
「これは僕自身の作曲家としてのエゴかもしれません」音楽家としての“核”──音楽プロジェクト・Sizuk 2nd Album「iller」リリース記念 俊龍×AYAME(from AliA)対談インタビュー
「『本気(マジ)で行こう』みたいな感じです(笑)」
──アルバム収録楽曲についてもお聞かせください。「Blue Dilemma」は前作「es」のボーナストラックですが、今回はAYAMEさんバージョンとしての収録となります。レコーディングはいかがでしたか?
AYAME:かなり緊張感がありました。というのもSizukとして初めてカバーで歌わせていただいた楽曲だったんです。茅原実里さんの歌い方にどこまで寄せるべきか悩みながらレコーディングに臨んだのですが、俊龍さんが「自分らしく歌っていいよ」と言ってくださって。ただ、自分が大人びすぎてしまうと楽曲とのギャップが生まれないかとも考えました。
歌詞の中に共感できる部分もありつつ、どこか「背伸びしている感」があるのもまた自分らしさなのかなとレコーディング中に気づいたんです。ありのままの自分と、少し背伸びしている自分、そのどちらも自分んだと肯定しながら歌うことを強く意識しました。力強い楽曲ですが、その中にSizukらしい美しさも共存しているので、そこでの戦いもありました。「Sizukとしての美しさをどう表現するか」に悩んでいた時期でもあったので「Blue Dilemma」にはその葛藤が良い形で表れているなと感じます。
俊龍:ZAQさんの歌詞自体が「これってどうなの?」と自問自答を繰り返すような世界観なので、そのモードに入り込めばノリやすい曲かもね。
──2曲目の「君の知らないこと」は、以前インタビューにお答えいただいた楽曲でもあります。
俊龍:アルバムの曲順として並べてみると「君の知らないこと」は格好いい楽曲たちの中で少し立ち位置が変わる曲になりましたね。背中を押してくれるような要素もあるから。
──この曲はフックがあって印象に残るなと思っていました。ボーカルとしてはどのような意識だったのでしょうか。
AYAME:この楽曲もタイアップ作品のアニメ(TVアニメ『中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。』)の印象が強いです。あの不思議な世界観が絶妙で……。
俊龍:時代設定として、戦後間もないころのような時代設定だったので、楽曲を作る際もアーバンな雰囲気ではなく、まだ道も舗装されていないような土っぽさや砂っぽさを意識しました。一方で学生たちは前向きに青春を謳歌している。そこへミステリーの要素が絡んできて。その空気感は自分にとってトライアルでした。
──歌入れの際に特に意識された点などはありますか?
AYAME:楽曲の中に明確なコントラストがあるんです。サビは主人公の成長していく気持ちや「中禅寺先生はどんな気持ちなんだろう?」という心情に寄り添う面がある一方で、〈暗い 暗い 夜〉などにはミステリアスな雰囲気が漂っています。その二面性のコントラストのつけ方はすごく意識したポイントです。
──「Daybreak」はTVアニメ『結婚指輪物語Ⅱ』のオープニング主題歌となっています。「オープニングテーマ」として楽曲を提供される際、俊龍さんが特に意識されることはありますか?
俊龍:「本気(マジ)で行こう」みたいな感じです(笑)。
AYAME:いやいや、全曲本気なんですけどね!(笑)
──(笑)。
俊龍:この曲はサビのフレーズ……その2小節、4小節を自分の中から引きずり出すのに、かなりエネルギーを使いました。Sizukのファンの方をはじめ、僕の作る「格好いい楽曲」を聴いてくださるみなさんは「俊龍ならこう来るだろう」という期待を持ってくださっています。その「らしさ」は大切にしつつも「想定内だな」と思われるのは自分としても好きじゃなくて(笑)。ファンのみなさんの期待をさらに超えていこうという強い意志を持って制作しました。
──そうしたクリエイティブの熱量があるからこそだと思うのですが、特にブレス(息継ぎ)が大変そうだなと感じていました。
AYAME:ブレスのポイント自体は、練習を重ねればなんとかなるんです(笑)。
──へぇ!
AYAME:身体で覚えてしまえばスムーズにいくのですが、やはりライブとなると……。今年の頭にもライブがありましたが、本番でテンションが上がってしまうと、技術的なコントロールよりも熱量だけで突っ走ってしまいそうになるんです。俊龍さんの楽曲は、そういうときに自分のフィジカルの限界がすぐにバレちゃうといいますか。だからこそ、冷静な熱さと、その瞬間の楽しさを自分の中で戦わせなければいけなくて。
「Daybreak」「Dystopia」のような楽曲は特に、理性との戦いです。楽曲は激しく焚きつけるものなので、その中でいかに冷静さを保って戦えるか、という部分に気をつけています。
俊龍:一応、自分でも口ずさみながらメロディーを作っているので、決して無理強いを楽しんでいるわけではないんですよ(笑)。
AYAME:そうですよ! 俊龍さんはかなり寄り添ってくださいます!(笑) 本当に!
──(笑)。AYAMEさんのライブを拝見させていただいたことがあるのですが、あのアツさに圧倒されました。
俊龍:簡単な言葉で言うと「スイッチが入る」だと思うのですが、それとはまた別の何かがありますよね。
AYAME:嬉しい……!
俊龍:これまで生演奏でステージを作ってきたという背景も関係していると思うんです。リハーサルや本番を通じて、様々なミュージシャンの方々と知らず知らずのうちに音の対話を重ねてこられたことも、パフォーマンスに活きているのではないかと思います。
──「Gliding Claw」は作詞に畑亜貴さん、編曲に白戸佑輔さんという、非常に豪華なクリエイター陣との組み合わせです。
俊龍:この楽曲は、タイアップ作品(TVアニメ『転生したらドラゴンの卵だった』)の主人公であるドラゴンの生き様にスポットを当てています。原作のコミックを読ませていただいたのですが、最初は可愛い姿のドラゴンであるものの、どこかダンディで格好良く、渋さや我慢強さを持っているなと感じていました。理不尽に人間に攻撃された時も、ただ復讐に駆られるのではなく、前向きに良い解決策を見つけようとする。孤独でありながらも前向きに進んでいく姿にグッときていて、その精神に寄り添った楽曲にしたいと考えていました。単に勢いのある押し出し感だけではなく、コード進行なども……オシャレというより少し玄人めな感覚で作ろうかなと思っていて。
──アレンジを手掛けられた白戸さんへは、俊龍さんから直々にご指名されたのですか?
俊龍:そうです。「es」では、Kotohaさんに歌っていただいた「夏を呼ぶ声」という爽やかな夏の青春ソングを白戸さんに編曲していただきました。今回は格好いい系統の楽曲を白戸さんが手掛けたらどうなるんだろう、とオファーさせていただきました。
──ボーカル面では途中にラップパートも登場しますが、歌ってみていかがでしたか?
AYAME:ラップパートは、自分を鼓舞する「個との戦い」のような力強い鼓動の動きを表現できればいいなと思って臨みました。ただ、実は私はこれまでラップというジャンルをほとんどやってこなかったんです。
俊龍:あ、そうだったんだ!
AYAME:メロディーの中で早口になる部分や、ポエトリーリーディングのようなアプローチは好きでよくやっていたのですが、純粋なラップは意外と未経験で。どう歌うべきかすごく悩みました。仮歌のデモ音源を聴き込みすぎるとそちらに引っ張られてしまうタイプなので、自分らしさをどう出すかという試行錯誤がありました。




























