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『ガンバレ!中村くん!!』色へのこだわりと入学からの一年を13話で描くという構成の意図【インタビュー】

春アニメ『ガンバレ!中村くん!!』片岡裕貴プロデューサー×吉川貴哉アニメーションプロデューサーインタビュー|色へのこだわりと入学からの一年を13話で描くというシナリオ構成の意図

内気な男子高校生・中村くんの同級生・広瀬への“片想いをめぐる妄想と暴走”を、どこか懐かしい80~90'sタッチでコミカルに表現した『ガンバレ!中村くん!!』。本作のTVアニメが、2026年4月1日(水)より放送・配信中です。

アニメイトタイムズでは、アニメスタッフに制作秘話をお聞きするインタビュー連載を実施。第1回は片岡裕貴プロデューサーと吉川貴哉アニメーションプロデューサーに、アニメ化に至った経緯や絵作り・シナリオ・音楽でこだわった点についてお聞きしました。

 

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原作の横浜の回を見たときに、これを映像化したいと明確に思った

──おふたりは本作においてプロデューサーとクレジットされていますが、それぞれどのような役割を担っていますか?

片岡裕貴プロデューサー(以下、片岡):ざっくり言うと、僕がビジネスだったりお客さんに近い立場で作品の展開の仕方だったりを調整していくメーカープロデューサーという立場で、吉川さんはスタッフィングや、アニメーション映像をプロデュースする役割を担うアニメーションプロデューサーになります。僕たち以外にもプロデューサーは何人かいて、それぞれに役割があるという感じですね。

──本作のアニメ化を提案されたのも片岡さんだった?

片岡:そもそものきっかけは、本作の製作委員会に入っているCrunchyrollさんがリストアップされていた「世界展開したいアニメ化希望原作作品」のなかに『ガンバレ!中村くん!!』があったことです。それから、原作を調べていくうちに実際に北米・欧州で原作が注目されていることが分かり、(今回アニメ制作を担当している)ドライブの宮腰徹プロデューサーと中村千枝社長に提案に行きました。その後、「すごく原作が面白いので、楽しい映像になりそう」と盛り上がり、本作のアニメプロジェクトを動かしていくことになったんです。実制作の段階で吉川さんには参加していただいた形になります。

吉川貴哉アニメプロデューサー(以下、吉川):脚本と梅木監督の1話絵コンテがすでに完成している状態で自分は合流したのですが、これはおもしろい作品になるぞというワクワク感と自分が制作だったらなんとかいい作品にできるのではないかと思って自分がやった方が上手くいくと思います。とドライブに伝えました。

当時、ドライブの中村社長や宮腰Pは急にそんなことを言われてはびっくりしていたと思います。

──続いて、原作を読んだときの感想を教えてください。

吉川:いわゆるBLというジャンルに括られる作品ではあるものの、不思議と少女漫画を見ているような気持ちで読み進めていきました。

自分自身がBLというジャンルに触れてこなかったのですが、むしろそういう人に見てほしい作品だなと思いました。

片岡:基本的な軸はギャグテイストで描かれていてそれも面白いのですが、個人的には原作1巻の横浜に行く回の見開きを見たときに、映像化したいなと明確に思ったんです。ドラマチックなあのワンシーンを見て、これを映像で見たら感動するだろうし、キャラクターの心情が見ている方々も親しみやすいのではと感じて。この作品をアニメ化して、多くの方に届けたいと強く思いました。

 

アニメーターの方には最終的な色味を打ち合わせ段階で伝えていました

──今回、梅木葵さんが監督・脚本・キャラクターデザインを担当されていますが、梅木さんにオファーした理由を教えてください。

片岡:実はもともと梅木さんには、キャラクターデザインとして本作に関わっていただく予定だったんです。ただ、プリプロダクション(実制作に入る前の準備・企画段階)の段階で紆余曲折あるなかで、春泥先生のイラストや原作に思い入れがあって、制作の当初から関わってもらっている梅木さんに作品をコントロールしてもらうのがいいのではという話になり、改めて監督としてもオファーをしました。

吉川:冒頭で話した通り、僕が入ったときにはすでに梅木さんが監督をやることが決まっていて、梅木さんが描いた第1話の絵コンテも完成していたんです。それを見たときに、あまりにも素晴らしすぎて感動しました。その半面、監督・脚本・キャラクターデザインをやってもらうなかで、困ったことがあったら梅木さんに頼ろう・聞こうみたいな体制は良くないなと思い梅木さんに頼りきりにならないよう、まずは周りのスタッフを固めていくことにしました。

片岡:ビジュアル面で企画の方向性を示してくださった梅木さんには、本当に感謝しかないです。

──紆余曲折あって、いまの制作体制になったんですね。では、絵作りやシナリオ、音楽の面でこだわったこと、意識していた点を教えてください。まずは絵作りについて。

吉川:TVシリーズのよくある作り方としては、絵コンテが完成して、そこから作画の打ち合わせをして原画作業がスタートするんです。その後、原画作業から色が付き始めるまでに早くて2か月〜3ヶ月ほどがかかるのですが、その間、どんな完成画面になるか原画作業者は分からないことも多くて。ただ、本作は色彩が重要になると思ったので、原画作業をするアニメーターの方々に「最終的にはこういう完成画面にしたい」ということを先に伝えるべく、「カラースクリプト」という役割を置くことにしました。

──「カラースクリプト」という役割。

吉川:絵コンテがキャラクターの動きや構図などを原画さんに描いていただく指示書だとしたらカラースクリプトはその絵コンテの情報の密度をさらに上げる役割になります。

監督や演出の頭の中にある光や色のイメージを事前に共有しておくことで、みんなの共通認識が深まるメリットがあると感じました。

──先行して色の世界観を伝えることで、描き手の意識が変わる部分がある。

吉川:描く人の意識が少しだけ変わってくるというか、迷わないというのがあるかなと思います。あと、背景に関して、監督からのオーダーで手描きの雰囲気や筆で描いているようなムラをあえて出すような背景にしたいとイメージを頂いていたので、そういうのを一緒にやってくれそうなST.BLUEさんにお声がけしました。普段、日本のアニメで美術監督として参加したことは、おそらくあまりないんじゃないかなと。だから、ダメ元でのオファーではあったのですが、面白そうだと乗ってくれたんです。結果、思っていた以上の背景に仕上げてくださいました。

片岡:ST.BLUEさんにお声がけすることをはじめ、吉川さんからは色々なアイデアを出してもらったり、スタッフの方を紹介してもらったりしたんです。吉川さんに加わっていただいたことで、本作がより色づいた気がします。

吉川:そう言っていただけてよかったです!

 

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