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- わたなべみきこ
- 出産を機にライターになる。『シャーマンキング』『鋼の錬金術師』『アイドリッシュセブン』と好きなジャンルは様々。

「週刊少年ジャンプ」にて2021年から2026年にかけて連載された漫画『逃げ上手の若君』(作・松井優征先生)。2024年7月よりアニメ第1期が放送され、この7月から第2期の放送がスタートしました。
本作は、滅亡した鎌倉幕府で1人生き残った北条家の正統後継者・北条時行が、“逃げ隠れ”の才能を活かし、北条一族を裏切った足利尊氏から鎌倉を奪還するため厳しい試練と戦いに身を投じていく物語です。
本稿では、毎週の放送に合わせてそのストーリーを振り返りながら、戦の戦況や政治情勢を整理していきます。今回は第十四話「亜也子のドキドキ❤︎大作戦!」です。
※本記事は本編のネタバレ要素が含まれます。
犬追物で敗北して以来、諏訪領地を奪う施策を何かと時行に邪魔されてきた小笠原貞宗。時行の持つ特有の品格や諏訪大社へ入った時期から、北条一族の関係者ではないかと疑いの目を向けていました。
その正体を暴くべく、貞宗は諏訪大社からの外交の使者として時行を指名。一人で自陣に呼びつけて尋問しようという算段です。
領地の奪い合いをしていても表向きは礼儀を尽くし、建前で会話するこちらのシーン、良くも悪くも日本らしくて私は大好きなんですよね。頼重は「家中一同感謝しておりまする」なんて言っていましたが、本心では露ほども思っていないことをお互い分かっているのが滑稽だなと思います。
時行を指名された諏訪家には動揺が走りますが、そこで手を挙げたのは時行の郎党・亜也子。「私一人くらい一緒に行ってもいいでしょ? 小さい子供一人きりじゃ可哀想だよ」と同行したいと名乗り出ます。
小笠原家の使者・赤沢は一度渋る様子を見せるも、「女の子一人ついてて困る小笠原家ですか?」と言われてしまっては断ることができず、仕方なく亜也子の同行を了承することに。9歳の女の子がこんなことを言えるなんて……とその機転の凄さに感服しました。
フッ😏✨ pic.twitter.com/JabxsqBNWn
— TVアニメ『逃げ上手の若君』 (@nigewaka_anime) July 26, 2026
それでも、小笠原家に行くことを心配する時行に、頼重は「亜也子がいればなんとかなるでしょう」「ああ見えて機転も効くのですよ」と。亜也子本人も「これしきの事で若様を護れなきゃ巴御前になれないもん」とやる気も自信も十分。
彼女の言う巴御前とは、かつて信濃にいた武将・木曽義仲*の郎党の女傑です。木曽義仲は、時行と同じような境遇で、幼い頃に一族を滅ぼされて信濃に落ちのび、その後力をつけて天下を取った人物。
巴御前はそんな主君と共に育ち、郎党として常にその身を守ったと言われており、亜也子の憧れであり目標の女性なのです。
とはいえ、肝心なのは貞宗との問答。答えを間違えて素性がバレてしまっては生きて帰ってくることはできないでしょう。明日の小笠原家訪問に備え、頼重のもとで時行はたっぷり勉強に励みます。
※木曽義仲は平安時代末期の1154年〜1184年に生きた人物。作中が1334年なので、約150年前の出来事となります。
翌日、小笠原家を訪問した時行と亜也子。同行するとは言っても、付き添いである亜也子は部屋の外で待機しており、通された部屋では時行と貞宗2人きり。
入室するや否や、舐められまいと大きく胡坐をかいて座った時行。すると貞宗は「座を正せい」と諭します。「命を奪う敵だからこそ奪う命に敬意を払えい」と敵である時行に礼儀を教えたのです。
時行の命を狙う貞宗ですが、野蛮さや横暴さだけではなく礼儀作法を重視しているところが魅力ですよね。また、これまでの経緯があってこそかもしれませんが、時行の未熟な子供の部分を認めながらも、見下したりすることなく対等に接しているように感じられます。
また、現代でも一般的である正座を貞宗が礼儀作法としてまとめ上げていたとは驚きです。
敵に諭された時行は、恥じらうことも抵抗することもなく、素直に聞き入れて座を正します。いよいよ言葉での戦が開幕。貞宗から最初の問答を投げられた時行は、すぐさま鋭い返答を打ち返し、その様が弓矢の打ち合いで表現されます。
氏素性を名乗り上げよと命じられても、時行は嘘の内容を淀みなく返答。頼重にしっかり仕込まれているようです。頼重もやり手ですから、昨日勉強したというよりも時行が諏訪大社に来た頃から叩きこんでいたのかもしれませんね。
その後も時行を追い詰めようと貞宗は問答を続けますが、彼の逃げの能力は言葉でも存分に発揮され、のらりくらりと問いを交わしていきます。
そこで貞宗は、戸の前に控えていた赤沢を入室させます。赤沢は以前鎌倉に5年も出仕していたそうで北条一族や重臣の住む地域で時行を見たことがあるというのです。
この問いによって時行の動揺を誘うつもりだったようですが、「その嘘何の意味があるんです?」と即座にハッタリを見抜いた時行。それもそのはずで、北条一族や重臣の子ではなく、北条本家の子である時行は正式な外出の際は輿に乗っており、顔も姿も見えません。
稽古から逃げて街へ出るときも、目撃されない抜け道をしこたま開発していたそう。「半端な地方武士はそもそも私を知らないはずだ」というモノローグ、真の御曹司感があって良いですよね……“半端な地方武士”って……!
