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「おっさん剣聖II」ハヤブサフィルムインタビュー

「片田舎のおっさん、剣聖になるII」アニメーション制作・ハヤブサフィルムインタビュー|「ともすれば地味に映る立ち合いの中に、見た目以上のものを込めています」

昨年(2025年)に放送されたTVアニメ「片田舎のおっさん、剣聖になる」。第一期の配信プラットフォームが、2026年6月22日(月)より拡大されました。さらに、2026年7月8日(水)からは、第二期の「片田舎のおっさん、剣聖になるII」がいよいよ放送・配信開始となります。

そんな「おっさん剣聖」の第二期がスタートするタイミングにあわせて、本作の魅力を改めて主要スタッフ陣に伺う連載インタビューがスタートしました。第3回はアニメーション制作を担うハヤブサフィルムの別府洋一さんと藤川仁志さんにお話を伺いました。

作品の細かい世界観を表現する上での苦労話や、派手さはなくとも手に汗握る戦闘シーンを作り上げるためのこだわりなど、本作の絵作りの部分を細かく語ってくださいました。

第二期の大きな見どころになるベリルVSモルデアの戦闘シーンへのこだわりについても話題に上りましたので、これからご覧になる方はぜひご一読いただき、期待を膨らませていただければと思います。

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片田舎のおっさん、剣聖になるII
片田舎の剣術師範ベリル・ガーデナント。彼はいまや騎士団の特別指南役として、そして孤児の後見人として、首都での日々に馴染みつつあった。しかし、取り巻く環境はベリルに安穏を許さない。魔術の学究に勤しむ教育機関で。乗り越えるべき壁がそびえる故郷で。国境を臨む辺境伯領で。策謀渦巻く異国の地で。ベリルは剣士として、ひとりの人間として、避けることのできない新たな戦いに立ち向かう──作品名片田舎のおっさん、剣聖になるII放送形態TVアニメシリーズ片田舎のおっさん、剣聖になるスケジュール2026年7月8日(水)~テレビ朝日系全国24局ネット・BS朝日ほかキャストベリル・ガーデナント:平田広明アリューシア・シトラス:東山奈央スレナ・リサンデラ:上田瞳クルニ・クルーシエル:広瀬ゆうきフィッセル・ハーベラー:矢野妃菜喜ミュイ・フレイア:仲田ありさルーシー・ダイアモンド:斎藤千和ヘンブリッツ・ドラウト:石川界人モルデア・ガーデナント:内田直哉スタッフ原作:佐賀崎しげる 鍋島テツヒロ(SQEXノベル/スクウェア・エニックス刊)監督:鹿住朗生シリーズ構成:岡田邦彦キャラクターデザイン・総作画監督:早坂皐月副監督:古我望 川島勝コンセプトデザイン:島すず...

世界観を構築する上でのこだわり

──第一期から制作に携わられていたかと思います。改めて振り返って印象に残っていること、制作の上で苦労されていたことをお教えください。

別府洋一さん(以下、別府):ベリルをどう描くかが最も難しかったポイントです。常に控え目なので表情もそういった印象になるよう、常に修正し続けていました。行き過ぎると無表情になってしまうので、少し口元を緩くしてみたり、顔の皺がないと老け感が出ないので足してみたり。カッコよくなり過ぎないように、それでいて老けすぎにならないようその塩梅に苦心していました。

戦闘シーンも特徴的で、派手な立ち回りをする訳でもないし、劣勢に陥ることもよくある。そんな状況でも相手を観察して呼吸をあわせていくいぶし銀な戦い方で制していくので、そんなベリルの強さをアニメーションとしてどう伝えるかが非常に難しかったです。

バンバン派手なエフェクトが飛び交う戦闘シーンの作品がたくさんある中で、どうやったらこの作品の戦闘シーンを面白くできるのか。そして、どうやってベリルの強さを視聴者さんたちに納得してもらうのか。これは非常に難易度が高く、経験したことのないようなアクションシーンの制作だったと思っています。

──戦闘シーン中にベリルが相手を観察する描写を挟むことで、はらはらさせるようなところがありました。

別府:これは本当にカッコいいものになっているのだろうか、地味じゃないだろうかと様々な葛藤を抱えながらカットごとに調整しました。時にはタイミングが早すぎたり遅すぎたりしたので、ベリルの呼吸と視聴者さんの呼吸が合うように考えながら、アクションシーンは落としどころを探っていました。その結果として、ひとつひとつ、はっきりと今何をやっているのかがわかりやすい剣戟アクションに仕上がったと思っています。

──ベリルの老け感の部分についても伺いたいのですが、第一期では弟子たちと出会った時期によってはベリルの年齢感もまた違っていたと思います。このあたりの調整もあったのでしょうか?

別府:若かりし頃のベリルと今のベリルとでは、弟子たちの成長を感じるくらいしっかり老けさせたところがあります。その描き分けはしっかりしていますし、若かりし頃はまだ表情に夢や希望が溢れたはつらつとした印象があるんです。

今のベリルは剣の修業を続けつつ自分の実力について謙遜していて、年齢を常に意識しながらどう立ち回るのかを考えている。そういう雰囲気を漂わせるイメージで、大きく意識的に描き分けています。

──キャラクターの衣装や武器、それぞれの地域など背景設定の部分もしっかり特徴が出ていました。絵作りの面で第一期からこだわっていたことも伺えますか?

