現実は全然うまくいかなくて。色々な壁にぶち当たりまくりでした。『週刊少年ジャンプ』の読み切りに『ONE PIECE』の尾田(栄一郎)さんや『BLEACH』の久保(帯人)さんと一緒に掲載されたので、僕もあんな感じでデビューしていくんだろうなと思っていましたが、まったくそんなことはなくて。地中奥深くに潜って全然日の光に当たることもないまま、必死に描いていました。
やっとマンガ家になれても、マンガ家になることと売れることは全然別のことだと気付きました。マンガを一生懸命描いていたけど、なかなかみんなに読んでもらえなくて、何度も連載が終わって。みんなが読んでくれることがマンガ家を続けることに直結することをよくわかっているので、ここまで来られたことはとてもありがたいです。
そんな状況の中、連載がこんなに続いてコミックスの100巻が出せるなんて、まったく想像できるわけもありません。『弱虫ペダル』が始まる前に描いた作品のコミックスの最高冊数は5巻でした。『弱虫ペダル』と並行して描いていた『まじもじるるも』が最終的にシリーズ累計で20巻まで行きましたが、その時の『弱虫ペダル』はもう60巻まで発売されていました。
少年マンガでコミックスが100巻を超えているのは『こちら葛飾区亀有公園前派出所』『はじめの一歩』『名探偵コナン』『ONE PIECE』の4作品。『弱虫ペダル』が5作品目になると知った時もビックリしました。
たくさんの人が読んでくれてファンレターを送ってくれたり、イベントに足を運んでくれる方がいるのは本当にありがたいことです。このまま土を耕すように、おもしろいお話を紡いでいけたらと思っています。
今後も『弱虫ペダル』を気軽に楽しんでいただけたら幸せです。連載では現在、3度目のインターハイで激しくて、熱い闘いが繰り広げられていますが、今後もいろいろなキャラクターがガンガン活躍していきますので、楽しみにしながら読んでください。
【インタビュー:永井和幸】
『弱虫ペダル』100巻記念フェアinアニメイト
開催期間:2026年5月8日(金)~2026年5月31日(日)
開催場所:全国アニメイト(通販を含む)
フェア内容
期間中『弱虫ペダル』関連のグッズをご購入・ご予約内金1,100円(税込)以上、書籍をご購入1点毎にイラストカード(全1種)を1枚プレゼント!
特典内容
イラストカード(全1種)

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