
「視聴後、ちょっと幸せな気分を感じていただけたら幸いです」──『グロウアップショウ ~ひまわりのサーカス団~』スタッフインタビュー企画「グロウアップショウ、クローズアップしよう!」監督・亀井幹太さん
アニプレックスとA-1 Pictures / Psyde Kick Studioによる新作オリジナルアニメーション『グロウアップショウ ~ひまわりのサーカス団~』が、毎週土曜日24:00よりTOKYO MX/BS11ほかにて放送中です。
本作の舞台は、サーカスが娯楽の中心として人々の生活に溶け込んでいる、昭和30年代ごろの高度経済成長期真っ只中の日本。天才サーカス少女・鶴巻瑞佳が万年金欠の弱小サーカス団・ひまわりサーカスに、とある事情から協力することになり、物語が動き始めます。
アニメイトタイムズでは、本作の魅力に迫るインタビュー企画を実施中。スタッフのみなさんにお話を聞く「グロウアップショウ、クローズアップしよう!」第1回目は監督・亀井幹太さんのテキストインタビューをお届けします。
「いじっていいキャラ」としてのコントロール
──本作のシナリオ会議ではどのようなことを話し合われましたか?
監督・亀井幹太さん(以下、亀井):監督の打診をいただいたときには、全話の構成が出来上がっていました。時代設定も違いましたし、内容も本作とは別もの。色々調整できるなら、という事でお請けすることに。「深崎暮人デザインのキャラクターがサーカスをやる」というコンセプトを残して、刷新することになりました。
会議で様々な意見を汲み上げて、それを元にシナリオを再構成してもらいました。ただ、何度も立ち返り、話数を戻って再調整を繰り返したため、いびつになってしまった部分の修正には苦労しました。
時代ですが、なんとなく「大正ロマンはやめよう」ということになり、日本が活気に満ちた時代として高度経済成長期あたりに設定しました。ですがそこも厳密ではなく、おいしいところだけを拝借して、という感じでかなりおおざっぱです。さらにキャラクター設定上、ある程度の説得力を持たせる必要がありました。そのために「戦後」を選択しましたが、そこは深追いせず楽しい映像にしよう、と。
女の子たちがサーカスを通して成長していく姿にフォーカスし、わかりやすく、視聴者にあまりストレスをかけないよう注意しました。
──キャラクター原案の深崎暮人さんとは、どのようなやり取りがあったのでしょうか。また原案を見たときの率直な感想を教えてください。
亀井:深崎さんの絵には品があり、さわやかで豊富な色使いが好きです。
企画として深崎暮人キャラクター原案という前提がありましたので、私に話が来た時にはデザインラフがありました。こちらからデザインを注文することはありませんが、瑞佳の髪色については深崎さんと話した記憶があります。ご本人も悩まれていたようなので。内容的に大人数なので随分大変な仕事だなぁ、と他人事みたいな感じでした。
衣装設定の段階で、シナリオでの役柄を変更したものがあります。これは自分の方でも「こっちのデザインの方がかわいい。絵コンテ時に役柄変更して話を再構成して描きますので、そのままで進めてください」と。結果、絵コンテ時に大変苦労することになってしまいました。
──映像面でこだわったことを教えてください。
亀井:空中ブランコが演目のメインなので、そこに注力。A-1 Pictures / Psyde Kick StudioのCG班とアクション監修の稲田(正輝)さん、助監督の髙橋(さつき)さんの尽力のお陰で素晴らしいアニメーションになりました。画面構成やセリフ回しなどで視聴者に飽きられないような工夫、シリアスとコメディのバランスには細心の注意を払い、楽しく観られる映像を目指しました。
美術に関しては、時代考証の山田(順子)さんの意見を頂きつつ、その時代に生きていなくても、どこか懐かしさを感じる空気感を大事に描いてもらいました。美術監督の橋本(巧)さんのおかげで、温かみのあるタッチと色彩の絵になりました。キャラクター作品ではあるのですが、背景の見せ場カットを作ることで世界観により深みが出たのではないでしょうか。
あ、あと都心は美術も作画も非常に重い作業になるので、シナリオ段階から逃げてます。
──インタビュー連載第1回、野田さんと黒崎さんの対談でも、主人公・鶴巻瑞佳について、「尖っている」というお話がありました。そんな瑞佳を描く際のこだわりを教えてください。また「空気が読めない」という性格を描くうえで気を付けたことはありますか?
亀井:深崎デザインということで「どこまで崩すか」は最初にちょっとだけ考えました。ですが、監督させていただいた『冴えカノ(『冴えない彼女の育て方』)』という作品に出てくる(澤村・スペンサー・)英梨々という女の子が、原作イラストでもコロコロと豊かな表情を見せるので、その路線でいこうと決めました。
所々の表現には、とあるアニメーターに「ネタが昭和(のアニメみたいな表現)だなぁ」としみじみ言われましたがね。まぁ、監督は昭和生まれのおじさんなのでいいでしょう。
空気を読めないキャラクターというのは扱いが難しくて、視聴者からのヘイトを溜めやすい。「このキャラむかつくからもう観たくない」となると厳しい。一話の瑞佳に関しては、役者の演技も含めてキャラクターデザイン・総作画監督の牧野(和俊)さんも気にしていました。なので、瑞佳はちょこちょこ落としてやることで「この子はいじっていいキャラ」として定着できるようにコントロールしています。
全キャラクターのNG表現として「漫符汗禁止、物理汗はOK」。それでも表情だけで表現することに問題が出ることもなく、よかったと思います。この件を受けて、牧野さんが『トムとジェリー』を参考に瑞佳の多彩な表情を設定してくれました。
せっかくの設定を自分の方でうまく使うことができずに申し訳ない。
──ひまわりサーカスの花形・川澄桜翔についてはいかがでしょうか。
亀井:瑞佳の天才肌に対して桜翔は秀才タイプ。ペアなのでその対比は必要と思いつつ、結果的にけっこう天然で空回りが多く瑞佳のこと言えないなって作りになりました。
気丈に振る舞いつつ、ちょっとしたことで16歳の女の子がでてくる、そんな愛らしいキャラクターとして扱いました。空中ブランコのフライヤーという最も目立つ演技担当ですので、女性ならではのしなやかさ、華やかさを感じてもらえるように動きにはこだわりがあります。自分のなかでは桜翔に中々不幸な設定がありますが、それは映像には出ません。





























