
先輩ゼロの環境から始まり、今は後輩の道標へ。「好き」の力で第一線を20年走り続ける豊崎愛生さんが、初の講師体験で見つめた“未来の仲間たち”とミュージックレインの未来──『OPALIS』特別ワークショップを終えた豊崎さんに独占インタビュー
好きな気持ちって、最強なんです
──自分の責任は自分で取る、覚悟のある考え方ですし、重みのある姿勢だなと思います。そういう考え方があったからこその20年間ですよね。豊崎さんの覚悟を支えてきたモチベーションについてもお聞きしたいです。
豊崎:モチベーションは、もう本当にシンプルで。(お芝居は)好きなことなんですよね。好きだから、というだけなんです(笑)。
私、人が好きなんですよ。人と話すのが好きだし、もちろんお芝居も好きだし、アニメも好き。何よりも、皆で一つの作品を作るということが好きなんです。
──ワークショップの中でも「作品づくりはチーム」とおっしゃっていました。
豊崎:作品の一部になれている感覚がすごく楽しいんですよね。そこにやりがいを感じるし、「好きこそ物の上手なれ」じゃないですけれど、「好きである」ということが一番強いなと思います。もちろん落ち込むこともあるし、うまくいかないこともあります。でも、嫌いになるところまではいかないんですよね。
というより、「これ以上やると嫌いになっちゃうかもな」と思ったら、一旦やめるというか、休むというか、少し距離を置くようにする。それはこの20年の中で自然とやってきたことかもしれません。
ただ、この仕事に関しては、「これ以上やったら嫌いになっちゃう」という経験はあまりないですね。
── 例えば「このキャラもう無理!」みたいな(笑)。
豊崎:一度もないです(笑)。たぶん、それって根本的に好きだからなんだろうなと思います。やっぱり好きな気持ちって最強なんです!
長くやっていると、いろんな人にいろんなことを言われます。評価されたり、比べられたりもするし、容姿のことを言われたり、スキルについて「下手だ」「上手だ」と言われたりもします。
本当にいろんなことを言われるんですけれど、それでも好きだったから続いたのかなと思います。これから俳優や声優を目指す人たちにも「好きでいられること」、そして「好きなことを仕事にすること」には、こだわってほしいなと思います。
逆に「なんか違うな」と思ったら、その道は違うのかもしれない。別の場所で輝ける可能性だってあると思うんです。
──好きになることも大事ですが、好きなことを見つけるのも大切ですよね。
豊崎:「どう考えてもこれをやっている時が一番熱狂できる」って思えるものがあるなら、それを仕事にするのが一番続くし、楽しいと思うんです。だから、それを目指してほしいなと思います。夢物語だし、甘い考え方だと思われるかもしれませんが。
声優じゃない友達と話してもそう思うんですよ。それぞれ会社で働いていたり、全然違う職種だったりしますが、長く続けている人って、話しているとやっぱり楽しそうなんですよね。なんだかんだ言いながら、その仕事が好きなんだろうなと思います。
──「OPALIS」に参加される方々にも、その「好き」という気持ちを大事にしながら参加してほしいと。
豊崎:もちろんです。お芝居が好きというのもそうなんですけど、アニメやゲームが好きであったり。ちなみに、私は事務所に入った時、一切お芝居をしたことがなかったんです。
ミュージックレインに入ってから、「あえいうえおあお」みたいな滑舌練習から始めて(笑)。本当にいろんな先生や先輩方から、今お話したようなマインドとか、演じることの楽しさを教えてもらったんです。
お芝居が未経験だったとしても、「アニメが好きだな」とか、それこそ「うちの事務所の役者さんが好きだな」とか、「この人と仕事したいな」とか、そういう気持ちがすごく大事だと思うんです。
なので、あまり気負わずに、「好きだから受けました」で良い! それが一番の理由だなって私たちも分かっているので。そういう気持ちで飛び込んでもらえたらいいのかなと思っています。
頼もしい後輩たちから学ぶこと
──ちなみに、20年間活動される中で、TrySailやDayRe:、最近はミュージックレイン4期生と、後輩の方々もたくさん増えていらっしゃいます。豊崎さんは後輩の若い世代から影響を受けたり、学ぶことはあるのでしょうか?