別府:原作ノベルでしっかり作り上げられた設定があるので、鍋島テツヒロ先生のイラストからデザインを踏襲させてもらいつつ、キャラクターデザイン・総作画監督の早坂皐月さんがアニメーション用に調整してくれました。もちろん作り込みの際に追加した設定もあるのですが、大体は原作からの拾い漏れがないよう忠実にやらせてもらっています。監修も非常に丁寧にやっていただけたので、一歩ずつ原作の佐賀崎しげる先生と積み上げられたのかなと思います。

──アニメで追加した設定はどんなところなのでしょうか?

藤川仁志さん(以下、藤川):ちょこちょこあったのがキャラクターたちの私服関係です。第一期だとベリルとアリューシアがデートするシーンなどがそれにあたります。演出上ちょっとした衣装替えをやりたいところだったんです。

この作品は時代背景のモデルを中世にしています。中世はまだ服を量産できないのでキャラクターたちの服装をコロコロ変えるのは避けました。だから気持ちとしては極力着替えさせたいのですが、あえて稽古着のままのシーンがあるんです。

一方で「偉い人と会うときや公の場はどう差別化するのか」、「プライベート時はどう差別化するのか」という話も出てきました。解決策として例えば同じ鎧姿でも帯剣させないことでプライベート感を出したりなど、そういった方法で演出しています。

お気づきの方もおられると思いますが、実はヘンブリッツはほとんど同じ服装で通しているんですよ。アリューシアはベリルとのデートシーンで着替えましたが、ヘンブリッツは着替えていません。

藤川:ヘンブリッツは割と頻繁に登場するのですが、衣装替えをしないことでキャラクターが出せたらと思いました。制約がある中で、どうやってその場面ごとに違いを出していくのかに頭を使っていましたね。

──アリューシアの騎士団長としての制服姿などは特徴的な衣装ですが、ああいったものをアニメで動かす上で難しい部分はあるのでしょうか?

別府:胸元が際どくなってしまったり、アップになってしまったり、お色気描写だと取られてしまいそうな瞬間を抑えめにすることですね。許される作品なら弊社としても全力で行くのですが、「おっさん剣聖」では抑えています。

作品的にもお色気で売っていくものではありませんが、鍋島先生のデザインの段階でかなり際どいものもあるので、そこはしっかり踏襲しつつ上品に作品の雰囲気に極力寄せる形で作業をしていました。

藤川:剣を使う時に重心が低くなるので、結果としてどうしても鼠径部や股間に目線が行ってしまうようなカットが出てきて、どう描くのか議論になったことがありましたね。その時はカメラアングルを調整したりキャラクターの膝で股間を隠しつつ達人の構えに見えるポーズを探ったりしました。大きくデザインを変更するという選択はしませんでした。

他には、わかりやすいパーツを目立つ場所に置くようにして、胸の谷間や鼠径部から視線を逸らしています。カメラが後ろに回った時にお尻が際どくなってしまう時は、マントで隠れるように工夫しています。

──原作サイドから絵作りの面での提案や要望はありましたか?

別府:派手なエフェクトが飛び交うような、非現実的な戦闘シーンは避けてほしいとのオーダーがありました。明確に人間ができる動きでという制約もありましたね。

藤川:人の頭を飛び越えるようなジャンプをするのはスレナたちで、ベリルは基本的にそういうことは避けています。後は魔術が存在する世界なので、そことの差別化ですね。剣術によるエフェクトか魔術によるエフェクトか分かるようにしています。例えばフィッセルが剣魔法を使う時は、剣に魔力を通すという工程を踏んでいます。剣を振ったらエフェクトが出るようなカットは、このような配慮をしております。

もうひとつは背景美術や世界観の設定の部分です。ガラスが高価という設定があるので、ガラス窓のある場所はかなり制限して、それ以外は木の窓になっています。建材も土や木材、石が主で、鉄も一部は使っていいのですが、やはり使う場所は選んでいます。

──制約の上で作品設定を作る際に苦労した部分は?

別府:制作で必要な資料にお金を使ったことでしょうか。特に当時の西洋ではどんな生活が営まれたのか、そこで用いられた小物はどんなものだったのか、それらを確認できる資料があまりにも少なくて。

ハヤブサフィルムとしても西洋の世界観を立ち上げからやるのが初めてだったので、そういった資料を揃えるところから始めました。インターネットで簡単に調べられる領域では足りず、資料のひとつとして高価な本もいくつか購入しています。

そのおかげもあって西洋の常識的なものとしてデザインにリアリティを持たせられました。海外からの評価でもこれは違うといった意見があまりなかったので、しっかりやった甲斐があったと思っています。

藤川:油やろうそくが今ほど安くない時代なので、照明が少ないところも特徴です。そうすると夕方や夜はもちろん、昼間でも画面が薄暗くなってしまうことがありました。そういった時に光源を確保する際は、窓を開け放って外からの光を入れて明るくしたり、夜になったら天井から照明をぶら下げるのではなく、ランタンをテーブルの上に置いたりしました。天井から吊るすタイプの照明は本作の方針として権威のある場所や、お金持ちの暮らす場所に限定しました。照明を何にするかで場所ごとの違いを演出しています。

(C)佐賀崎しげる・鍋島テツヒロ/ SQUARE ENIX・ 「片田舎のおっさん、剣聖になるII」製作委員会
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