
『アイリス・オデッセイ』×『アクアリウムは踊らない』原作者対談 | 最初から仲良しだったら面白くない!? 少女同士の関係性を描く上で意識したこととは
2026年5月29日に、Steam向けに発売予定の合同会社イースニッドが手掛ける新作アドベンチャーゲーム『アイリス・オデッセイ パンドラの少女』。
現代の渋谷を舞台に、行方不明の兄を探す少女「風花(ふうか)」と、魔法使いの犯罪捜査官「アイリス」の二人が織りなす、絆と冒険の物語を描いたフルボイスのテキストアドベンチャーゲームで、フロンティアワークスのゲームブランド「FW Games」がプロモーション協力を行っています。
「FW Games」といえば、作者の橙々さんがたった1人で8年間をかけて作品を完成させ、大ヒットを記録したホラーゲーム『アクアリウムは踊らない』(以下、アクおど)のパブリッシングも担当。
今回は、そんな「FW Games」の縁で繋がった2つのアドベンチャーゲームを開発したお二人の対談が実現しました。
『Ib』や『魔女の家』と同じ「フリーゲーム」の棚に並びたかった
──まずは自己紹介をお願いします。
橙々さん(以下、橙々):ホラー嫌いのホラーゲーム作家として、個人でゲームを制作させていただいている橙々と申します。2024年2月にフリーゲーム『アクアリウムは踊らない』を発表して、昨年の8月にはNintendo Switch版として有料版をリリースさせていただきました。
太田一行さん(以下、太田):合同会社イースニッド代表の太田一行と申します。現在『アイリス・オデッセイ パンドラの少女』というゲームを作っておりまして、監督を務めています。
開発においては全体統括に加えて、シナリオとプログラミングを中心に見ています。新卒で株式会社ミクシィに入社し、エンジニア職として修行した後に独立しました。自分で独立してゲームを作るのは初めてで、いろいろ手探りで開発を進めさせていただいています。
──『アクおど』は80万ダウンロードを突破し、ドラマCDなど様々な展開がされています。最初に作られた時はここまでの規模や反響は想定していなかったのではないでしょうか?
橙々:一切想定していませんでした。正直、最初は1日に100ダウンロードくらいになればいいなと思っていたくらいだったんですよ。それが2日間で10万ダウンロードされたとGotcha Gotcha Gamesの担当の方(※1)から連絡が来た時には「ゼロを一桁間違えているのでは?」と返してしまったくらいでした(笑)。
その頃は商業的に売ろうとかは一切考えていなくて、もう完全に趣味の一環としてやっていたので、嬉しいというよりは、何が起こっているのかわからないという困惑の方が勝っていましたね。
※1 Steam版『アクアリウムは踊らない』はGotcha Gotcha Gamesから配信されている。
──どのあたりのタイミングで一気に盛り上がってきたと感じましたか?
橙々:完成版を発表するまではそこまで大きな波は感じておらず、じわじわ人気になっていった印象でした。ただ、完成版公開の1〜2日くらい前にネットニュースで「8年かけて作ったゲームがついに出る」と取り上げられて、その時に数万の「いいね」をいただいて初めてバズったんです。あれが注目していただいたきっかけだと思っていて、あの記事は運命的でした。本当にありがたかったです。
──昨今のインディーゲーム界隈では、個人開発でも低価格で有料販売するのが主流だと思いますが、あえてフリーゲームとして出すことに迷いはありませんでしたか?
橙々:検討はしましたが、迷いはなかったですね。元々私は『Ib』や『魔女の家』といった日本のフリーホラーゲーム文化が好きで、その「フリーゲーム」っていう棚に一緒に置いていただきたいという気持ちが強かったんです。少しでもお金をいただくと評価の基準も変わってきてしまいますし、「無料なのにこんなに面白い」という方向性に持っていきたいなと。
──太田さんは『アクおど』を実際にプレイされていかがでしたか?
太田:ほぼお一人で開発されたと伺っていたので、率直に言って「信じられない」というのが第一印象です。膨大なテキスト量や画像ファイルの量に驚くと同時に、それが1つの作品として見事にまとまっていて、素晴らしい名作だと感じました。
個人的には後半のマップデザインがキレキレで好きで、泳ぐ鯉や後半の駅舎など、どこか寂しさもあって、小学生の頃に遊んだ『MOTHER3』に感じるようなエモさがありました。ただ、謎解きはちょっと難しくて公式ページをずっと見てしまいましたが(笑)。
あと、自分はSwitchでボイス付きバージョンをプレイさせていただいたんですが、スーズ役の黒沢ともよさんのキャスティングが本当にハマってるなと思って。あのキャスティングの経緯とかもちょっと聞きたいです。
橙々:キャスティングについては、最初に私が「この方々でどうでしょう!」と希望をフロンティアワークスさんにご提案したんです。本当に皆さん有名な方々ばかりで、夢みたいなキャスティングだなと自分でも思っていたんですが……フロンティアワークスさんがすべて実現してくださって。あれには本当に感謝しています。
──『アイリス・オデッセイ』もフルボイスですが、キャスティングはどうだったのでしょうか?
太田:実は、私は今回アイリスを演じていただいた小原好美さんの大ファンでして……(笑)。「小原さんは出してほしいです」と最初にお伝えして、小原さんだけは最初に決まっていたような形でした。
ただ、どのキャラクターをお願いするかまでは決まっていなくて、その後にテープオーディションを行って制作会社さんと相談して決めたんですが、その時に改めてお声を聞いて、「アイリスを演じられるのは小原さんしかいない」と。
──小原さんのファンになったきっかけの作品はあるんでしょうか?
太田:『月がきれい』の頃からファンだったんですけど、とくに印象的なのが『Summer Pockets』ですね。
ただ、そのあたりの作品もそうなんですが、小原さんの演じるキャラクターって可愛らしい少女が多いので、ちょっと大人っぽいアイリスとは中間点をさがしてイメージを作る際には少し時間を作っていただきました。けど本当にプロフェッショナルな方なので、それも1時間くらいでもうほぼ方向性が固まっていましたね。






