豊崎:もう、めちゃくちゃあります。日々、私の方が学ばせてもらっています、本当に(笑)。
今日のワークショップもそうですけど、逆に私の方が、夢を持ったキラキラした真っ直ぐさを学ばせてもらったというか。日々感動して、尊敬するし、「すごいな」と思ったこともたくさんです。
それこそ事務所の後輩たちに関しては、悩んでいることも聞いていたりしますし、初めて舞台に立った時とか、初めて生配信に出た時とか、そういう頃から見て知っている分、学ばせてもらうことは本当に多いです。
──同じ事務所で、近くで見ているとまた違った見え方がありそうです。
豊崎:TrySailの3人に関して言うと、最近、DayRe:の曲を(雨宮)天ちゃんが作曲して、ナンちゃん(夏川)が作詞して、振り付けを(麻倉)ももちゃんが担当していたりするんです。
YouTubeで公開されたドキュメンタリーやメイキング映像を見ても、皆がどんどん頼もしくなっているのはすごく感じます。やっぱりそれぞれ、私たちがデビューした時とは全然違う時代にデビューして、いろんな現場を経験しているので、育ち方が違うというか。
それこそ去年、TrySailの武道館ライブ(※TrySail 10周年出航ライブ “FlagShip” in 日本武道館)を見に行かせていただいた時に、初期からずっと関わっているプロデューサーさんと「すごく良かったですね」という話をしたんです。
その時に、「スフィアの4人とは全然違う育ち方をした3人だから、ステージでのパフォーマンスや表現も全然違うんだよ」と言われて。まさにその通りだなと思いました。
やっぱりそこには、3人の良さや個性、それまでの歴史というか、お客さんと一緒に紡いできたものも含めて、全部詰まっていると思って、すごく感動したんです。
DayRe:もまた、特化している部分が違います。彼女たちの楽曲って、すごく振り付けが難しくて、5人じゃないと成立しないフォーメーションだったり、5人だからできる表現方法やダンスが、パフォーマンスとしてたくさんあるんです。
そういうところを見ていると、自分とは違う方向性の努力をすごく積み重ねてきたんだろうなって、めちゃくちゃ感じます。
──違う良さもありながら、芯の部分で受け継がれていくものがあるというのは、見ていてとても美しいなと思います。そのブランド、伝統というか、「ミュージックレインらしさ」みたいなものを、1期生として土台を作ったのは豊崎さんたちですよね。
豊崎:いやいや、本当に周りの皆さんのおかげでしたし、私たち4人は、わけも分からないまま、ただ目の前のことを一生懸命やっていただけなんです(笑)。
時代によって、求められているものも違うし、表現の仕方とか、お客さんのノリみたいなものも全然違うんですよね。だから、きっとスフィアにはスフィアの良さがどこかにあって、それはもしかしたら後輩たちには出せないのかもしれない。
でも逆に、私たちが絶対に到達できないところまで行って、その景色を見せてくれるのが後輩たちだったりもするので。イメージとしては、いろんな方向に矢印が伸びている感じというか。
事務所として、そういう多角的な、いろんな側面を持った事務所になれたらいいのかなって思っています。それはスフィアやTrySailみたいなユニットの話だけじゃなくて、役者個人としてもそうなんです。
唯一無二な「ミュージックレイン」に!
──豊崎さんはどのような矢印、方向性を考えているのでしょうか。
豊崎:私は、超絶バイプレイヤーみたいな感じになりたいんですよ。夢ですね。
同期で言うと、とまっちゃんは、ヒロインや主人公を演じる星の下に生まれている人だなって思うんです。そうやって真ん中に立つ役をどんどん演じて、道を切り開いていく人もいれば、バイプレイヤーもいて。吹き替えの現場が得意な人もいて、みたいにいろんな方向へ矢印が伸びていて、いろんな側面のある事務所になればいいなと思っています。
そういう意味では、今のミュージックレインは、まだまだ足りていないというか、もっと伸ばせるところもあるのかな?なんて、個人的には思っていて。
──と言いますと?
