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- まりも
- ゾロとONE PIECEを偏愛するフリーライター。アニメ、推し活、恋愛、結婚、睡眠など、幅広く執筆しています。

最終章に突入し、物語最大の謎であった「空白の100年」の片鱗が少しずつ見えはじめている『ONE PIECE』。驚きの事実が次々明かされていくなかでも、ベガパンクが命懸けで発信した「世界が海に沈む」という予言には、大きな衝撃が走りましたよね。
「これより話す事はあまりに信じ難く 失笑を買うかも知れない じゃが…皆には知っておく権利がある」「結論から話そうか…!!!」「この世界は…海に沈む!!!」(『ONE PIECE』第1113話より引用)
簡単に信じがたい話ではありますが、そもそもこの世界は「空白の100年」に、200mにも及ぶ海面上昇によって一度沈んだことがあるというのです。現在人々が暮らしているのは、当時沈まずに残ったかつての大陸の断片なのだそう。実際、現在のウォーターセブンやワノ国は、海に沈んだ町の上に新たな町を作るかたちで成り立っています。
ここまで判明してから作品を振り返ってみると、これまでにも海面上昇や水没への対策を思わせる描写がいくつも登場しているんです。
たとえば、数百年前に造られた巨船・方舟ノアの存在や、テキーラウルフで建設中の島と島を繋ぐ橋、権力を持つ天竜人が高台のマリージョアで暮らすことなどは、水害から逃れるために講じられた対策の一環と考えられています。
ちなみに、ラフテルで真実を知ったキャラクターたちのその後の行動も、沈みゆく世界を意識したものではないかと囁かれているのです。
まず、ロジャーは世界を大海賊時代へと導き船乗り人口を増やすことで、陸に取り残される人を減らそうとした。レイリーはコーティング屋に転身し、水位が上昇して波に飲まれても生き残れる手段を身につけた。クロッカスはラブーンの中に住むことで沈む心配のない住処を見つけた。
もちろんこれらは仮説ですが、確かにそういう見方もできますよね。
さらに、ウォーターセブンでは、アイスバーグが島ごと海に浮かべる計画を口にしていました。何度もアクア・ラグナの被害を受けている都市だからこそのアイディアですが、これも結果的に海に沈む世界を救う大きなカギとなる予感がします。
世界が海に沈むと聞いても、あまり現実味がないように感じてしまいます。しかし、じつは私たちが暮らす地球にも、今まさに水没が危惧される都市がいくつも存在し、『ONE PIECE』の世界と同じようにさまざまな対策が行われているのを知っていますか?
たとえば、イタリアにある有名な水の都・ヴェネツィア。ここは『ONE PIECE』のウォーターセブンのモデルになった都市で、アクア・ラグナのように、秋から冬にかけて「アクア・アルタ」と呼ばれる高潮が一時的に街の広範囲を浸水させてしまいます。そして近年、気候変動の影響で2100年までに大部分が水没してしまうと予想されているのです。実際、ヴェネツィアの地はこの1世紀で約25センチ沈下し、一方で海面は約30センチも上昇したと記録されています。
そこで、ヴェネツィアでは可動式の巨大な防波堤で街を浸水から守る「モーゼ計画」が進められ、完成した水門は最大3mの潮位上昇まで対応可能に。2020年の稼働開始以降、実際に高潮の被害軽減に役立っているといいます。稼働当初の報道によると、最大125センチにのぼると予想されていた高潮が、この可動式防波堤によって約70センチの水面上昇に抑えられたそうです。
また、青い海が美しいリゾート地として有名なモルディブでは、まさにアイスバーグが考えるような、島を海に浮かぶ都市化する「モルディブ・フローティング・シティ」計画が進行中です。
モルディブはインド洋にある島国で、約1200ものサンゴ礁の島々から成り立っています。その国土のうち80%が海抜1メートル未満であり、温暖化による海面上昇によって多くの島が水没してしまうと予想されています。すでに島々の90%で洪水が報告され、97%で海岸侵食が始まっているそう。
そんな水没の危機を救うためスタートしたのが、先述の「モルディブ・フローティング・シティ」。モルディブの首都・マレから10分ほどの距離に5000棟の浮遊式モジュールユニットを建設し、2万人が暮らせる水上都市にするというものです。2024年から入居者の募集が始まっており、2027年には都市全体が完成予定なんだとか。
まさに、アイスバーグのウォーターセブンを島ごと浮かべる計画を彷彿とさせる画期的アイディアですよね。この水上都市では家やレストラン、ショップが立ち並び、その間には運河が流れ、移動はボートで行われるそうで、景観もウォーターセブンに近しいものになりそうです。
そのほかにも、世界ではツバル、キリバス、上海、ジャカルタ、バンコク、マニラといった都市にも、海面上昇や地盤沈下による水没の危機が囁かれており、浮体式人工島の建設、巨大な防波堤の設置、都市の移動などの対策が行われています。
「この世界は…海に沈む!!!」ベガパンクの言葉は、『ONE PIECE』の世界だけでなく、私たちが直面している地球の現実への警鐘ともいえるかもしれません。
ルフィたちは沈みゆく世界をどう生き抜くのか。その姿のなかに、私たちの未来を守るヒントも見つかるかもしれません。
[文/まりも]