
「瑞佳は一言で言うと『大事なものが欠けた子』なんです」──『グロウアップショウ ~ひまわりのサーカス団~』スタッフインタビュー企画「グロウアップショウ、クローズアップしよう!」シリーズ構成・菊池たけしさん
アニプレックスとA-1 Pictures / Psyde Kick Studioによる新作オリジナルアニメーション『グロウアップショウ ~ひまわりのサーカス団~』が、毎週土曜日24:00よりTOKYO MX/BS11ほかにて放送中です。
本作の舞台は、サーカスが娯楽の中心として人々の生活に溶け込んでいる、昭和30年代ごろの高度経済成長期真っ只中の日本。天才サーカス少女・鶴巻瑞佳が万年金欠の弱小サーカス団・ひまわりサーカスに、とある事情から協力することになり、物語が動き始めます。
アニメイトタイムズでは、本作の魅力に迫るインタビュー企画を実施中。スタッフのみなさんにお話を聞く「グロウアップショウ、クローズアップしよう!」の第3回目は、シリーズ構成担当・菊池たけしさんのインタビューをお届けします。
サーカスのアニメは既に名作があるからプレッシャーを感じました
── 今回、どのような経緯でシリーズ構成のオファーがありましたか?
シリーズ構成・菊池たけしさん(以下、菊池):(Tales&Co.株式会社の)萩原 猛さんという方が仲介してくださったんです。ある日、萩原さんに飲み会に誘われたんですよ。その場には、本作のチーフプロデューサーである柏田真一郎さんもいらっしゃって。子どもの頃から歴史や軍艦が好きだった私にとって柏田さんは、あの『ハイスクール・フリート』を担当したプロデューサー。半分酔った勢いもあって、その場でいろいろと熱く語ってしまいました(笑)。
── なんと!
菊池:その後、萩原さんから「アニメのシナリオ、シリーズ構成をやりませんか?」というお誘いがあって。後から聞いた話なのですが、そもそも飲み会も、実は柏田さんに私を紹介する意味合いもあったらしいんです。あんな醜態をさらしておきながら声をかけていただけるなんて、ありがたい限りで。「お願いします」と即答しました。
── オファーを受けたときは、概要や設定などはどの程度ありましたか?
菊池:それが、まったくない状態で。文字通り1からのスタートでした。企画が立ち上がった段階では、柏田さんと萩原さんと私の3人でいろいろと話し合っていたのですが、柏田さんがあるとき、「菊池さん、サーカスできませんか?」と提案されて。私はそれまでファンタジーや現代異能……ほぼバトルものばかり書いていて、サーカスはろくに知らなかったんです。その提案には「よりによってサーカスか!?」と緊張しました(笑)。
── よりによって? 緊張?
菊池:サーカスといえば『カレイドスター』という名作があるじゃないですか。古い話ですが、私が作ったTRPG『ナイトウィザード』をアニメにしていただいたことがありまして、その時に1話だけ脚本を書かせてもらいました。そのときにコンテを描いてくださったのが、『カレイドスター』の原案・監督の佐藤順一さんだったんです。佐藤さんのコンテを見たとき、足の動きだけでキャラクターの感情が見えて。コンテがすご過ぎて、冗談じゃなくのけぞり……尊敬するようになりまして(笑)。
── なるほど。
菊池:さらに後年、『ReVdol!』というバーチャルアイドルプロジェクト企画にもシナリオなどで関わっていたのですが、そのプロジェクトで制作したアニメを手がけていたのが、『カレイドスター 新たなる翼』の監督・平池芳正さんだったんです。平池さんからはアニメ脚本の基本や、絵の見せ方などを学ばせていただきました。
── 『カレイドスター』で監督を務めていたお二人と縁があったのですね。
菊池:そうなんです。「あのお二人に同ジャンルで挑むのか……っ」と、気が引き締まりましたよ(笑)。
企画が発足した段階では、近未来が舞台だった
── プレッシャーを感じながらのスタートだったとのことですが、実際にどのようにシリーズを作り上げたのでしょうか。
菊池:「女の子たちでサーカス」って方向性をいただいて、そこで私がやりたいと思ったのが「女の子たちのスポコン」でした。バトルはなくとも、別の形で「戦い」を書きたかったんです。でも、サーカスって基本的に競い合うようなものではないじゃないですか。で、少し考えて……サーカスが世界中で大流行し、高校野球のようにサーカス団同士が競い合う大きな大会——「キルクスコレクション」があるって世界にしよう! 多くのサーカス団がその出場を目指している——そんな世界観に行き着きました。
── 世界観から作っていったのですね。
菊池:世界観から、というのは間違ってないですが、キャラと物語も並走ですかね(笑)。私は何十年もTRPGを仕事で作ってきたのですが、TRPGの世界設定って「どんなキャラクターにどう動いてもらうか」から逆算して設計するものでして。本作も、彼女たちの戦いが成立するように世界を組んでいきました。世界観に凝ったり伏線を張ったりするのが大好きなので、楽しい作業でした。
先ほどもお話ししましたが、企画が始動したばかりの頃はサーカスについてろくに知識がなくて。ただ、家族のようなどこかの国の小さな一座が、馬車で移動しながら各地を巡業して暮らしている──そんなドキュメンタリーをどこかで見た記憶があったんです。日本各地を移動しながら巡業する一座、という本作の骨格を思いつきました。
── そうして、いまの「ひまわりサーカス」につながっていくわけですね。時代設定についてはいつごろ決まったのですか?
菊池:時代設定については紆余曲折あって。実は企画が発足した段階では、近未来が舞台だったんですよ。
というのも、現代そのままだと電力や交通のインフラが整いすぎていて、イメージした移動サーカスの画と合わない。じゃあ少し未来にして、何らかの理由でそれらのインフラが崩壊した世界——ネットなども使えなくなって、娯楽の中心がサーカスに戻ってきた、という設定を作って、シリーズ構成のたたき台まで組み上げました。ここまでで半年〜1年かかったと思います。
その後、亀井監督が合流されて、脚本会議でいろいろ相談や指摘をいただくなかで、「インフラが弱い世界にするなら、無理に近未来じゃなくて、過去でもいいのでは?」という話になって。じゃあ過去のどこにするか——明治や大正の案も出ましたが、「大正ロマンはやめよう」「日本が活気に満ちた時代がいい」となって、高度経済成長期の昭和に固まっていきました。当然、半年ほどかけて物語も練り直すことになりました(笑)——ちなみに完成した本作では、ひまわりサーカスは普通にトラックで移動しています(笑)。発想のきっかけをくれたインフラの理屈も、最終的にはどこかへ行ってしまいましたが、あれがなければこの時代には辿り着かなかったので、良い置き土産だったなと。

