豊崎:「OPALIS」のオーディションって性別の制限はないんです。決して選考に関わることではないんですけれど、うちの事務所って男性声優が一人もいないんですよね。男性キャストが多く出演する作品の現場は誰も経験していないし、そういう現場特有のルールや空気感も分からない。分かりやすいところで言えば、そういうところですよね。
だから、もう少しいろんな側面を持った事務所になれたら、今後もっと面白くなるんじゃないかなって思っています。
──戦国時代を統一できるかもしれないですね。
豊崎:え〜! できるかなぁ(笑)。もちろん、業界を統一するとか、そういう野望があるわけではないんですけどね(笑)。
でも、さっき言ったように会社としても、唯一無二の事務所でありたいという気持ちはすごくあります! 少数であることの強みだったり、スタッフさんが一人ひとりとしっかり向き合ってくれたり。
「この人はこういうものが好き」「こういう部分を伸ばしたい」「こういうことをやらせてみたい」とか。本人の意見もちゃんと汲み取りながら、一緒に仕事をしてくれるチームなんです。
だから、そういう部分も含めて磨かれていって、「ミュージックレインで仕事がしたい」と思ってもらえるような場所になっていけたら嬉しいなと思います。
──会社としての唯一無二さ。それもまた考えると複雑で難しそうですね。
豊崎:実は私自身も最近考えていて、まだ答えは出ていないんですけどね。例えば、「この事務所はナレーションの仕事が多い」とか、「この事務所はこういう作品が強い」とか。
極端な話ですけど、「ナレーションと言えばここだよね」とか、「吹き替えをやりたいならこの事務所に入りたいよね」とか。今から俳優さんや声優さんを目指す人って、事務所を選ぶ時にそういう視点も持つと思うんですよね。
──なるほど。どういう仕事ができるかで、所属したい事務所も変わってくるというか。
豊崎:そうなんです。だから、「ミュージックレインの強みって何だろう」と私もすごく考えるんですよ。
少数であることの強みもありますし、ソニーミュージックグループの会社なので、音楽というものをすごく大事にしていて、常に音楽とつながりながら仕事ができる環境がある。それもひとつの特徴だと思います。
今回の「OPALIS」でも掲げている「ハイブリッド育成」という考え方もありますしね。私の時代はオーディション名になぞらえて「スーパー声優」でしたが……(笑)。
──(笑)。
豊崎:もう「スーパー声優(笑)」ですよ! 当時も先輩方から「スーパー声優なんだからできるだろ!(笑)」ってめちゃめちゃイジられて、「やめてくださいよ!」ってツッコみながら(笑)。今回は「ハイブリッド声優」になるのかな?
──「ハイブリッドじゃん!」ってイジることもできると(笑)。
豊崎:入ってきた子にそうやってウザ絡みしちゃおうかな!(笑) でも、音楽と声優と俳優とって、そういうボーダーラインを設けずに、いろんな活動ができるのが、やっぱりミュージックレインの面白いところでもあります。
そういう意味でも、少数であることに加えて、マルチな活動ができるというのは事務所の強みなのかもしれません。
──そして、「OPALIS」を通して、さらに後輩が増えるかもしれません。
豊崎:後輩は本当に増えてほしいです! ただ、やっぱりミュージックレインとしては少数であることの良さもありますよね。
一人ひとりの人柄をちゃんと理解した上で、スタッフさんも含めて、密にコミュニケーションを取りながらマネジメントできる環境は、すごく大事だと思うんですよね。だから、「有望だから100人一気に増えます!」となった場合、また難しいところもあって。
しかも、その人の人生を一緒に背負うことになるので。簡単には決められないし、責任のあることだなと。
うちの事務所はこれまでもずっとオーディションを通して人を迎えてきましたし、それはやっぱり、ちゃんと一人ひとりと向き合いたいという考えがあるからなんだと思います。
だからこそ、今回の「OPALIS」も、その誰かを見つけるための場なんですよね。できるだけ、たくさんの方に応募していただけたら嬉しいなと思っています。
















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