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『スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ』レビュー後編

『スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ』レビュー後編|カーラがたどり着いた“新たなジェダイ”

『スター・ウォーズ』のスピンオフとして制作された短編アニメーション『スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ』。その人気から制作された続編アニメーションでは全8話を通じて新たなジェダイであるカーラの物語が紡がれていきます。

アニメイトタイムズではこの続編を前後半に分けてレビュー。前編では、カーラたちの新たな戦いと、Production I.Gが描く迫力満点のアクション、そしてナワームという謎めいた存在について紹介しました。

後編では、第5話から最終話までの物語を振り返りながら、本作の核となるカーラの成長に迫ります。

受け継がれてきた『スター・ウォーズ』の精神と、日本ならではの感性が融合した『九人目のジェダイ』の到達点とは何だったのか。後編では、その魅力を掘り下げていきます。

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ジューロの死、そして迷い――カーラが向き合う“ジェダイ”とは

第4話の衝撃的な展開を経て、物語は新たな局面へと突入します。

仲間を失い、ジェダイとしての在り方にも迷いを抱えたカーラは、未開の惑星で孤独な時間を過ごすことになります。

これまでのカーラは正義感が強く、困っている人を放っておけない人物として描かれてきました。しかしその一方で、感情に突き動かされて行動してしまう未熟さも抱えていました。

第4話でのジューロとの別れのシーンでもそうですが、第5話ではさらにカーラの感情にフォーカスが当たっていきます。

困っている人々を助けたいという想いで戦い続けてきたカーラですが、自身を助けてくれた人たちに害が及んでしまったことで、怒りに身を任せて敵を殲滅してしまいます。その結果、彼女のライトセーバーはなんとダークサイドに堕ちたかのように真っ赤に染まってしまうという展開を迎えます。

悪役たるナワームが青のライトセーバーを使っていたことに加え、正義のジェダイとして戦ってきたカーラが赤のライトセーバーを振るうというまさかの展開に。

ジーマが作り出す特別なライトセーバーは、持ち主の感情や精神状態を映し出す鏡のような存在であり、怒りに身を任せて振るうと刀身が赤く染まるのです。青は正義、赤ければ悪と判断ができた従来のライトセーバーとは異なるライトセーバーが本作のカギなのです。

銀色のライトセーバーが象徴するものとは

では銀のライトセーバーは何なのか。その答えは第6話で判明します。前述の通り、本作に登場するジーマが作り出したライトセーバーは、使い手の感情によって刀身の色を変えます。その中でもひときわ異質な銀色の刀身、それは正義でも怒りでもない、その先の無の境地にたどり着いた者だけに使える刃となっています。

敵であっても殺すことをためらう心優しいカーラは、怒りや悲しみで赤く染まったライトセーバーを持ちながら、それら負の感情を受け入れ、ただフォースの流れに身を任せることで銀色の刀身を出すことができるようになります。敵であっても赦すことのできる強さを得たカーラは、ひとつ上の次元のジェダイに至ったのではないでしょうか。

敵と味方の二元論だけでは終わらず、キャラクターの成長すらもライトセーバーの色で表していくストーリーは、見事というほかありません。

ライトサイドとダークサイドを超えて描かれる、新しいフォース観

後半を通して最も印象的だったのは、フォースに対する解釈です。

6話で霊体となって現れたジューロは。カーラに「万物にフォースは宿っている」「フォースの導きに身を任せろ」とアドバイスを残します。
「フォースの導き」というキーワードは『スター・ウォーズ』シリーズに何度も登場した重要な言葉ではありますが、フォースを自然や生命、あらゆる存在に流れるものとして描く姿勢は、日本的な自然観や八百万の神といったものを思わせます。

また、作中で何度もジューロからカーラに伝えられる教えも、従来のジェダイの教えやルールそのものよりも、「他人を助けるために力を振るうこと」が大事だと語られてきました。

力のために過去のジェダイ像を否定するナワームと、本質を見据えて新しいジェダイ像を説いていたジューロの対比もまた、本作ならではのジェダイ観で見所となっています。

過去のジェダイ騎士団を否定するわけではなく、しかし教義や伝統だけに縛られない。人々のために行動することこそがジェダイの本質なのだと、本作は語りかけているように感じられます。

カーラとナワーム、二人が選んだ未来

最終話では、互いに境地に至り、銀のライトセーバーで対決するカーラとナワームの決着が描かれます。ジェダイの教えでは銀河を大義を成せないと考えるナワーム。対して、人々を守るためにこそジェダイの力は振るわれるべきだと信じるカーラ。二人の戦いは単なるライトセーバーによるバトルではなく、新たなジェダイたちの信念の戦いというべきものでした。

カーラたちの戦いの結末、そしてジェダイたちは今後どうなっていくのか、それはぜひご自身の目で確かめてみてください。

なお、ネタバレにはなってしまいますが、最後の最後にものすごく意味深な展開が待っていますので、エンディングまでお見逃しなく。

『スター・ウォーズ』の精神を受け継ぎながら、新たな可能性を切り拓いた傑作

『スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ』は、単なる人気エピソードの続編に留まらない物語が紡がれていきました。
シリーズが長年描いてきたジェダイとシスの対立、善と悪の構図を受け継ぎながらも、その先にある新しい価値観を提示した作品となっています。

Production I.Gによる圧倒的なアクション、豪華キャスト陣の熱演、そしてカーラの成長を軸にした力強いドラマ。そのすべてが高いレベルで融合し、確かに『スター・ウォーズ』でありながら新しい解釈を持ち込んだ『スター・ウォーズ』となっています。

そういった意味では『スター・ウォーズ』ファン必見の作品といえますが、本作はまったく新しい『スター・ウォーズ』として、過去のシリーズを知らなくても良質なSFアニメとして見られる作品です。本作から『スター・ウォーズ』の世界観を知り、それこそ“新たな世代”の『スター・ウォーズ』ファンが出てくるかもしれません。

過去の常識を覆しながら、新たな世界を見せてくれた『スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ』。この夏必見の作品となっています。

[文:二城利月]

『スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ』作品情報

スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ

キャスト

カーラ:赤﨑千夏
ナワーム:大森南朋
ジューロ:金尾哲夫
イーサン:峯田大夢
ホーメン:田所陽向
オジイ:チョー
ジーマ:三木眞一郎
ビート:高橋広樹
ダンバイ:中博史
タフーラ:坂本真綾
クワナ:檜山修之

(C)2026 Lucasfilm Ltd.
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