逃・道・探・索🔍#逃げ上手の若君 #逃げ若 pic.twitter.com/Z2C3eQ24zE
— TVアニメ『逃げ上手の若君』 (@nigewaka_anime) July 26, 2026
それでも食い下がる赤沢ですが、「小笠原家は嘘つきを諏訪への使者によこしたのですか?」という鋭い一矢で射貫かれ、苦悶の表情で退室していきました。
難を逃れたかと思ったところで姿を現したのは、異能の耳を持つ市河助房。鋭い観察眼と聴力を持つ2人が揃っては、いかに時行と言えどそうそう逃げられるものではありません。
しかも、パーソナルスペース丸無視の至近距離。市河に至っては抱きついて胸に直接耳をつけています……現代ならセクハラで訴えられるやつです。見目麗しい若様に抱きたかっただけでしょ……!
そして、頼りの亜也子はこのタイミングで厠(トイレ)に立ってしまいました……。異能の目と耳に晒された時行に、核心を突いた問いが打たれます。
「貴様は北条か?」
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#逃げ上手の若君
第十四回 切り抜き
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第十四回「亜也子のドキドキ❤︎大作戦!」より
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「問う、貴様は北条か?」https://t.co/8BrtQvzcLI#逃げ若 pic.twitter.com/PjKWtuFpJG
緊迫した室内に何やら音楽が聞こえてきました。時行の心拍の乱れを聞こうとしていた市河もその音楽に邪魔されてしっかり聞くことができない様子です。笛や太鼓、鈴と様々な楽器を一人で奏でるのはなんと亜也子。さらに踊りまでこなし、小笠原家の武士たちを魅了しています。
彼女が奏でるのは田楽と呼ばれる当時のクラブミュージックのようなもの。彼女はこれで市河の耳を塞ぐため、厠と嘘をついて席を立ったんですね。
亜也子が貞宗の部屋の前で待機しているときには、見定めるような嫌な目で彼女を見ていた武士たちも今やすっかり推しを見るかのような熱狂ぶり。楽器と踊りと豊かな表現力で彼らを惹きつける亜也子はさながらアイドルのようです。
その姿に魅了されたのは時行も同じ。仕切り直して貞宗と市河に再度尋問されるも、頭の中は亜也子のことばかりが占めており、心ここにあらず。こうなってしまっては問答どころではなく貞宗も諦めざるを得ません。こうして時行と亜也子は無事に小笠原家を後にしました。
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第十四回 切り抜き
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「安心して、そばにいるから」https://t.co/vbvq5BRg4d#逃げ若 pic.twitter.com/ODIPKX1LNK
ところが、帰路についた2人を奇襲してきたのは赤沢。時行へのハッタリが上手くいかなかった腹いせに単独で襲ってきたのです。得意の薙刀を使った猛攻に最初は押される亜也子でしたが、なんと持ってきた太鼓とバチで応戦。
最後は赤沢を持ち上げ、顔から地面に叩きつける大技で倒し、見事に主君を護ってみせます。可愛くて美人で強い最高の女の子ですね!
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第十四回 切り抜き
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「私にはそんな得意な武器がない、その代わり……!」https://t.co/CKyumSiiAH#逃げ若 pic.twitter.com/9Xi6HMnW2k
その帰り道、「天下人の卵が憧れの巴御前になれる機会を授けに来てくれたと思った」と亜也子は時行と出会ったときの思いを明かします。
「身に着けた技の全てを使って若様を護る」「そして護った後で若様の子をたくさん産むの!」「だから若様 いつでもお手付きしてね」と9歳にしてはあまりにおませな発言をして時行の度肝を抜いた亜也子。この時代なら普通なのでしょうか……いやでも9歳って……!
しかし、時行に大胆なアプローチをする亜也子の顔は恋する乙女そのものでしたね。亜也子の魅力がたっぷり感じられるとともに、女武将としてのこれからの成長も楽しみになる1話でした。
また、本話の活躍を受けてキャラクターソングも解禁! その名も「今すぐOTETSUKI☆」。守られるヒロインではなく、守るヒロイン・亜也子らしい元気でパワフルな楽曲です!
ストーリーだけでなく、演出にも注目が集まる本作。本話でもユニークな演出が盛りだくさんでした。
最も注目を集めたのは、貞宗との問答をシミュレーションした際のパロディ。恋愛シミュレーションゲーム『ときめきメモリアル』ではなく、『ときゆきメモリアル』なるものが登場したうえ、頼重と時行によるゲーム実況のような描かれ方をしていましたね。
このパロディはもちろんなのですが、私は貞宗への返答の中に「この目玉野郎」とシンプルな悪口が入っていることに笑ってしまいました。「私は北条です」ではなく「この目玉野郎」を選んだとしても命が危ぶまれそうです。
また、この後にはいらすとやの絵で図解されており、もう“なんでもアリ”でしたね。それでも何故か世界観が損なわれないのが不思議です。
さらに序盤に登場した、貞宗が時行を虫眼鏡で凝視するシーンは、貞宗の赤い蝶ネクタイや椅子に座ってうつむいている武将、背景のレンガなどから『名探偵コナン』を彷彿とさせます。
それだけに止まらず、ナレーションに合わせて大和絵も登場。貞宗や市河、亜也子といったキャラクターが実際に描かれていたのも面白かったです。次回は一体どんな演出が用意されているのでしょうか! ストーリー展開とあわせて注目しましょう!
